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2016_ ルヴァンカップ(その1)・・勝負所での「小さなコトに気づくイメージング能力」こそが!・・そして、レッズに深く根を張りつづけるホンモノの勝者メンタ リティー・・(FC東京vsアビスパ、1-1)、(ヴィッセルvsレッズ、1-2)・・(2016年8月31日、水曜日)

・・こんなに良いサッカーを展開しているのに、リーグではボトム・・井原さんは、そんな成績の要因のなかで、もっとも重要なバックボーンは何だとお考えですか?・・

失礼を承知で、アビスパ井原正巳さんに、そんな質問をぶつけてみた。

ゲーム・・

たしかに全体的なイニシアチブはFC東京が握っていたけれど、それでも徐々にペースを上げたアビスパも(もちろん先制ゴールをブチ込まれたこともあって!!)、攻守にわたる、とても立派な積極サッカーへと進化していったんだよ。

アビスパが、そのようにサッカー内容を充実させられた背景には、ボールがないところでの(ハードワーク!?)アクションの「優れた量と質」があった。

特に守備。

ボールを奪い返す勝負プロセスでの「連動イメージ」が、とてもスムーズに機能していたんだ。そんな優れた「イメージング力」があったからこそ、堅牢なディフェンスを展開できた。

監督の井原正巳さんは、そんなに足が速くないプレイヤーだった。

だから彼は、深く、広く考えつづけることで、アンティシペーション(予測イメージング能力)を磨きに磨いた。

そして、「アジアの壁」として日本サッカーの誇り(=アイデンティティ)になった。

そんな苦労人が監督なんだから、アビスパ選手たちの、ボールがないところでの守備の動き(ハードワーク!?)の量と質が、うまく連動しつづけるのも頷けるっちゅうわけさ。

たしかに、(前半の!)ダイレクトパス・コンビネーションによって、東慶悟に決定的シュートをブチかまされてしまったシーンとか、中島翔哉の先制ゴールシーンとか、また、その他にも二度ほど、ボールがないところで「行かれて」しまったマークミス(勝負のイメージングミス!)はあった。

それでも、全体的には、とても立派なディフェンスが出来ていたと思う。

そう、「アジアの壁」に指導されて・・ネ。

ということで、その「アジアの壁」だけれど、冒頭の(私の)質問に対して、例によって、とても真摯に、こんなニュアンスの内容をコメントしてくれた。

今回は、「行間ニュアンス」も含めて書きますよ。ということで・・曰く・・

・・もっとも重要な要因ですか?・・

・・それは、私にありますよね・・

少し「間」を置いた井原正巳さんが、つづけた。

・・もちろん、それ以外にも様々な要因はあります・・そのなかでは・・そうですよね・・その、もっとも大事なファクターは、やっぱり、勝負所での「気づき」ということになりますかね・・

・・これまでの我々は、良いゲームが出来ていても、ほんの小さなトコロで、相手にやられてしまう(失点してしまう!)ようなゲームが多かったんですよ・・

・・そう、ディフェンスでの、小さなトコロのミス・・

・・たとえば、全体的にはうまくマークが機能していても、肝心なトコロで、相手に背後スペースへ抜け出されちゃったりとかね・・

・・そう、(ピンチになりそうな状況での!)気づきに課題があるんですよ・・

・・とにかく、ピンチのニオイに(相手の意図を読んで先回りするくらいに!)素早く気づき、自然と身体がアクションするなることこそが、もっとも重要なテーマなのかもしれません・・

井原正巳さんは、とても真面目に、しっかりと考えながら深いコトを語ってくれた・・と思う。

そう、まさに、おっしゃるとおり。

このテーマについては、今回のドイツ国際会議でも、何度も話題になった。

まあ、結論としては、いつも、その「失敗(ミス)シーン」を、しっかりと意識しながら何度も観るという効果的なイメージトレーニングを繰り返すしかない・・ということに落ち着くね。

もちろん、トレーニングのなかで、そんな「危急ピンチシーン」を繰り返し体感させることも大事。

そんなところにも、トレーニング計画のプロとしてのウデが試されるっちゅうわけさ。

とにかく、スタジアム観戦した、FC東京対アビスパ戦では、そんな根源的なテーマについて、取り憑かれたように思いを巡らせていたっけ。

あっと・・井原正巳さん。

その彼が、コメントの最後を、こんな言葉で締めた。

・・色々と、バックボーンの可能性について語りましたが、それでも、監督としての私が(まだ!?)至らないというコトは(要因として!)外せません・・

プロコーチ、井原正巳。とても誠実な男です。

でも私は、その彼について、様々なコノテーション(言外に含蓄される意味)を内包する「プロのバランス感覚」も、より実践的に「自分のモノ」にする意識と意志を、もっと前向きに高めていくべきだと感じていたのであ〜る。

