The Core Column


The Core Column(70)_テーマ「気づき」・・ボール奪取プロセス(守備)・・(2022年1月9日、日曜日)


■カタチから入っちゃいけない・・という発想ベース

もちろん・・

ボール奪取プロセス(守備)イメージングのスタートラインとしての(守備)チーム戦術は、大事さ。

でも・・

そのイメージングの「決まり事」に、引っ張られ「過ぎる」たら、弊害の方が多い。

そう、「カタチ」に縛(しば)られ「過ぎ」ちゃいけないんだ。

だからこそ・・

「ボールを奪い返す」という「本来の目的」を達成するという「意識と意志」が(そのコトを常に考えつづけることこそが!!)絶対的に重要な意味をもってくるわけだ。

そう、選手がアタマに描くイメージングの、もっとも重要なバックボーンは、「自由」なんだよ。

逆に、「カタチ」に引っ張られ「過ぎ」てしまったら・・

多くの場面で、そのカタチを「意識」し過ぎる、「イメージ限定プレー」に終始し、ボールを奪い返すという目的にとって、逆に、ネガティブなアクションになってしまうことも多いんだ。

例えば・・

相手ボールホルダーへのチェイス&チェック(寄せ)アクションで、「カタチ」ばかりを意識し、どちらかのサイドへ「追い込もう」としているシチュエーション。

周りのチームメイトたちは、その「サイド」でのボール奪取をイメージし、ポジショニングを調整しようとするかもしれない。

でも・・

そのプロセスで、もし相手ボールホルダーが、巧みなカットで、そのディフェンダーたちの「イメージング」の逆を突いてしまったら!?

そりゃ、次のアクションが、ものすごく困難なモノになっちゃうでしょ。

だからこそ・・

ある「カタチの傾向」は保ちながらも、常に、相手の「次のサプライズ」にも十分に対応できるだけの柔軟なイメージング「も」充実させなきゃいけないんだよ。

そう・・

「カタチ」と「自由な(解放)マインド」を、できる限り高い次元でバランスさせるんだ。

いや、どちらかといったら・・

前回コラムで定義した、サッカーの「根源メカニズム」に基づいて・・!?

自由にプレーする「解放マインド」こそが、プライオリティーでなきゃいけないと思うわけさ。

たしかに・・

守備のチーム戦術的なイメージングは、互いの「イメージ・シンクロ」という視点では大事だけれど、でも最後は・・

そう、ボールを奪い返すという究極オブジェクト(目標・目的)を達成するために、柔軟な「主体性プレー」こそが優先(強調!)されるべきなんだよ。

そう・・

選手たちが、常に、主体的に考え、アイデアを練りながら、勇気をもった勝負アクションを・・

(これが大事なのだが!)後ろ髪を引かれることなく、確信に支えられたフルパワーで(!)繰り出していけるコトこそが、とても重要な意味をもつんだよ。

だから私は、常に、「カタチから入っちゃいけない」って、書きつづけるのさ。

カタチに「引っ張られ過ぎる」のではなく、最後の勝負アクションでは、あくまでも「主体性プレー」こそが優先されるべきだっちゅうコトね。

そして・・

そのプロセスにおいて、もっとも重要なファクターが、「気づき」っちゅうわけだ。

そう、「主体性プレー」の原点ファクターとしての、気づき・・。

■ボール奪取プロセスでの「気づき」・・

さて、では・・

それぞれのボール奪取プロセスにおける、さまざまな「気づき」を考えていきましょうか。

まず、何といっても・・

攻守の、素早く、効果的な「切り替え」を、確信的にドライブする「気づき」・・

・・あっ、アソコでボールを失うかも・・

そんな「気づき」。

もちろん・・

自分自身が、最終勝負の「流れ」に乗っているときは、状況は違う。

そこじゃ、もう、サポートやスペースへの動き、「こぼれ球」への反応など、そのコトでアタマが一杯のはずだ。

だから、そこで、「もしかしたら・・」なんてイメージングは、ネガティブニュアンスだ。

でも、その「最終勝負の流れ」に乗れなかった「周りのチームメイト」たちは・・

そう、次、その次の「状況変化」へも気配りしなきゃいけないっちゅうわけだ。

そこでの「気づき」の骨子は、何といっても、ボールを奪われた「次の瞬間」に、膨れ上がる、「ゲーゲンプレス」のチャンスへの「気づき」だ。

ゲーゲンプレス・・

まあ、いろいろな表現はあるんだろうけれど、わたしは、「相手のカウンターへの意志の逆を突くプレッシング」ってな感じでイメージする。

そう、ボールを奪い返し、「さあ、行くぞっ!!」って「前へ」重心を移そうとしている相手カウンターの流れ(その意識と意志!)を断ち切るように、再び、ボールを奪い返しちゃうんだ。

