湯浅健二の「J」ワンポイント
- 2006年Jリーグの各ラウンドレビュー
- 第20節(2006年8月26日、土曜日)
- 完璧にフロンターレの「ツボ」にはまった試合になってしまって・・(アルディージャ対フロンターレ、1-5)
- レビュー
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- 「この試合では、キーポイントだった先制ゴールを挙げられたこともあって、その後は自分たちのサッカーができた・・」。(このところアウェーで勝てなかったが・・という質問に対しては)「たしかに勝ち切れなかったけれど、それでも内容的に悪いわけではなかったから、まったく心配していなかった・・」。
なかなか自信にあふれた会見でしたよ、フロンターレの関塚監督。まあその自信には明確な根拠ありってなところですかネ。彼の発言のなかでは、「先制ゴールがカギになる・・」というクダリには背景コノテーション(言外に含蓄される意味)があります。要は、総体的な守備パフォーマンスだけではなく、相手が押し上げてくる状況で繰り出す必殺カウンターにも自信がある・・ということです。そう、この試合でも、ジュニーニョが完璧なカウンターゴールを決めたしね。
そのカウンターだけれど、もちろんそれは、彼らの中盤ディフェンスの機能性が素晴らしいからに他なりません。有機的に連鎖しつづける効果的な守備アクション(ボール奪取勝負イメージの有機的な連鎖!)。
だからこそ「高い位置」でボールを奪い返せるチャンスを次々と演出だきる・・だからこそ、最前線のジュニーニョと我那覇も、相手守備ラインのウラスペースへ向けた全力ダッシュ(決定的フリーランニング)をタイミングよくスタートできる・・だからこそ、ボールを奪った味方も、躊躇することなく、決定的スペースへのスルーパスを通すことができる(すぐにスルーパスをイメージすることができる!)・・っちゅうわけです。その中盤ディフェンスからカウンターへの流れこそ、有機的なプレー(イメージ)連鎖の集合体そのものなのです。
フロンターレの攻撃イメージだけれど、それは、ジュニーニョ、マギヌン(前線の汗かき)、そして我那覇というトップ三人に両サイド(この試合ではマルコンと飛弾暁)が絡むというのが基本だよね。そして、その流れに、谷口と中村で構成する守備的ハーフコンビがタイミングよく参加してくるというわけです(二列目、三列目からの最前線への飛び出しを狙いつづけている!)。
とにかく、この守備的ハーフコンビこそが、いまのフロンターレ快進撃の陰の立て役者だからね。あっと、この試合じゃ、中村が2ゴールを入れたから、カゲから表舞台に躍り出たっちゅうことになったわけだけれども・・。
とにかく、この守備的ハーフコンビが(味方へ向けて)放散する「中盤守備のリーディングパワー」は秀逸ですよ。まず自分たち自身が全力でのチェイス&チェックに入るなど、労を惜しまないし、実際の「1対1」のボール奪取勝負シーンでも無類の強さを発揮するからね(守備テクニックが本当に上手い!)。だからこそ、周りも全力で彼らをサポートせざるを得なくなり、全体的な(中盤)ディフェンスが活性化するというわけです。だからこそ、この二人のディフェンスには「無言のリーディングパワー」が秘められている。
それに対して、この試合でアルディージャが展開した中盤守備のお粗末なこと。チェイス&チェックという、もっとも大事な汗かきプレーがおろそかだから、そうなってしまうのも道理。何せ「守備の起点」を演出できないんだからね。これじゃ「次のボール奪取を狙う」なんていうクリエイティブな「連鎖ディフェンス」だって機能するはずがない。マーカスという個の才能に長けた選手がいるけれど、どうも、選手一人ひとりのボール奪取勝負イメージが「有機的に連鎖」しない。まあ、この試合に限ったネガティブ現象だったんだろうけれどね。
私は、特に小林慶行のプレーに大いに不満でしたよ。彼は、中盤ディフェンスをリードしなければならない存在でしょ? それが、彼の守備プレーに、まったく勢いを感じない。まあヴェルディ時代もそうだったけれど、彼の攻守にわたるプレーで、目的を達成しようとする意志が込められた全力ダッシュなんて、もう、まったく無いに等しいからね。オレはクレバーだから・・っちゅうわけなんでしょ。サッカーの本場では、まさに、攻守にわたる全力ダッシュの量と質のみが問われるのだけれどね。
攻撃でも、彼が率先して小林大悟をサポートしなければならないわけだけれど、まあボールがないところでのプレーは限りなく「ゼロ」に近かったね。たしかに、ツボにはまった状況でボールを持ったときには素晴らしいプレーはするけれど、全体的にみた場合、攻撃と守備の目的を達成するためのパフォーマンスが及第ゾーンに入っていたとは決して言えないと不満だらけの湯浅でした。
まあ、あれじゃ、簡単にカウンターを喰らってしまうのも道理だよね。ジュニーニョに決められたシーンでは、彼に対するマークだけじゃなく、後方からのスルーパスも、まったく抑えられていなかった。これで二連敗ということになったアルディージャだけれど、優秀な三浦監督のことだから、しっかりと立て直してくるに違いないと思うけれどね。それにしても、5点は取られ過ぎだった。選手たちの、良いサッカーに対するイメージが「大きくブレ」ていなければいいんだけれど。
まあこんなときは、クレバーに編集されたビデオを上手く活用した「イメージトレーニング」が大いに役立つはずです。ビデオシーンを何百回となく見直すことで、まったくやったことがないフェイントが自然と出来るようになったという例もあるようにね。
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