The Core Column
- The Core Column(62)_戦友カリオカ(ラモス瑠偉)との対話・・日本サッカーは着実に進化している・・でもネ・・(2019年7月3日、水曜日)
- ■たしかに日本サッカーは、組織プレーを基盤に、着実に進化しているけれど・・【これからは、誰の発言か分かり難いときには、(ラ)または(ゆ)を付けま〜す】
「そうだよっ!・・ハンパなく良くなっている・・」
カリオカが、またまた、間髪を入れずに反応した。
そのキッカケは、わたしが出した、こんな話題だった。
「そうそう・・日本の若者たちは、世界の舞台で、立派にアピールしてくれたじゃネ〜か」
私が、つづける。
「U20W杯で存在感を発揮した影山雅永ジャパンだろ・・トゥーロンで、初めて決勝まで駒を進めた横内昭展ジャパン・・そして、コパ・アメリカで立派な闘いを披露した森保一ジャパン・・」
(ゆ)「とにかく、日本サッカーは、本当に、着実に進化していると思うんだよ。何せ、あんな世界トップの舞台で、かなり良い勝負をブチかましちゃうんだから・・」
(ラ)「(冒頭発言につづいて)ホントに、そう思うよ。でも、ホントの勝負となったら、勝ち切るのは、そんなに簡単じゃないよ。ところでポーランドでのU20W杯だけれど、誰とやって負けたんだっけ? あっ、そうか、韓国だったよね・・」
(ラ)「実はオレ、影山雅永監督を高く評価しているんですよ。だから応援していたんだ」
(ゆ)「へ〜〜、そうなんだ。彼のコトは、よく知っているの?」
「うん・・、オレが岐阜の監督だったとき、彼は、岡山で監督をしていたんです。そのサッカーが、とてもハイレベルだったんだ。
(ラ)「たとえば、真ん中を突破してくると思ったら、スッてな感じで、オレ達のイメージを振りまわすようにサイドから仕掛けてきたりとか、また、キーパーソン(そんなイメージが強い相手選手)を、うまくオトリに使ったりとか・・さ」
カリオカが、つづける。
「だから、オレも興味をもって、積極的に、彼とコンタクトを取るようにしたんですよ。彼は、本当によくサッカーを知っている。いや・・しっかりと考えつづけていると言った方がいいかな。とにかく、頭の良いプロコーチだよね・・」
(ゆ)「実はオレも、たまにスタジアムで彼と話す機会があるんだよ。だから会うたびに、良い仕事をしているネ〜〜ってさ、肩を叩いたりするんだ」
私が、つづける。
「あっと・・日本サッカーが、世界トップと、タメを張れるようになったっちゅう話題だった」
「カリオカは、そんな日本の進化の背景に、何があると思う?」
(ラ)「いや・・さっき言ったけれど、たしかに良くなってはいるけれど、世界トップに勝ち切れるようになるまでには、まだまだ先は長いと思いますよ」
(ゆ)「オレはさ、もちろんJリーグが、もっとも重要なバックボーンだけれど、サッカーの基本中の基本である、ボールを止めてコントロールし、そして蹴る
という基本が、とてもしっかりしてきているっちゅうポイントを挙げたいね。もちろん、外国人に対してビビらなくなったという心理面の発展が、とても大きい
という点も含めてね」
(ラ)「そう、たしかに基本テクニックは、ハンパなく進歩していると思う。でもサ、チームとして、世界のトップに勝ち切れるようになるまでには、まだまだ時間がかかるって思うんですよ。何度も繰り返しちゃうけれど・・サ」
(ゆ)「日本の強みは、なんといっても、人とボールをしっかりと動かしつづける組織サッカーじゃない。その絶対ベースが、止めて蹴るっちゅう基本テクニックだよね」
私のハナシは止まらない。へへっ・・
「”なでしこ”もそうだったけれど、相手は、スピードとか高さ、またパワーでも、やっぱり上だよね。だから日本は、組織プレーで、相手を上回らなきゃ勝てないと思うんだ。その組織サッカーが、選手たちの自信の高揚も含めて、とても力強かったと思うんだよ」
(ラ)「たしかに、そう思う。でもオレはね、いくら人とボールを動かしても、最後は、局面での1対1の勝負に勝てるかどうかが重要だと思うんですよ。駆け引きとかも含めてね」
カリオカも、ハナシを止められない。へへっ・・
「湯浅さんは、人とボールを動かすことで、相手とフィジカルな接触を少なくするのが日本のアドバンテージになると言うんですよね」
