試合が行われた横浜国際競技場から帰宅し、実に素晴らしいアビスパの積極サッカーをTV観戦しながらの原稿書き。良いサッカーを展開しているチームが、しっかりとゲームをモノにする(対レイソル・・2-0でアビスパの勝ち!)・・、心地よいことこの上ありません。それに対し、横浜でのゲームは・・
マリノス対グランパスの試合。前半は、グランパスが「内容的」にマリノスを圧倒します。ピクシーを中心に、素早く、そして大きくボールを動かしながら、最後は、またまたピクシーが演出する決定的チャンスの応酬。それでもゴールを奪えないグランパス。何度も、何度も天を仰ぐピクシー・・
そんな「グランパスの流れ」は、マリノスが勢いを増した後半最初の時間帯も変わりません。やっとグランパスも本格的に調子を上げてきた・・そう思ったモノです。後半8分に、交代出場したエジミウソンがマリノスの先制ゴールを決めてしまうまでは・・。
ケガ(?!)で、平野と望月が出ていません。それでもグランパスには「全員でのアクティブサッカー」という勢いがあります。そのポジティブエネルギーが試合内容に完璧に転化していた前半のサッカーは、本当にクリエイティブ、ダイナミックそのものでした。
中盤での、山口、古賀を中心にした、ダイナミック(忠実)でクリエイティブな(つまり考え続けるクレバーな)守備をベースに、ピクシーが、岡山が、両サイドの小川、石川が、呂比須と福田のツートップに、どんどんと積極的に絡んでいきます。特に(まあ、いつものことですが・・)ピクシーのプレーが秀逸。私がいっているのは、ボール絡みのプレーだけではありません。目立たないフリーランニング、チェイシングやボールがないところでの守備参加など、とにかく彼の「闘うマインド」には脱帽なのです。
後半、マリノスは、遠藤をピクシーの「マンマーカー」にします。マリノスのアルディレス監督の苦肉の策?! 前半のマリノスは、彼一人にやられていましたからネ。また、切り札のエジミウソンを最初から投入します。そして試合が、両チームが仕掛け合うエキサイティングな展開に・・
シュート数で見てみましょう。前半は、グランパスの「11本」に対しマリノスは「4本」。ただ後半は、グランパスが「5本」だったのに対し、マリノスは「8本」のシュートを打っています。そんな数字にも、両チームの「勢い」の変化が見て取れます。
先制ゴール(後半8分)の11分後、グランパスは、岡山と呂比須に代えて、滝澤と富永を入れます。ゴールを入れなければならない状況でのジョアン・カルロス監督の決断ですから、大いなる期待を抱いたモノだったのですが・・。結果は、彼らによるチームダイナミズムの向上が見られない・・、実効ある仕事もまったくできていないなど、逆にブレーキそのもの・・という印象しか残りませんでした。カルロス監督の采配(選手評価)が裏目に出てしまって・・
またピクシーのプレーからも、密着マークや疲れからか、前半ほどのキレが見られなくなっていたことから、(失点後は)『何となく前へ・・』という展開になってしまいます。
前半は、ゲーム支配を、「相手守備ラインを(ある程度)崩すチャンス」に結びつけられていたのに、後半の初失点からは、押し込んでいるにもかかわらず、チャンスになりそうな気配がまったく感じられない・・という展開になってしまったのです。
要は、相手守備ブロックを振り回すことで穴を作り出せていた前半に比べ、後半のグランパスは、「攻撃の変化」を演出できず、単調に(直線的に)押し上げるだけ・・という展開になってしまったということです。グランパス選手たちのエネルギーが、「前へ!」だけになってしまって・・。前半では、そのエネルギーが、「位置エネルギー」として局部的にタメられたり、前後左右に振り分けられたりしていたんですが・・
そして、そんな「単調」なグランパスに対し、マリノスの中村、エジミウソン、ユー・サンチョル、はたまた両サイドの永井(守備がいい加減な彼を右サイドに置いたのはアルディレス監督のグッドアイデア!)や三浦が、変化あふれる危険な攻めを展開します。そして終わってみれば「2-0」・・
グランパスですが、この試合での守備はかなり改善されていました。大岩とホミルドのセンターバックコンビが、マリノスのツートップ、ユー・サンチョル、外池と「二対二」になっている状況でも、その最前線(グランパスにとっては最終ライン)へボールが回ってくるまでは、できる限り中盤での「守備の勝負」を仕掛け続けるのです。この積極的なディフェンスの姿勢が、全体的なグランパスの「出来の良さ」の基盤だったといっても過言ではありません。
「内容」が良くなっているグランパスには、(リーグを面白くする意味でも)勝たせてあげたかった湯浅だったのです。なんていったらマリノスのファンの方々から大ブーイングなんでしょうがネ・・ご容赦アレ・・