とにかくヴェルディ選手たちも、何らかの変化(刺激)を必要としていたということなんでしょう。もちろん、監督とチャンスメイカーだけじゃなく、チームが内包するイニシアチブ・ストラグル(主導権争い)の構造的変化も含めてネ。要は、新たにチームに加入してきたニューウェーブによって、それまでチームを支配していた「上手いベテラン」の影響力が薄れるという期待が、若手を中心に充満してきているということです。もちろん「実体」については当事者のみぞ知る・・ということですが、とにかく私は、そんな「ポジティブ変化の胎動」をハダで感じていましたよ。
具体的な現象としては、平本と小林大悟、そして山田と相馬の両サイドバックがはつらつとプレーしていることをまず挙げなければ・・。そうです、先シーズンの後期に満ちあふれていた「若手の勢い」が再び活性化されつつあるということです。もちろんそれは、バドン新監督の手腕によるのでしょう。平野と小林慶行が、(自殺点で同点に追いつかれるというエマージェンシーにもかかわらず)最後までベンチを温めつづけていたという事実が、そのあたりの深い事情を物語っていると感じていた湯浅でした。これからのヴェルディには、大いに期待できる・・。
「ヴェルディ選手たちは、非常によいモノを持っている・・でも、たしかにボールを回す能力は高いけれど、勝負所へ突っかけていかなければならない状況でもまだパスを回している(もっとメリハリを付けてリスクにもチャレンジしていかなければならない!?)・・また、中央から仕掛ける傾向が強すぎる・・もっとサイドを有効に活用することで相手守備ブロックのバランスを崩したり穴を空けることができるし、こちらの仕掛けの可能性も大きくなる・・」。バドンさんは、そんなことを言っていました。
ちょっと、その発言に刺激された湯浅は、その発言に対してこんな質問をしてみました。「いまバドンさんは、二つのキーワードを言われました・・一つは、無為にパスを回し過ぎる・・そして中央突破が多すぎる・・まさにそれがヴェルディーが抱えている問題点だけれど、そのことについて事前に情報を仕入れたのでしょうか・・それとも来日してから確認したことなのでしょうか・・?」。ちょっと失礼だったかな・・。でもバドンさんは、真摯に、「それは、来日してからの練習や、フィオレンチーナ戦などで気付いたことだ・・」と応えてくれました。
またこの試合でのヴェルディの守備についても、ボールがないところでのプレー内容に好転する気配を感じました。要は、例えばボールがないところでのマークなど、忠実に汗かきをしなければならないところでは、しっかりと最後までマークしつづけるという意志が見えはじめたということです。守備なんて、サボろうと思えば、いくらでも「目立たないように」サボれますからね。人はそれを、効率的でクレバーなディフェンスなんて呼ぶことがあるんですよ。そして、ほんのちょっとでもタガが外れたら、チーム全体のフォームが奈落の底へまっしぐら・・。ここらあたりのメカニズムこそが、全てのコーチにとってのメインテーマというわけです。
さて、これから楽しみになってきたヴェルディと対峙した大宮アルディージャ。例によってのダイナミックな忠実サッカーで存在感を発揮しました。たしかに前半はチンチンにやられちゃったけれど、後半になってチーム戦術を変えたことで、中盤ディフェンスが抜群にアクティブになりましたよ。やはりサッカーの絶対的なベースは守備。その機能性が高揚したことで、それぞれの攻撃プレーも有機的に連鎖するようになりました。たしかに、最終勝負シーンでのアイデアレベルではヴェルディに後れをとるけれど、特に後半に魅せた攻守にわたるチーム全体での闘う姿勢には大いなるシンパシーを感じます。後半での柔軟なチーム戦術の変更と的確なイメージ作り、そして闘う意志の高揚。三浦監督は、良い仕事をしています。
明日は、BSジャパンで放送されている「サッカーTVワイド」のために、名古屋でネルシーニョ監督と対談です。楽しみなのですが、5時に起きて東京駅へ行かなければなりません。ということで、今日はこのあたりで・・。