内容では圧倒し、決定的なチャンスを作りつづけていたにもかかわずゴールを奪えないでいたレッズが、一瞬のミスで失点し(GKはゴールマウスを飛び出したら絶対にボールに触らなければならない!!)、その後の心理ストラグル(=心理・精神的なセルフコントロール能力のせめぎ合い!)でアントラーズに主導権を握られて一人を退場処分で失ってしまう・・それでもレッズは、ガンガンと攻め上がりつづけ、しっかりとシュートチャンスも作りつづけたけれど、結局はアントラーズに守りきられてしまった(逆の見方をすれば、レッズがチャンスをゴールに結び付けられなかった)・・。湯浅は、内容と結果が一致するゲームが健康的だと思っている現場のサッカー人だから、そんなゲーム展開を観ながらフラストレーションをためていたという次第。
アントラーズだけれど、あんなに消極マインドに陥っているとは思わなかった。とにかくそんなアントラーズのパフォーマンスをアップさせるのは大変な作業だと思いますよ。何せ、攻守にわたるボールなしアクションの量と質が悪すぎる。それは、選手たちが仕事を探しつづける積極姿勢のレベルを評価するもっとも重要なパラメーターなのですよ。もちろんそれは、アントラーズ選手たちの「基本的な能力レベルにしては・・」という基本的な視点に立った評価ですよ。決して、はじめから「出来ない」チームに高望みしているわけじゃありません。だからこそ、不健康なフラストレーションがたまるというわけです。
クレバーに、クレバーに・・なんていう、効率的なサッカーを追求するプレー姿勢だったら、選手たちの能力が高いからこそ、逆に「アリバイプレー」の性向が強まってしまうのも道理なのです。能力が高ければ高いほど、攻守にわたってとにかく積極的に、攻撃的にプレーさせることがコーチングスタッフのミッションなのですよ。クリエイティブなムダ走りというコンセプトを前面に押し出してネ。でもアントラーズは・・。とにかく、素晴らしい基本キャパシティーを備えたチームだからこそ、彼らのプレー姿勢にまったく納得できない湯浅なのですよ。
それに対してレッズ。そんな大きな課題を抱えたアントラーズを攻め切れずに守りきられてしまいました。私は、前半30分までに作りつづけた決定機を決め切れないレッズを観ていて、隣に座るジャーナリスト仲間に、「アントラーズ守備ブロックを振り回して作り出すレッズのチャンスメイクは素晴らしい・・組織パスと個人勝負のバランス感覚もいい・・また、作り出しているチャンスの内容も、まさに100パーセントと呼べるくらいにハイレベルなものだ・・けれど、これだけ何度もハズしたら、何かゴールが入る気がしなくなってくる・・こんな展開がつづいているなかで交通事故の一点を入れられ、それでモティベーションアップしたアントラーズ守備ブロックに守りきられてしまう・・この試合は、結局そんな展開になるような気がするな〜〜」なんてことをボヤいていていた次第。まさかレッズに退場者が出るなんてことは考えもしなかったけれど・・。
ところで試合後の記者会見。そこでギドに対して、「どうしてゴールを入れることが出来なかったのでしょうか?」という質問が出たときのことです。そのときのギドの反応は、両手を大きく広げ、「我々が次々とチャンスを作りつづけたことは皆さんも観られたとおり・・ゴールを入れられなかったのは、ツキがなかったとか、そういう答えになってしまう・・もちろん質問の骨子が、シュートチャンスを作り出したにもかかわらず、それをゴールに結びつけられなかったことに対する理由だとしたら、それに対しては、もちろん練習で最終シュート場面のイメージアップを図らなければならないという答えになるけれどね・・」。ギドは、質問者が本当に聞きたかったことも含めて十分に答えていました。
このテーマについては、もっと深めなければと思っている湯浅なのです。要は、シュートチャンスを実際のゴールに結びつける「決定力」と呼ばれるモノの本質的な(言葉で表現できるようなロジックな)背景ファクターのことです。まあ、人は「それ」を才能と呼ぶわけですが、それにしても、もし分かりやすい言葉の表現で人に(選手たちに)うまく伝えられたら、後天的にも何とか出来るような気がしているのですよ。もちろん「そこ」には、身体能力やテクニック、戦術的な理解や応用力、そして心理・精神的なファクター全てが内包されるのでしょうがネ。
前ドイツ代表監督で、ドイツサッカー史に残るスーパーストライカーでもあったルディー・フェラーは、「シュートモーションに入るとき、既に、ゴールに飛び込んでいるボールが見えることがある・・」なんていう表現をするし、アルゼンチンの天才ゴールゲッター(マリノスでもプレーした)ディアスは、「最後の瞬間に、フッと軽く息を抜くことが大事・・」なんて微妙なことを言う。私はそれを、シュートをする瞬間の確信レベルを、より確固たるソリッドなモノにすることなんだろうなと思ったりしていました。最後の一瞬、フッと息を抜くことで落ち着ければ、より正確にシュートモーションを自律的にコントロールできる?! その現象は、自分のアクションを「周りで観察している別の自分いる」なんて表現できるかもしれない・・。
