湯浅健二の「J」ワンポイント


2002年J-リーグ・ファーストステージの各ラウンドレビュー


第15節(2002年8月17日、土曜日)

ジェフの、バランスのとれた守備が目立ったゲームでした・・レッズ対ジェフ(1-2)

レビュー

 ファーストステージの最終日。私は駒場でのレッズ対ジェフを観戦することにしました。まあこの夜に、テレビ埼玉の「レッズナビ」に出演することもありましてね・・。ということで、ジュビロとマリノスの試合については、帰宅してからビデオで確認しようと思っています。

 この日のレッズは、久々に阿部敏之が先発です。期待がつのるじゃありませんか。たぶん彼は「二列目」に入るんでしょう。彼には、グラウンド全体を縦横に走り回るような攻守にわたるダイナミックプレーをベースにした実効あるチャンスメイクを期待してしまいます。

 もちろん、前回同様にジェフの阿部勇樹にも大注目しています。両チームの「阿部」がキープレーヤーになると確信している湯浅なのですが・・。

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 「何だ! あのレフェリーは!!」。思わず声が出てしまいました。たしかに、記者席からだから本当のところは明確ではありません。それでも、「タイミング的」には、実際に「引っかかって」いる状況なのに、何本もつづけて「シュミレーション」という判定を下し、イエローを出しつづけるレフェリー。

 最初は、素晴らしいタイミングのタテパスに合わせたチェ・ヨンスが(彼の決定的なフリーランニングに、決定的タテパスがピタリと合った!!)、遅れて当たりにきた室井(だと思ったのですが)と交錯して倒れたシーン、二回目が、中盤で抜け出しそうになったエメルソンが倒れたシーン、そして三回目が、クリアしようとしたミリノビッチからボールを奪い返した瞬間に、ミリノビッチが出した足に引っかかったように「見えた」シーンです。

 フィスカーというデンマーク人のレフェリーなんだそうです。前にも、ジュビロ対ジェフ戦で、不自然なカタチで、5本もPKを取ったレフェリー。契約切れで、この試合を最後に帰国するそうです。

 「判定基準」がおかしいことは衆目の認めるところ。それだったら、もう笛を吹かせなければいいではありませんか。憤ることしきりの湯浅なんですよ。前半の最後の時間帯には、前述した「二回目のシュミレーション」で、エメルソンが二枚目のイエローを食らってしまいます。もちろん退場。これで試合がメチャクチャになってしまうかもしれない・・。

 前半が終了した時点で、アタマにきていました。審判の判断について、これまで文句を書いたことはほとんどないはずです。どんなことがあっても、審判のミスジャッジもドラマのうち・・というコンセプトをベースにしていましたからネ。それでも、この審判はひどすぎる。とにかく気持ちを切り替えて分析をしなければとは思うのですが、どうも落ち着かない・・。フ〜〜。

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 何とか落ち着いたので、試合のキーポイントだけをまとめることにします。

 両チームの守備の「数字的なシステム」は、まったく同じ。古色蒼然たる「スイーパーのスリーバックシステム」です。レッズでは、言わずと知れた井原が、ジェフでは、ミリノビッチがスイーパーです。

 それでも、守備ブロックの安定性という意味では、ジェフの方が数段上。前半の立ち上がりも含め、何度レッズが、カウンター気味の状況で「ウラ」を突かれたことか。中盤での「パス出しの起点」を抑え切れていない・・、最終勝負でのマークに集中が途切れてしまう・・。

 ジェフは、「古色・・」とは書きましたが、実際には、かなりモダンな発想を取り入れていますよ。たしかにミリノビッチは下がり気味で、完璧なスイーパーだし、ラインを作ることで、相手の攻撃を「意図的」にコントロールしようとする姿勢は感じません。それでも、ミリノビッチの指揮のもと、最終勝負の仕掛けの「前段階」では、確実にマークを受けわたし、そして逆に勝負所では、絶対に相手をフリーにしない・・。いや、見事。それが彼らの好成績の基盤にあることを再認識した湯浅でした。

 もちろん、そんな堅牢守備のベースが、優れた中盤守備にあることは言うまでもありません。この試合では、特に長谷部の、攻守にわたる献身的なプレーが目立ちに目立っていました。それに、阿部勇樹、武藤真一、村井、坂本・・。彼らの「守備でのイメージ」は、本当に一貫しています。だからこそ、ミリノビッチの「読みと指揮」が最高レベルで機能しつづけていたのです。

 何度も書くようですが・・、ジェフの守備がダイナミックだと感じるのには訳があります。それは、選手たちが、常に「次の攻撃をイメージ」してディフェンスに就いているということ。それこそが、彼らの守備における大いなる「覚醒モティベーション」だということです。「オレがボールを奪い返して、次のカウンターを演出してやる!」。彼らの高質なディフェンスプレーに、守備の目的は相手からボールを奪い返すこと・・という大原則を思い出していた湯浅なのです。そんな活性化した目的意識は、「ボールを奪い返した後の攻撃イメージ」があるからこそ・・というわけです。ベングローシュ監督は、本当に優れた仕事をしていると感じます。

