湯浅健二の「J」ワンポイント
- 2007年Jリーグの各ラウンドレビュー
- 第2節(2007年3月10日、土曜日)
- 偶然と必然の「ファクターバランス」を必然の方向へ引き寄せる!・・(ジェフvsエスパルス、1-3)
- レビュー
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- さて、どのように分析したものか。あのような、偶発ファクター(偶然要素)の方に偏ったゴールが、4分間のうちに3発も決まってしまってはね。あっと、枝村が素晴らしいドリブル突破から叩き込んだエスパルス2点目は、見事としか言いようがなかったけれど・・。
とはいっても、タラレバは禁句。エスパルスの一点目シーンでは、ジェフ守備ブロック全員が、足を止めてコトの成り行きを見てしまった(ボールウォッチャーになってしまった)ことは明白な事実だし、三点目の場面でも、ポストシュートを放ったフェルナンジーニョに対するチェックが甘かっただけではなく、最後まで忠実に詰めた(ゴールを決めた)伊東輝悦には誰も付いていかなかった。
イレギュラーするボールを足で扱うという不確実な要素が満載のサッカーは、究極の、偶然と必然が交錯するボールゲームだということです。ちょっと抽象的だけれど、だからこそ、いかに偶然と必然の「ファクターバランス」を必然の方向へ引き寄せていくのかというのが、コーチに課せられたテーマなのです。イビツァ・オシムさんが言うように、諦め(仕方ないというマインド)と満足は、タラレバ同様、コーチにとって禁句なのです。
ところで、エスパルスの心臓ともいえる伊東輝悦だけれど、ホント、スーパーマンだよね。攻守にわたって(もちろん守備がメインだけれど)汗かきから創造プレーまで、何でも高い実効レベルでこなしてしまう。
三点目シーンでも、ボールを競り合うシーンに爆発的に絡んだだけではなく、そこからシンプルにパスを回してどんどんとタテのスペースへ飛び出していった。その、後ろ髪を引かれないランニングの勢いには一点の陰りもない。まさに、「匂った」ということなんだろうね、アトランタ五輪ブラジル戦のときのように・・。
「匂った」だけで、クリエイティブなムダ走りに全力を投入する伊東輝悦に乾杯!! 彼は、長谷川健太監督にとって、かけがえのない(ビジネス)パートナーでしょう。
そんな伊東輝悦のプレー姿勢が、若い選手にポジティブな影響を与えないはずがない。私も注目している藤本淳吾だけではなく、兵働や枝村もそうだけれど、彼らの守備意識は、本当に素晴らしい。守備こそがサッカーの原点なのです。それに積極的に取り組めば、おのずと攻撃プレーもポジティブに回っていくということです。
エスパルスは、攻守わたって、コレクティブな(共同作業としての)良いサッカーを展開している。長谷川健太監督のウデを感じるじゃありませんか。
さてジェフ。開幕戦(グランパスとのアウェー戦)もそうだったけれど、この試合でジェフが展開した実質的なサッカー内容は、決して悪くなかった。でも結果が伴わない「確率」が、ちょっと高すぎる。昨シーズンも同様だったけれど、イビツァさんから引き継いだアマル・オシム監督は、よい仕事をしていると思うのだけれど・・。
立ち上がりにジェフが展開したサッカーには、まさにホンモノと言えるスピリットが込められていました。これぞジェフという、攻守にわたるダイナミックプレーの連続だったのです。もちろん全員がディフェンスから入っていく。それも、次、その次と、まさに大波のように協力プレスの輪を形成していくのです。まさに、有機的なディフェンスアクションの連鎖。だからこそ、次の攻撃にも勢いが乗っていく。素晴らしいスピリチュアル連鎖じゃありませんか。
そんなゲームの流れのなかで、エスパルスの「エッ??」という感じの先制ゴールが入ってしまうのです。そして次々と・・。フ〜〜ッ。
だからこそ、前述した『良いサッカーだけれど、それが結果につながらない確率がちょっと高すぎる・・』という表現に入っていかなければならないわけです。要は、そこに何らかの必然的な要因があるということを言いたかったのです。
決定的シーンでのディフェンスの集中力と行動力の欠如!? まあ、それもあるだろうね。何せ、前述した最終勝負シーンで、ちょっと「足が引けた」ボールをめぐる競り合いになったり、周りがボールウォッチャーになってしまっていたことには言い訳が立たないからね。
また、守備参加や、ボールがないところでのアクションの首尾一貫性に課題を抱える「天才」山岸智という要因も、私にとっては重要な意味があります。彼に対する期待レベルは高いからね。
たしかに、攻撃の個の才能レベルではエスパルスに比べてやや劣るのは事実だけれど、でもジェフには、それを補って余りある「組織マインド」があるからね。
継続こそチカラなり。今のサッカーベクトルを維持し、そのなかで、闘う意志と集中力を高揚させることで、偶然と必然の「ファクターバランス」を必然の方向へ引き寄せていく努力をつづけていく。アマル・オシム監督のウデに期待しましょう。
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