それがうまくいけば、完璧に、相手の前への(!)エネルギーの「逆」を突ける。

そう・・

柔道でいう、空気投げ・・ね。

そして、相手の守備ブロックの穴(スペース)を攻略するチャンスが増大する。

でも、その「気づきプレー」が、うまく「はまらず」、相手がボールを展開したときは・・

そう、今度は、組織的な「連動ディフェンス・プロセス」に入るっちゅうわけだ。

そこでも、「ゲーゲンプレス」同様に、素早い切り替えからの、相手ボールホルダーへの「寄せ」が絶対的なスタートラインになる。

そう、忠実で、全力のチェイス&チェック・・ね。

そこで、「どのように」チェイスし、プレスを掛け、次の連動カバーリングを機能させるのか・・

その、「ベーシック・イメージング」が、守備のチーム戦術(カタチ)っちゅうわけだ。

でも・・

そう、そのアクション全てが、植えつけられたイメージング「そのまま」に推移するなんてコトは、あり得ない。

だからこそ・・

ボールを奪い返すコトに対する、強烈な意識と意志(だからこその「気づき」!?)に支えられた、柔軟なプレー(組織をブレイクして勝負する意志!?)が求められるのさ。

また・・

その最初の守備アクション(チェイス&チェック)に対応した、周りの「気づき」という要素もある。

そう、周りのマーキング、協力プレスへの集散、インターセプト(相手トラップ瞬間のアタック)等などをドライブする「気づき」・・

そして・・

■最終勝負シーンでの「極限の気づき」・・最後の半歩を出せるようになるために・・

このテーマにこそ・・

プレイヤー個々の、極限の「意識と意志」のコノテーション(言外に含蓄される意味)が、集約される。

そう、「極限状態」での、「気づき」の内実が、勝負を決めるんだ。

そして・・

「勝負勘」などといった、アンロジカルに表現されることもある、極限状態での「気づきの質」を、どのようにアップさせていくのか・・というテーマに展開していくっちゅうわけだ。

わたしは、いつも書いているように、それは、日頃の「イメージ・トレーニング」しかない・・と思っている。

そして、そのトレーニングで先鋭化された「最終勝負イメージ」を、現場トレーニングで、繰り返し、体感する(させる)んだ。

それは、とても創造的な「イメージング構築プロセス」なんだよ。

あっと・・

ここで、そんな、最終勝負イメージング先鋭化の重要性を「再認識」するために・・

一つの「ケーススタディ」を思いだして頂きましょう。

それは・・

2021年9月2日の木曜日に行われた、カタールW杯アジア予選の、ホーム第一戦。

相手は、オマーンだった。

そこで森保一ジャパンが、後半43分に奪われた決勝ゴールシーン。

このシーンについては、わたしの「コラム」をご参照していただいたり、ビデオやネットなどで、そのシーンを探し出していただければ幸いです。

そう、植田直通の「眼前スペース」へ入り込まれ、ダイレクトで、日本ゴールの左サイドネットに「流し込まれた」失点シーン。

当時のわたしは、植田直通に対して、同情的なニュアンスで書きました。

まあ、基本的には、そのニュアンスは、変わりませんが・・

もし植田直通が、「相手ツートップによる、クロス・フリーランニング」をイメージングできていれば(その意図に気付いていれば!?)・・

まあ、少なくとも、爆発的な(!)身体全体のスライディングで防げたかもしれない・・

・・なんて思うのですよ。

まあ、「タラレバ」のハナシではあるのですが・・

とにかく・・

「気づき」の絶対ベースが、溜め込まれているイメージング体感と、実際の「ギリギリアクション体感」の量と質であるっちゅうコトが言いたかった。

ギリギリの体感の積み重ね・・

その背景に、創造的で効果的な「イメージング・トレーニング」の積み重ねがある・・というわけだね。

・・ってな感じで、シリーズを展開させていければ・・って思っている筆者なのであ〜る。

さて、どうなることやら・・

請う、ご期待。

(不定期につづく)

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「The Core Column」の全リストは、「こちら」です。

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 重ねて、東北地方太平洋沖地震によって亡くなられた方々のご冥福を祈ると同時に、被災された方々に、心からのお見舞いを申し上げます。 この件については「このコラム」も参照して下さい。

 追伸:わたしは”Football saves Japan”の宣言に賛同します(写真は、宇都宮徹壱さんの作品です)。

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 ところで、湯浅健二の新刊。三年ぶりに上梓した自信作です。いままで書いた戦術本の集大成ってな位置づけですかね。

 タイトルは『サッ カー戦術の仕組み』。出版は池田書店。この新刊については「こちら」をご参照ください。また、スポーツジャーナリストの二宮清純さんが、2010年5月26日付け日経新聞の夕刊 で、とても素敵な書評を載せてくれました。それは「こちら」です。また、日経の「五月の書評ランキング」でも第二位にランクされました。

 





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