(ラ)「確かにそうだけれど・・。でも、いつかは、局面デュエルに入っていかざるを得ないでしょ。そして、そこで、しっかりとした勝負が出来るかどうかが、最終的にチームが勝ち切れるかどうかの、もっとも重要なポイントだと思うんですよ」
(ゆ)「フムフム・・たしかに、そうだね」
(ゆ)「いくら、人とボールをスムーズに動かしてスペースを攻略できても、そこに至るプロセスじゃ、やっぱり局面デュエルに遭遇するだろうし、そこで潰されちゃったら、それまでの動きの努力が、水の泡っちゅうことになるよな・・」
少し間をおいてから、私が、ハナシをつづける。
「でもさ、トゥーロンの決勝でブラジルとやったときには、前半は、局面デュエルでチンチンにやられていたのに、後半は、盛り返したよね」
(ゆ)「後半の横内昭展ジャパンは、ものすごい粘りで、互角の展開に持ち込んだじゃない。それって、何といっても、日本の忠実で粘り強いディフェンスと、攻撃での、人とボールの軽快な動きが絶対ベースだったって思うんだよ」
(ラ)「そうだよね・・」
カリオカが、つづける。
「たしかに、後半のブラジルは、疲れが出てきていた。だから、前半みたいに、前からのプレス守備を仕掛けられなくなったよね」
(ラ)「準決勝のアイルランド戦で疲れ切っちゃったのかもしれないね。何せ、あのときのアイルランドは、最後の最後まで、ものすごい粘りのダイナミックサッカーを展開したわけだから」
(ゆ)「あっと・・テーマは、このところの日本サッカーが、着実に進歩しているっちゅうことだった」
(ゆ)「その背景には、Jリーグだけじゃなく、会長の田嶋幸三を筆頭にした、サッカー協会の、地道な努力もあると思うんだけれど・・」
(ゆ)「カリオカは協会のインサイダー(ピーチサッカー日本代表監督)だから、そのあたりのコトについて、どう思っている?」
(ラ)「そう、もちろん、日本サッカー協会の地道な努力には拍手しなきゃいけないと思いますよ」
(ラ)「まあ、田嶋さん(会長)が、高い評価のサッカー本を出せるほどのサッカーエキスパートっていうのも、大きいよね。彼は、何が大事なのか、しっかりと見えているよネ」
(ゆ)「そう、それは大きい」
(ゆ)「日本サッカー協会の会長が、サッカーのエキスパートであるというのは、とても大事なコトだと思うよ」
(ゆ)「もし会長が、サッカーの(大事な伝統などの!?)本質的なメカニズムを知らない、またサッカーに対する愛情が欠けた変なビジネスマンが就いたら、そりゃ、大変なコトになる。たとえば、いまから数年前の2シーズン制のゴリ押しとかね・・」
(ラ)「うん・・オレも、そう思う」
(ラ)「ところで、日本サッカーの進化だけれど、世界トップとの勝負に勝ち切るためには、個の勝負を、もっと伸ばしていかなきゃいけないというテーマの方が面白いよ」
(ゆ)「あっ・・ゴメン・・またまたハナシが横道にそれちゃった。それじゃ、今度は、個のチカラを進化させるためには、何が重要なのかというテーマに入っていこうか」
そう、そしてここから、コラムタイトルの、「でもネ・・」というハナシに入っていくわけさ。
(つづく)
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「The Core Column」の全リストは、「こちら」です。
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重ねて、東北地方太平洋沖地震によって亡くなられた方々のご冥福を祈ると同時に、被災された方々に、心からのお見舞いを申し上げます。 この件については「このコラム」も参照して下さい。
追伸:わたしは”Football saves Japan”の宣言に賛同します(写真は、宇都宮徹壱さんの作品です)。
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ところで、湯浅健二の新刊。三年ぶりに上梓した自信作です。いままで書いた戦術本の集大成ってな位置づけですかね。
タイトルは『サッ カー戦術の仕組み』。出版は池田書店。この新刊については「こちら」をご参照ください。また、スポーツジャーナリストの二宮清純さんが、2010年5月26日付け日経新聞の夕刊 で、とても素敵な書評を載せてくれました。それは「こちら」です。また、日経の「五月の書評ランキング」でも第二位にランクされました。
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