いずれも高い位置でのボール奪取から、鋭いカウンターを仕掛けていくというシーンでした。それにしても、レッズの「蜂の一刺し」に勢いが乗っている。確信レベルが一段階発展した?! まあ、そういうことでしょう。私は、これこそ「タイトルの威力」だなんて思っていました。勝者のマインド(メンタリティー)は、この試合全体を通じてビンビンに響きわたっていましたよ。
またここでも決め言葉を一つ・・。とにかくエメルソンは凄い! また田中達也のブレイクスルーにしても、際限なくスルーしていってしまう(そのまま世界レベルまで通り抜けろ!!)。
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さて、レッズに5点も奪われて惨敗を喫したヴェルディー。まさに自業自得といったところ。何せ、怠慢プレーが目立つことで守備の起点がまったくと言っていいほど演出できないし、また攻撃にしても、ボールをキープすることが(ポゼッションを高めることが)彼らの目標イメージになっている(?!)とすら感じられちゃうのですからネ。
それにしてもヴェルディー選手たちのプレーマインドは怠惰の極み。これについては、第10節でのレポート(柏戦)を参照していただきたいのですが、とにかく高慢です。忠実な汗かきマインドがまったく感じられないのですよ。攻撃においても、守備においても。彼らは、マラドーナが10人集まったチームじゃないのです。他チームよりも少しだけ個々のテクニックレベルが高いという「だけ」なのに・・。
彼らが上手いことは誰もが知っていることです。でもその上手さが、攻守にわたって実効シーンの「リソース」になっていない。ということは、単に上手いだけのヤツらがマスターベーションをしているということか?! ちょっと言い過ぎのようにも感じますが、とにかく「出来るヤツらが、高慢な怠慢プレーに奔っている」ことほど腹が立つ現象はありませんからね。
まあなかには、サボっていてもあれだけできる(これほどの成績を残せる)のは凄い・・という意見もあると聞きますが、それって正しいんですネ。プロだったら、相手の実力に合わせたサッカーをやるなんていうプレー姿勢は愚の骨頂です。常に全力で最高レベルのサッカーを目指すというプレー姿勢こそがプロのあるべき姿では?! それがなければ、プロサッカーが発展するわけがない。何せ、人々に感動を与えられないのですからネ。とにかく、ヴェルディー選手たちのプレー姿勢には腹が立つことこの上ないのです。
守備では、美しい(楽な)インターセプトを狙うばかりで、ボールホルダー(次のパスレシーバー)への忠実なチェイスやチェックなどの汗かき作業はまったくお座なりです。もちろんボールがないところでのマーキングでは、「どうせパスなんてこないだろう・・」ってなマインドですからネ。もう何をかいわんやです。こんなだから、レッズに自由にパスをまわされたり、フリーランニングとスルーパスのコンビネーションでウラを突かれてしまうのも道理なのです。
この試合でのレッズの成果(特に攻撃)ですが、その背景を、ヴェルディーのディフェンスが低級だったからとするのか、レッズのサッカーが一段階発展したからとするのが正解なのか・・。まあ結論は、その両方ということですが、私の目には、ヴェルディー守備のいい加減さばかりが目についていたから、割合では、確実に「前者」ですかネ。
ヴェルディーは、レッズの攻めを「受けわたしマーク」で十分に抑えられると踏んでいたのでしょう。でもフタを開けたみたら、完全に振り回されつづけてしまう・・それでも方向修正しようとせず(誰も責任を負おうとはせず!)、ズルズルと、うまくいかない守備のやり方をつづけてしまう・・ボールホルダーや次のパスレシーバーに対するチェックが遅いから守備のポイントができないのも道理・・そしてどんどんとフリーなレッズ選手が出てきてしまうことでマークの受けわたしがファジーになったり、最終勝負シーンでのフリーランニングを「行かせて」しまったりしてしまう・・。
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そんな低級なヴェルディー守備だったから、レッズの攻撃が目立つのも当たり前?! いやいや、レッズの攻めが発展していることも確かな事実ですよ。組織プレーにしても、ドリブルという個の勝負のファウンデーションとして(個の最終勝負をうまく活かすように!)うまく機能するようになっていますからネ。まあレッズの場合は、ボールを奪った瞬間から、すぐに最終的な仕掛けを狙うプレーに入っていくから、選手たちも、より素早く明確に仕掛けイメージを描きやすいということもあるのでしょう。例えばこんな具合・・。
ボールを奪ったら、「まず」最前線の決定的スペースへの一発ロングパスをイメージする・・それがだめなら安全パスをつないで、中盤の低い位置で「仕掛けの起点」を作り出す・・そこから、最前線の三人の足許へパスを供給するか、勝負のフリーランニングスターに合わせた一発勝負パスを通す・・等々、彼らの場合は、ボール奪取から最終勝負までの「手数」は、まさに(無為にボールをキープする)ヴェルディーの対極にあるといっても過言ではないのです。
