<新潮文庫> |
●徹底比較 トルシエとジーコ ジーコが抱える問題の本質・・
●市原イビチャ・オシム監督のプロ魂・・走るというサッカーの原点を見つめ直させてくれたプロフェッショナルコーチ・・
●ギド&ゲルトのコンビによって解放された浦和レッズ・・
●海外(フットボールネーション)の厳しい環境こそが能力を開花させる・・戸田の真摯なメール・・
●ドイツサッカーが怠っていたこと・・ドイツサッカーの光と影・・
「まえがき」には、こんなことも書きました・・『文庫本にする作業をこなすためのエネルギー源は、わたし自身の強い願望だった・・サッカーが好きで好きでたまらず、そのメカニズムの解明に没頭するサッカーコーチ・・そんな私が、純粋にサッカーのことだけを分かりやすく書くことにチャレンジした・・本書が、日本におけるサッカー文化の醸成に役立てれば、それほどの幸せはない・・』。
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また本書の「解説」では、竹中平蔵金融・経済財政政策担当大臣のブレーンとしても知られるKFi代表取締役社長、木村剛さんにも健筆を揮(ふる)っていただきました。もちろん、本書をお読みいただいた上で快諾していただいた次第。木村さんがピックアップしたもっとも重要なテーマは、パーソナリティーという監督の資質・・。まさに、我が意を得たり。
木村さんは、「パーソナリティを持つ経営者よ、出でよ!」と題した解説文で、そのテーマを、こんなふうに料理してくれました。『個性豊かで扱いにくい個人事業主たちにチームとしての共通目的を認識させ、彼らが、チームの目標を達成するために、それぞれが最大限の力を発揮させるように仕向けるのが監督の本質的な仕事・・だから彼には、個性的な能力や人間的魅力を具備することが求められる・・それがパーソナリティという能力・・選手自らが考えて判断・決断し、勇気を持って実行する姿勢を選手個々人から導き出すのが、パーソナリティという能力・・これも企業経営にピタリと当てはまる・・優れた経営者になるためには専門知識も必要だが、それだけでは足りない・・会社組織は人間の集合体だから、社員たちを会社共通の目的・目標達成に向けて最大限の力を発揮させることができる個性的な能力や人間的魅力が求められる・・喜ばしいことに、少なからぬ日本企業が復活を遂げていく中で、魅力的なパーソナリティを持つ経営者たちが目立つようになってきた・・私は、ヴァイスヴァイラーが説くような監督=経営者が陸続として日本企業に出現することを強く望んでいる・・そのことこそが日本経済を本格的に復活させていくに違いないからだ・・個々の日本企業が「クリエイティブなムダ走り」を厭わずにチャレンジするようになったとき、日本は「失われた十年」を昔話として笑い飛ばせるようになるだろう・・』。
素晴らしい解説文に、心から感謝している湯浅なのです。