とにかく、そんな自信と確信に支えられる(心理ベースともいえる)「間」については、たしかにトレーニングでアップできると思っている湯浅なのですよ。実際に、私が尊敬するドイツのスーパーコーチ、故ヘネス・ヴァイスヴァイラーがやっていたトレーニングをつぶさに観察し、そこでの効果を体感したこともありますからね。だからこそシュートトレーニングでの「意識」が重要な意味をもつ。そこで漫然とキックしている選手たちに、一つひとつのアクション(シュート)の背景を明確にイメージさせ続けることで、必ず「決定力」はアップするはずなのです。このポイントについて、今度誰かと「対談」してみたいですね。さて、誰がいいだろうか・・。
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あっと・・レッズのサッカー内容についても簡単にまとめておかなければ・・。ギド・ブッフヴァルトが前向きにイメージしている「攻守にわたる積極的なブレッシングサッカー」はかなりのレベル出来ているし、攻撃でも、しっかりとスペースを意識できるようになっていると感じます。ここで言うスペース活用ですが、要は、人とのボールの活発な動きをベースにした組織パスプレーも発展しているという意味です。だからこそ永井やエメルソンの個の勝負能力も、より効果的に活かされるというわけです。要は、選手たちの、組織プレーと個人プレーのバランスイメージも着実に進展しているということです。でも結局、結果はついてこなかった。まあサッカーだから、こんなこともあるさ・・。ギドにしても「こんなこと」は何万回も経験しているだろうから、うまくチームの雰囲気をマネージするでしょう。とにかく次だ、次だ。それにしてもエメは、まだまだトップフォームにはほど遠いから心配だけれど・・。
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素晴らしいダイナミックサッカーでアルビレックスに圧勝したFC東京についても簡単に・・。彼らは、本当に、全員守備・全員攻撃というイメージの素晴らしいアクティブプレーを魅せてくれました。そんなサッカーを観ながら、様々なキーワードが思い浮かんだものです。
「ダイナミックなブレッシングサッカー」、「グラウンド全面で、攻守にわたって常に数的に優位な状況を作り出してしまうダイナミックサッカー」、「シンプルで速いサッカー(原監督)」等々。そこで試合後の記者会見でこんなことを質問してみました。「この試合での東京は素晴らしくダイナミックな組織サッカーを展開した・・とにかく守備にしても攻撃にしても、選手たちに共通するリズムがある・・特に攻撃にうつったときには、まあサイドから攻め上がるケースが多いわけだけれど、その流れに常に、少なくとも2-3人の味方選手が全力ダッシュで参加している・・そこに共通のイメージがなければ、そんなアクションは出てくるはずがない・・要は、自分がパスをもらえるという具体的なイメージを持っているということ・・それが、そのような活力あるサッカーの基盤になっていると感じる・・」。湯浅の質問は、いつも前段が長いのですよ。そして質問の骨子にうつりました。「ところで昨年まで主力だったケリー選手・・彼がいた当時、どうしても(原さんが言う)シンプルで速いリズムに乱れが生じるケースも多かったと思う・・もちろんケリーは素晴らしい選手だし、彼のクリエイティビティーに助けられた面もあったけれど、逆に彼がボールをもって個人勝負に入った場合、チーム全体のリズムが遅くなって、組織プレーに支障をきたしたシーンもあったと思う・・もちろん、いつも同じようなシンプルで速いリズムだったら相手に抑えられてしまうだろうから、そこでケリーが変化を演出するという効果もあったわけだが・・今シーズンからは、ダニーロというクリエイティブ系の選手が入ったが、そのマネージはどうか・・」。スミマセンね、質問が長くて・・。
それに対して原監督。「たしかに昨シーズン(セカンドステージ)ケガ上がりのケリーが入ったとき、攻めのリズムが遅くなってしまうというケースも多かった・・もちろん彼の個人勝負で助けられた面も多かったわけだけれど・・それに対して(今シーズンもウチでプレーする)ルーカスのプレーリズムには、チームに共通したものがあるから問題ない・・今シーズンから加入したダニーロだが、まだチームのリズムに慣れていないし、チームメイトたちからの信頼を十分に勝ち取っているというわけではない・・だからこの試合では先発から外した・・彼も、慣れてくれば良いプレーをすると思うから楽しみだ・・」。
要は、この試合で魅せつづけたダイナミックサッカーの「リズム」が東京のサッカーであり、原さんは、「それ」を基盤としてイメージしているということなのでしょう。もちろん
「それだけ」ということになったら問題も生じてくるでしょうけれどネ。サッカーの攻撃の絶対的なコンセプトは、何といっても「変化」ですからネ。
とにかく今シーズンは、FC東京も優勝候補。彼らの発展にも期待しましょう。乱筆・乱文・誤字・脱字・・失礼。