まあとにかく、私は、ヴェルディーの守備が(特にボールがないところでのマーキングが)あまりにもいい加減だったから、レッズも、楽に仕掛けシーンを演出できていたと思っているのです。
だから最終の仕掛けへ向けた組織プレーも楽に展開できる・・だから楽に「起点」を作り出すことができる・・だから最前線との「アイコンタクト」も楽にできる・・だから、フリーランニングとスルーパスの最終勝負コンビネーションもうまく機能させられるし、ツートップが、最終ドリブル勝負に入っていきやかいカタチでタテパスを供給することができる・・等々ってな具合なのですよ。
もちろんレッズの仕掛けが、個の勝負クオリティーが抜群に高揚している田中達也とエメルソンに「うまく」ボールを回すというイメージで集約されていることは言うまでもありませんがね。だから周りも、その目標イメージで統一されたサポートプレーに徹することができるというわけです。
そんなレッズの攻めを見ながら、どんなチーム戦術でも、徹底したら勝負強さを発揮するという普遍的コンセプトを反芻していた湯浅でした。
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試合の流れですが、後半立ち上がりの時間帯、ヴェルディーのサッカーが大きく活性化しました。要は、ボールがないところでの忠実な動きが出はじめたことで、ボールがより活発に動くようになったということです。そして、より攻撃に変化をつけられるようになったことで、積極的に勝負パス(タテパス)も出せるようになった。まあそれには、二点をリードしたレッズ選手たちのプレーイメージが、よりディフェンスに偏っていたという側面もありますけれどね。
それでもヴェルディーが一点を返したところから(後半18分の林のゴール)、またまたレッズのプレーが攻守にわたって活性化していくのです。そんなゲームペースの再活性化は、いままでに見られないことだった?! あれだけパスを回されたり、局面でアタックをかわされたりしたら、自信レベルが低落し、心理的な悪魔のサイクルに落ち込んでしまいそうなモノなのに。でもこの試合でのレッズは、まったく違っていたのですよ。浸透しはじめた勝者のメンタリティー・・。
そして後半25分に、山瀬の、「トリッキートラップ&キャノンシュート」が決まったあたりから、レッズの勢いが止まらなくなります。いや、勢いが止まらないというよりは、ヴェルディーの攻撃を、忠実ディフェンスで抑え込むなかから繰り出していく素早く直線的な仕掛けに再び「確信エネルギー」が乗ってきたということなのかもしれません。
そして次から次へと繰り出されるドリブル勝負。田中達也のドリブルシュート・・平川のドリブルシュート・・。それは、それは目の覚めるような「確信エネルギーの爆発」でしたよ。なかでも平川のゴールが見事だった・・。右サイドには山瀬がフリーでパスを待っていたのに、パスをせずにドリブル勝負を仕掛け、見事に相手を振りきってシュートを決めたのですよ。まったく物怖じしない吹っ切れた勝負。そこには、相手ディフェンダーを呑み込んでしまうだけの迫力がありました。それこそ勝者のメンタリティー?! まあ、そういうことです。だからこそ爽快なゴール!
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前半9分の、コーナーキックからの先制ゴール以来、たしかにヴェルディー守備ブロックは、「タテに開いてしまう」という傾向に陥っていました。だからレッズの、一発カウンターや、中盤を経由するカウンターも(中盤が空き気味だったから)うまく機能した?!
たしかにそれもあるでしょう。でも私は、やはり、選手たちのイメージ作りという意味でのゲームプランのミスだと考えているのです。あれほどのツートップを擁しているレッズと対戦するのですからネ。まずそのポイントを確実に抑えるのが先決でしょう。それを「受け渡しのスマート守備」で対処してしまおうとするヴェルディーの高慢。それこそがこの試合での明確な敗因でした。いやそれだけではなく、そんな彼らの「高慢なプレー姿勢」はリーグ総合成績の行方をも左右してしまう・・。
ちょっとネガティブな見方ばかりをしてしまいましたが、逆にこの試合内容を、彼らが「再び良くなる」キッカケにすることができるかも・・と捉えられないこともない?! 自分たちの高慢プレーを見直し、オジーが就任にした当時の「真摯なプレー姿勢」を思い出す機会にするのです。それこそがオジー・アルディレスのタスクなのですが、さて・・。そんなチーム再生プロセスほど興味を惹かれる見物はない・・。注目しましょう。
私は、残り三節を、レッズ中心に観戦しようと思っています。出来れば来週は、清水まで出向こうか・・なんてネ。