湯浅健二の「J」ワンポイント
- 2007年Jリーグの各ラウンドレビュー
- 第15節(2007年6月18日、月曜日)
- 田中達也が放散したダイナミズムによる波及効果・・(FC東京対レッズ、0-2)
- レビュー
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- 所用が重なったため、先週末の「J」は、まったくスタジアム観戦できませんでした。ということで、一日遅れでFC東京対レッズをテレビ観戦している次第です。
ホントは、分析イメージを蓄積するためだけのテレビ観戦のつもりだったけれど、レッズのサッカー内容にクリアな好転の兆しを感じ、ちょっとその外郭コンテンツだけでもまとめておこうとキーボードに向かいました。
例によってカメラアングルが「狭すぎ」という不満はあるけれど、それでも、レッズが醸(かも)し出すダイナミズム(活力・力強さ)は明確に感じられる。心地よいですね。何せこのところ、様々な視点でフラストレーションが溜まっていましたからね。この「好転の兆し」だけは、しっかりと押さえておこうと思った次第。
好転の兆しを演出したのは、疑いなく、復帰戦となったA3トーナメントですぐさま存在感を発揮した田中達也。最前線で仕掛けるボールがないところの動き(フリーランニング)と忠実なチェイス&チェック(守備)。決して、気が乗ったときにだけ繰り出す「ブツ切りプレー」ではなく、彼の場合は、「常に」動きつづけているのですよ。もちろんボール絡みでの「実効レベル」も素晴らしい。攻撃にしても、守備にしても。だからこそ、最前線ゾーンでのプレーダイナミズムを活性化できるというわけです。要は、最前線でのイメージリーダーになっているということです。
彼が入ったことで、まずワシントンの動きが活性化した。「最前線のフタ」ではなく、田中達也のダイナミズムに引っ張られるように、ボールなしの動きやディフェンスが活性化するのです。だからこそワシントンも、より効果的にチャンスに絡めるようになっているというわけです。
次の「タツヤ効果」は、中盤トライアングルが活性化されているということ。もちろん鈴木啓太、長谷部誠、そしてポンテで組む三角形。昨シーズン優勝の原動力となった「ダイナミック・トライアングル」を彷彿させてくれます。当時は、ワシントンとポンテのツートップを支えるように、山田暢久、長谷部誠、鈴木啓太がダイナミック・トライアングルを形成していました。
もう何度も書いているように、中盤から前線のプレーヤーに対する評価基準は、絶対に「守備意識」であるべきなのです。ここでいう守備意識には、攻撃でのボールがないところでの汗かきアクションというニュアンスも含めたいですね。守備意識とボールなしのアクションは心理的につながっていますからね。
もちろん、前述したような「気が乗ったときだけのブツ切りアクション」ではなく、アクションを、主体的に、そして常に、高みで安定させられることが大きな価値なのですよ。それがあるからこそ、守備においても、攻撃においても、それぞのプレーを有機的に連鎖させるようなホンモノの組織プレーを機能させることができる。だからこそ、レッズが秘める「個のチカラ」を最大限に活かすことができる。でも逆に、一人でも、走りの量と質に課題を抱える「ブツ切りマインド」の選手がいれば、その悪性ビールスが、すぐにでもチーム内に蔓延していまう。チームは生き物なのです。
さて最後の「タツヤ効果」。それは、もちろん両サイド。山田暢久と相馬崇人です。彼らの押し上げも風雲急を告げていた。それは、ダイナミック・トライアングルによる(攻撃参加の後の)カバーリングに対する信頼感があるから。もちろんスリーバックという安心感もあるけれどネ。
とにかく、内容が良かったから(たしかに後半は押され気味にはなったけれど、以前のような受け身に過ぎる流れにはまり込むことはなかった!)、急に創作意欲が刺激された筆者でした。
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