 もう一つ、ジェフの守備ブロックが、素晴らしく「バランス」しているというポイントもあります。それを指揮しているのもミリノビッチなんでしょうが、互いのポジションが、微妙な「間隔」をベースに、(最後の瞬間まで)素晴らしくバランスしつづけるんですよ。「寄りすぎず」、「追いかけすぎず」、それでいて、最後の瞬間には、確実に(アタックのための)タイトマークやインターセプトの「ポジショニング」が機能する・・。まあ、レッズが同点ゴールを挙げたシーンでの茶野のマークのズレはありましたがネ(ジェフの最終ラインがウラを突かれた唯一のシーン!?)。

 それに対して、レッズの守備におけるマンマークへの移行のタイミングは、やはり「早い」と感じます。そして、互いのポジショニングバランスが崩れていく(要は、どんどんとスペースが出来てしまうということ!)から、後は、それそれのマンマークが外れないことを(個の競り合いに勝つことを)祈るのみ・・ってな構図ですかね。フムフム・・。

 守備における、「組織プレー」と「個人勝負プレー」のバランス・・なんて表現できるのかも。要は、完全に「1対1」になってしまうような最終勝負場面を極力減らそうという発想とか、できる限り「数的優位(カバーリングの機能性)」を演出しようという発想なんて表現できそうです。

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 試合は、ボールキープ率とは関係なく、内容では、確実にジェフのものでした。まあ後半のレッズは、エメルソンの退場で一人足りない状態でプレーせざるを得ませんでしたがね。

 「2-1」とリードされた最後の時間帯でレッズが魅せた猛攻ですが、それは何といってもボールのないところでの動きがダイナミックだったからに他なりません。だからこそ、タテパスが活発に飛びだしたし、それがうまく通る場面が続出したのです。

 もちろん、ジェフの中盤守備が、ちょっと受け身になったこともありますが、それでも、「あの迫力」は、やはりレッズが本来もっているキャパシティー(チカラ)の証明だったと思います。あれほどのダイナミズムを演出できるのに、どうも「戦術的な(規制方向の)発想」に縛られ過ぎてしまっている・・!? 攻撃は、エメルソン、トゥット、アリソンに任せて(ボールを奪い返したら、とにかく彼らの足許へパスを出す!)、残りの選手たちは、とにかく「まず」守備への意識を徹底させる・・!?  そろそろレッズは、攻撃でも、もっと吹っ切れていい時期にきているのでは・・なんて感じている湯浅です。攻守にわたる「戦術的な発想」はもちろん大事です。それでも、「戦術を超越」したところに、サッカーの本当の喜び、楽しみがあることも事実ですからね。人はそれを「本物のモティベーション」なんて呼んだりするんですよ。努力の先にある、目眩く(めくるめく)快楽・・なんてネ・・。

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 両「阿部」については、まあまあの出来だったとしておきましょうか。両者とも、途中で(ゲームが大きく動きはじめる前に=攻守にわたるダイナミズムが大きく活性化しはじめる前に)グラウンドから退いてしまいましたからネ。

 阿部敏之は、精力的な動きや正確なパスなど、攻守にわたって評価できるプレーは披露しました。それでもやはりサッカーは「チームゲーム」ということで、チーム全体が「戦術イメージ」に引っ張られすぎる(攻撃へのサポートが、後ろ髪を引かれている)状態ではネ・・。

 でも、そんな沈滞したムードの中で、ものすごく気を吐いている選手がいましたよ。平川忠亮。どんどんと自信レベルを発展させていると感じます。目立ちに目立った、左サイドでのドリブル勝負だけではなく、守備でも堅実なプレーを魅せていましたからネ。中央ポジションでのプレーでは、まだ課題が見え隠れするとはいえ、サイドに出たときの彼のダイナミズムは頼もしい限りです。

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 ファーストステージは、ジュビロ優勝で閉幕しました。奥の移籍、アルゼンチンで自分のプレーイメージが完全に狂った高原、怪我が癒えていない名波・・。そんな状態でスタートしたジュビロでしたが、「我慢に我慢を重ねて」しっかりとマリノスに食らいつき、最後の最後で逆転優勝を飾りました。立派なタイトルでした。

 セカンドステージは、ジュビロ、マリノスにガンバ、アントラーズやグランパス、はたまたエスパルス等が、エキサイティングな優勝争いを展開してくれるに違いありません。あっと・・パープルサンガやジェフの「ステディーなサッカー」も見逃せませんよ・・もちろん・・。

 ということで、本日はこのくらいで・・。



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