ゲームの立ち上がりは、全体的な流れでは互角といえるけれど、チャンスの実質的な内容ではレッズの方が確実に上回っている・・なんていう展開でしたかね。そこで目立っていたのは何といっても田中達也。後方からのタテパスと見事にシンクロした2度のタテへの抜け出し(そこからのラストクロスが決定的チャンスを演出!)や、シュートまでいったドリブル突破チャレンジなど、最終勝負の仕掛け人として存在感を発揮していました。
対するジュビロ。たしかにボールは動くけれど、それが決定的なウラ突きパスとして結実しない。どうも、パサーと、パスレシーブの動きを仕掛けていく仲間とのイメージがうまくシンクロしていないと感じます。以前だったら、勝負パスを呼び込む決定的な動きが「複合」していたものですが、このところ、どうもボールなしの動きに精彩がない(勢い=強烈な意志が感じられない)。以前ジェフのイビチャ・オシムさんが、「ジュビロは、日本で唯一、常に8人で攻め、10人で守ることができる素晴らしいチームだ・・」と称賛を惜しまなかったのですが、そんな素晴らしい存在感にも暗〜〜いカゲが落ちている・・。そうそう、この「8人で・・10人で・・」という表現は、第6節のコラムで「問題」になりましたっけネ・・あははっ・・。
試合後の記者会見で山本監督が、「前田と中山の交代については、前田の疲れだけではなく、前線での動き出しが十分ではないと感じたこともあった・・」と言っていました。それこそ、今のジュビロが抱える課題の本質だったりして・・。以前のジュビロは、人の動きが常に「同時に複合」していましたからね。最前線でゴンが動いてスペースを作り、タテパスを受けたゴンが、そのスペースに「長い距離を走って入り込んできた」藤田へダイレクトパスを出すことで「仕掛けの起点」を演出する・・とかね・・。それが、このところのジュビロでは、人の動きは、決定的なシーンでの「単発」ばかり。これだったら守備側もまったく怖くない・・。まあジュビロは、まだまだ時間がかかるということです。
それに対してレッズ。時間の経過とともに、レッズとジュビロが展開するサッカーの質の差が、より明確に見えてきたものです。レッズが守備で魅せる連動性は、確実にジュビロの上をいく。また、重要なシーンでのボールなしマーキングも忠実で効果的。だからジュビロはウラのスペースを突いていけない。要はレッズの方が、より深く「主体的な守備意識」が浸透しているということです。また攻撃でも、シンプルにやるところと個人の勝負が、よりメリハリが効くようになってきている・・それがあってはじめて、ヤツらの「個の才能」が最大限に活かされる・・エメも、ごり押しせずシンプルにパスを回したり、自分がオトリになってスルーバスや決定的クロスを通したりと実効ある攻めを魅せた・・とにかく後半に、組織プレーベースで作り出したチャンスの量と質は、まさにリーグトップレベルでしょう・・。
とにかく、勝てなかったことは確かな事実ですからね。誰でもフラストレーションは溜まりますよ。とはいっても、私のテーマは、「内容は決して悪くないのに、それに正当な結果がともなってこない場合、往々にしてサッカー内容にも心理的な悪影響がおよんでくるもの・・今のキビシイ心理環境のなかで、レッズが、攻守にわたる主体的で前向きなチャレンジをどのくらい継続していけるのか・・そしてそれが、いつ、どのようなカタチで報われるのか・・ほんのちょっとしたキッカケで勢いよく回転をはじめるに違いない善循環サイクルのキッカケは?・・もしかしたら、そこで決定力と呼ばれる現象の本質まで明確に見えてきたりして・・」といったモノだから、観戦モティベーションは、戦績とは関係なく高まるばかりなんですがネ。とにかく今のレッズにとってもっとも大切なキーワードは、何といっても「継続こそチカラなり」なのです。
この試合については、そんなところですかネ。いま2300時。これから、エコパを後にして東京へまっしぐらなのですが、実のことを言うと、今回はちょっと日和って移動手段をクルマにしてしまったのですよ。いま考えると本当に残念。単車を駆るには最高の気候なのにネ。そして、2002年当時のことを思い出していました。あの頃は、何度も、何度も、東京とエコパを往復しながら、ポジティブなスピリチュアルエネルギーを体感していたじゃないか・・ってね。でもまあ仕方ない。それでは、クルマでシコシコと帰ります。