湯浅健二の「J」ワンポイント
- 2006年Jリーグの各ラウンドレビュー
- 第1節(2005年3月4日、土曜日)
- チカラがある同士の積極的な攻め合いでした・・(ガンバ対レッズ、1-1)
- レビュー
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- どうも皆さん、先ほど成田から自宅へ戻り、録画しておいたガンバ対レッズを着替えるまもなく見はじめました。チカラのある同士がぶつかり合う(互いに積極的に攻め合う)ダイナミックなエキサイティングマッチ。見応え十分じゃありませんか。この試合については、印象レベルで短くレポートしておくことにします。
「ゼロックス」を観てからドイツへやってきたジャーナリスト仲間の見方では、レッズが内容で明確に上回っていたからレッズの勝利は順当なものだった・・というのが大勢を占めていました。ただこの試合は、「全体的」にみれば、「まあ・・」互角という内容でしたね。
立ち上がり2分に山田&ワシントンコンビでぶち込んだレッズの先制ゴール・・もちろん次の瞬間からガンバがより積極的に押し上げてくる・・ただ、うまく仕掛けイメージがかみ合わないことでレッズ守備陣のウラスペースを突いていけず、結局フェルナンジーニョとマグノ・アウベスの個人勝負に頼ることになってしまう・・そんな攻めあぐむガンバに対し、レッズが仕掛ける素早いカウンターは、危険そのもの・・ポンテ、小野、長谷部、山田、アレックスといった連中の才能がほとばしる・・前半の実質的な試合内容は、完全にレッズが凌駕していた・・
・・でも後半に入り、ガンバの攻撃も徐々に「かみ合う」ようになってくる・・組織パスプレーを基盤に、フェルナンジーニョとマグノ・アウベスの個の才能を活かせるようになってくるガンバ・・要は、ボールの動きを活性化することで、個の才能たちが「良いカタチ」でボールを受けられるようになっていったということ・・
・・その背景ファクターとして、明神(新加入)、遠藤、橋本で構成する、最終ライン前の中盤守備ブロックの高い機能性をまず挙げなければならない・・その三人による攻守にわたるダイナミックな機能性こそがガンバの心臓(闘う意志のリソース!)・・それがあるからこそ、前線の才能だけではなく、家長と加地(新加入)の両サイドも後ろ髪を引かれることなく最終勝負シーンへ絡んでいくことが出来る・・両サイドバックとフェルナンジーニョ&マグノ・アウベスの個の勝負は見応え十分・・
ということで、同点ゴールが決まった後は、互角のチャンスメイクコンテンツでした。とにかく両チームともに最後まで勝ちにいっていたことは「J」にとって大いなる価値があることでした。
レッズについてですが、最終勝負への仕掛けの実質的な内容では、ガンバを上回っていると感じます。活発なタテのポジションチェンジも含む組織プレーと、状況を見計らったタイミングのよい個人勝負プレーのバランスがうまく取れているということです。
もちろん、そんなダイナミック攻撃の絶対的なベースは、チームに深く浸透した守備意識。チャンスがある誰もが最終勝負シーンまで絡んでいっていい・・それでも次の守備で、人数的・ポジショニング的なバランスが崩れることはない・・それに対する確信があるからこそ、前後左右のポジションチェンジの「実効レベル」を高揚させることができる・・これで少しでも不安因子がアタマをもたげたら、すぐにでも、積極性の意識バランスが崩壊してしまう・・リスクチャレンジを支える守備意識にこそ、監督のバランス感覚というウデが発揮される・・ってなことですかね。とにかくその視点で、フェルナンジーニョとマグノ・アウベスの個の才能に頼る傾向が強いガンバよりも、レッズの攻撃の方が、より進歩的と言えるかもしれません。
最後にアレックスについて。先日のボスニア・ヘルツェゴビナ戦でも目立っていたけれど、やはり彼の「イージーなマインド」は矯正されなければいけません。特に、ボールがないところでのマーキング。自分のイメージを超越した相手のパス攻撃では、完全にウラを突かれてしまうといったネガティブシーンが目立つのですよ。要は、「この状況だったらどうせパス来ない・・」とか、「この状況だったら、このコースのパスしかない・・」という安易なマインドが先行することで(!?)、忠実なマーキングコースに全力で戻るのではなく、ぬるま湯ランニングでパスコースに入るだけといった体たらくなのです。またボールを持つ相手との「1対1」でも、安易なアタックマインドが味方をピンチに陥れていました。安易なアタックモーションの逆を取られたり、そのアタックモーションの故に置き去りにされたり。それだけじゃなく、すぐに追い掛けるのを諦めてしまうという悪癖もあります。そして味方の守備ブロックが大ピンチに陥ってしまう。あれ程の才能に恵まれているからこそ惜しいと思うし、腹も立つ。彼には優秀な心理カウンセラーが必要なんだろうね。
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