2000年Ｊ-リーグ・ファーストステージの各ラウンドレビュー
第14節（2000年5月20日）
FC東京vsヴィッセル神戸（1−2）
レビュー- 久しぶりにヴィッセル神戸の試合を見ました。そして「クリエイティブな考え続ける姿勢」にポジティブな刺激を受けっぱなし。たしかにまだまだ課題はかかえていますが、攻撃のコア「ハ・ソッチュ」を欠いてもなおこのパフォーマンス。彼らのアタマのなかに刻み込まれている「良いサッカーに対するイメージ」のレベルの高さは、本当に印象的でした。
まず何といってもヴィッセルの守備。最終ブロックは、堅実なライン気味の「フォーバック」を組んでいますが、最終守備ライン前の菅原が、要所で「前気味リベロ」として実効あるディフェンスを魅せる、魅せる。その守備プレーに、彼の「知的レベル」の高さ（考え続ける姿勢・・学習能力・・守備におけるハイレベルなアイデア）を感じます。この試合では、彼の守備プレーだけを見ていても「ペイ」する？！ そんなことまで感じてしまったりして・・
また、前線選手たちの、忠実、効果的、爆発的な「チェイシング」を戦術的なベースにした中盤守備も「クリエイティブ」そのもの。「創造的な守備」とは、もちろん「予測ベースの自分主体ディフェンス」のことです。相手ボールホルダーと「次への予測」をベースに、全員が、有機的に、そして効果的に「絡み合うプレス守備」を魅せます。見ていて楽しいことこの上ありません。一人も「心理的にサボっている」選手がいないのですからネ。
また攻撃でも、チームプレーと個人勝負プレーの「バランス」はインプレッシブそのものでした。彼らが「やろう」としている攻めが、本当にクリアに見えてくるのです。まず、ボールがないところでの動きを基盤にしっかりと「ボールを動かし」（どんどんと後方からサポートに上がってくる！！）、そして勝負所（相手守備の薄い部分）では、勇気をもって個人勝負を仕掛けていく・・。常道ではありますが、選手全員で「イメージ的に統一」されている（またそれを最後まで実行できる）チームは少ないですからネ。
全体的な選手パフォーマンスでは、たしかに優勝をねらえるまでのレベルに「まだ」届いていないとは思いますが、彼らの「内容あるサッカー」には、若い世代のサッカーマンたちが学ぶべき、高いレベルの「基本的なサッカー的発想」が詰め込まれていると感じる湯浅です。結果として成功しなかったとしても、プロセスの「発想」だけは高いレベルにあるのです。
これに「ハ・ソッチュ」が加われば、破壊力はもっと増すに違いない？！ 良いサッカーを見せてもらって、非常に気持ちの良い湯浅は、今後もヴィッセルに注目しようと思っています。
さて、対するFC東京ですが・・。
前回私が見た試合は「現在のＪでのスーパーチーム」の一つ、セレッソとの対戦。そのときもそうだったのですが、（特に後半）全力で攻め上がる「勢い」はありますが、そのエネルギーが「統一」されていないと感じます。わかりにくい表現ですが、展開パスが出て、一人がフリーでボールを持つ・・そんな状況での「周りの動き」に、アイデアの統一性を感じないのです（サポートの動きが遅い、パス＆ムーブが鈍重などなど・・）。ですから、「前へのエネルギー」が連動せず、どうしてもプレーが「流れず」に一度止まってしまうという非効率な攻めをくり返します。そして最後は「単独勝負」ばかりが目立ってしまって・・
そんな攻めでは、ヴィッセルの「素早く、クリエイティブな」プレッシャーを外せるはずがありません。そして「孤立したボールホルダー」が苦し紛れに繰り出すドリブル突破が、ことごとく止められてしまいます。たしかにヴィッセルのプレスには（クレバーだからこその）厳しさはありましたが、相手が「プレスにいっても、簡単にハズされてしまうから、うまく集中できない・・」と、最後は足を止めてしまうくらいの素早く、広いボールの動きがなければ・・。そう、ヴィッセル神戸のように・・
最後のロスタイムで交代出場した黒崎ですが、彼が魅せた「状況をしっかりとイメージしたプレー（サイドでしっかりとボールキープ・・また相手に当ててCKを取ったプレーなど）」は、ほんとうに「サスガ！」とうならせる「ベテランの味」でした。
その黒崎の交代も含め、ヴィッセル、川勝監督に大拍手を送りましょう。彼は二年目。昨年からのヴィッセル選手たちの、「順調」なパフォーマンスアップは、彼が優秀なサッカー監督であることを如実に証明しています。選手たちの最後まで全力を尽くすというプレー姿勢（監督のモティベーション能力の証明！！）、リーダー的な選手たちの戦術的な理解度の深さ（長谷部、菅原など、キープレーヤーたちの『考えるバランサー（攻守人数とポジショニングバランスを考える選手）』としての活躍は秀逸！）など、川勝監督のグッドパフォーマンスを感じるじゃありませんか・・
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本日午後7時からの優勝のかかったビッグゲーム、横浜マリノス対セレッソ大阪については、「トピックス」で扱います。ご期待アレ・・
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