へへっ・・

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ということで、ヴィッセル対レッズ。

この試合のテーマについては、数日前の「J・マッチレポート」をご参照いただきましょうか。

そう、「組織vs個」ってな構図のゲームというテーマ。

そしてこのゲームでは、内容でも結果でも、レッズが完璧にヴィッセルを凌駕した。

まあ、数日前のゲームでは、内容と結果の「典型的な乖離現象」があったわけだけれど・・サ。

それくらい、ヴィッセルの「個の才能」は危険極まりないっちゅうわけだ。

そう、レアンドロ、ペドロ・ジュニオール、そして渡辺千真。あっと・・、中盤の重心であるニウトンも優秀だよね。

それにしても、レッズ。

今では、誰が出てきても、とても高質な組織サッカーを展開できるようになっている。

そう、チーム全体に、「自分たちの良いサッカー」と攻守ハードワークについての具体的なイメージが浸透し、しっかりとシェアできている。

だからこそ、攻守わたって、互いに「使い・使われる」というメカニズムを絶対的ベースにした相互信頼関係が、深く、深く根を張っている。

そして、だからこそ、「誰が出てきても・・」という表現も、かなりの高いレベルで成り立つっちゅうわけだ。

梅崎司と那須大亮だけじゃなく、ズラタンと青木拓矢もまた、完全に「ファースト・チョイス選手」だよね。

要は、「微妙な事情」によって先発かベンチかが決まるっちゅうレベルの選手というわけだ。

もちろん高木俊幸と駒井善成も大きくレベルアップしている。でも彼らの場合は、まだ「1.2列目」くらいのポジショニングということかもしれない。

そして、もう一人。

そう、石原直樹。私は、今でも、とても大きな期待をかけているんだけれど、さて〜・・。

それにしても、この試合でのレッズは(まあ・・数日前のリーグ戦でも!!)強かった。

「自分たちの組織サッカー」に対する確固たる自信と確信が深まっていると感じます。

そう、勝者のメンタリティー。

あっと・・私が、その表現を使ったら、後から「何か悪いコト」が起きるかも知れなかった・・。

いやいや、今シーズンのレッズだったら、たしかに「リーグ年間チャンピオンは神のみぞ知る・・」だけれど、そのサッカー内容が大きく揺動するようなことはないと確信できるんだよ。

そう、強いレッズ。

もっとも重要なのは、選手たちが、その「事実」を、体感し、完璧にシェアしているとコトなんだよ。

だからこそ、勝者メンタリティーも、高みで安定するというわけさ。

日曜日の第二戦が、いまから楽しみです。

では、寐ます。

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あっと・・

私が愛用しているウエストポーチやバックパック。それについて何人かの方々に質問されたんですよ。それは、友人のデザイナーが主催するブランド、「METAS」

ちょっと、プロモートさせてくださいね。

この方は、某有名メーカーのチーフデザイナーから独立し、自らのブランドを立ち上げました。シンプルイズベスト・・スローライフ・・などなど、魅力的なキーワードが散りばめられた「METAS」

とてもシンプル。でも、その機能性は、もう最高。お薦めしまっせ。


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最後に「告知」です。

どうなるか分からないけれど、新規に、連載をはじめています。

一つは、毎回一つのテーマを深める「The Core Column」

そして、もう一つが、私の自伝である「My Biography」

自伝では、とりあえず、ドイツ留学から読売サッカークラブ時代までを書きましょうかね。そして、もしうまく行きそうだったら、「一旦サッカーから離れて立ち上げた新ビジネス」や「サッカーに戻ってきた経緯」など、どんどんつづけましょう。

ホント、どうなるか分からない。でも、まあ、できる限りアップする予定です。とにかく、自分の学習機会(人生メモ)としても、価値あるモノにできれば・・とスタートした次第。

もちろん、トピックスのトップページには、新規に「新シリーズ」コーナーをレイアウトしましたので、そちらからも入っていけますよ。

まあ、とにかく、請う、ご期待・・ってか〜〜・・あははっ・・


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 重ねて、東北地方太平洋沖地震によって亡くなられた方々のご冥福を祈ると同時に、被災された方々に、心からのお見舞いを申し上げます。 この件については「このコラム」も参照して下さい。

 追伸:わたしは”Football saves Japan”の宣言に賛同します(写真は、宇都宮徹壱さんの作品です)。

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 ところで、湯浅健二の新刊。三年ぶりに上梓した自信作です。いままで書いた戦術本の集大成ってな位置づけですかね。

 タイトルは『サッ カー戦術の仕組み』。出版は池田書店。この新刊については「こちら」をご参照ください。また、スポーツジャーナリストの二宮清純さんが、2010年5月26日付け日経新聞の夕刊 で、とても素敵な書評を載せてくれました。それは「こちら」です。また、日経の「五月の書評ランキング」でも第二位にランクされました。

 





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