湯浅健二の「J」ワンポイント


2007年Jリーグの各ラウンドレビュー


 

第26節(2007年9月22日、土曜日)

 

それぞれに、それなりのポイントがあった・・(アルディージャ対ジェフ、0-1)(マリノス対レッズ、0-1)

 

レビュー
 
 時差ボケや寝不足などもあったんですかネ、今日のダブルヘッダー観戦(アルディージャ対ジェフ & マリノス対レッズ)、愛車のオートバイを駆り、まず駒場へ到着してビックリした。息が切れて、胸が苦しく、ちょっと気分まで悪くなったのですよ。こんなことは、いままでに一度あったかどうか。ちょっとビビりました。たぶん熱射病的な症状だったんでしょうね。

 たしかに、駒場までの首都高速はものすごく混んでいた。それに今日は、所用のため千葉県からのスタートだった。そんなこともあって、駒場に到着するまで、炎天下で、大渋滞のなか(渋滞しているということは、クルマから吐き出される排気ガスや熱い空気などを身体全体で受け止めてしまうということ)1時間半もオートバイに乗っていたことになります。それも、大渋滞しているクルマの間をすり抜けていくのだから、かなり気も遣う。フ〜〜ッ・・。

 そんなこんなで、アルディージャ対ジェフを観戦していたときの私は、かなり集中力が途切れていました。まあ、前半32分にジェフの斎藤大輔がゴールを叩き込んだシーンでは、ハッと意識が回復したけれどネ。結局そのゴールが決勝点ということになったわけだけれど、このゲームの盛り上がりもそこだけだったという印象しか残りませんでした。

 それには、グラウンドがあまりにもヒド過ぎるということもあります。まさにデコボコ。あれじゃ、常にボールを見ながら注意深くボールをトラップしなければならないし、その後のコントロールだって容易じゃない。常にボールを見る「下向き」のプレーに終始することで(アイコンタクトなんて出来るはずない!)組織パスプレーがうまく機能しないのも道理なのです。たしかにこれじゃ、アマル・オシム監督が言うように、「良いサッカーを展開できるはずがない・・」

 ということで、ゲームの流れは、終始「停滞気味」でした。要は、人とボールがよく動く活発な組織プレーが、まったくといっていいほど見られなかったのです。組織プレーが機能しないなかで、個人のドリブル突破トライばかりが目立つ。まあ、個人勝負のブツ切りサッカーということです。

 そんな鈍重なゲーム展開のなか、最終的にはジェフの底力が優ることになります。要は、勝負イメージの量と質がアルディージャのそれを凌駕したということです。勝負所に絡んでくる味方の、ボールがないところでの動きの量と質が、アルディージャのそれと比べ、明らかに優位に立っていたのです。だから、ポンポ〜ンと人とボールを動かしながら、相手のウラのスペースも攻略していける。

 それにしても、アルディージャはだらしがないサッカーに終始しました。いくら一人退場になって10人で戦わなければならなくなったとはいっても、最低でも、闘う意志を前面に押し出し、攻守にわたってもっと走り回って闘うべきでした。スタンドで観戦していたアルディージャのファンの方々も怒りまくっていましたよ。闘う意志が、まったくといっていいほど感じられなかったのだから、それも当然だよね。ギリギリまで闘って負けたならば納得できるだろうけれど、(いくらグラウンドが悪いといっても)あの無気力サッカーではね・・。

 レッズを見事にうっちゃった粘り強いファイティングスピリットサッカーが強烈に印象に残っていたから、そんな低級サッカーに、本当にガッカリさせられたものです。あれでは、ジェフの闘う意志が刺激を受けないことも含め、全体的なゲームの流れが鈍重なものに終始してしまうのも道理といった具合でした。

 そんな駒場での停滞サッカーと比べ、日産スタジアムで行われたナイトマッチ(マリノス対レッズ)は、まさにギリギリのエキサイティングバトルと呼ぶにふさわしいものでした。表面的には、ものすごい攻め合いになったということだけれど、実際には、中盤での、ものすごいディフェンスのせめぎ合いだったということです。

 スミマセン・・どうも体調がすぐれない。ここからは、ポイントを、箇条書きでまとめることにします。ご容赦アレ・・。

 中盤でのディフェンスのせめぎ合いだけれど、そのポイントでは、わずかにマリノスに軍配が上がる・・チェイス&チェック、協力プレス、ボールのないところでのマーキング、そしてボール奪取勝負での競り合いなどなど、マリノスの守備は、本当に組織的によくまとまっていた・・早野監督は、本当によい仕事をしている・・

 だから、全体的にはマリノスがゲームの流れを牛耳る時間帯の方が長かった・・とはいっても、決定的チャンスの量と質では、わずかにレッズに軍配が上がる・・ワシントンや永井、ポンテや長谷部、後方からオーバーラップしてきた鈴木啓太や両サイド(山田&平川)、そしてトゥーリオが、効果的に最終勝負シーンに絡みつづける・・また個の勝負の量と質でも、マリノスをやや上回っていた・・組織プレーでは互角だから、やはり最後は「個の勝負コンテンツの量と質」が違いを演出するということか・・やはり「そこら辺が」がリーグ優勝を遂げるチームとの違いということか・・

 大住良之さんが、良い質問を投げた・・「全体的にはしっかりとボールを支配できていたが、どうも、それをうまくシュートチャンスに(レッズ守備ブロックを崩すことに)結びつけられていなかったように感じるが」・・

 ・・それに対して頷いた早野監督が、「ボールを回すことについてはある程度は納得できたが、たしかに、相手守備の背後スペースを突いていくことに関してはフラストレーションがたまっていた・・要は、ボールがないところでの動き(決定的フリーランニング)の量と質に課題があるということ・・やはり、もっと縦横に動き回るなかで、勝負となったら、しっかりと最後まで走り抜けるようなランニング(ボールがないとろでの動き)を忠実にこなしつづけなければ相手のウラスペースを攻略できない」・・フムフム・・

 相手のウラスペースを突いていかなければ可能性の高いチャンスは作り出せない・・いくらボールを動かしていても、相手守備の目の前でばかりで展開するのでは、結局は何も生み出すことはできない・・

 それにしてもマリノスは、良いチームへと、正しいベクトル上を成長しつづけている・・チームの絶対的なパフォーマンスベースである山瀬兄弟と吉田孝行がいないにもかかわらず、那須大亮や清水範久、はたまたマルケスが、同等のパフォーマンスを披露してしまう・・それも、チーム内に健全なライバル環境が定着しているからに他ならない・・もちろん、早野監督が強調する「器用ではないのだから、走り回る汗かきプレーを全員でこなさなければならない」というコンセプトをベースにした健全な競争環境・・そこでは、人間の弱さとの深い闘いが繰り広げられたに違いない・・本当に早野監督は素晴らしい仕事をしている・・レスペクト!!

 対するレッズも、高い守備意識をベースにした組織プレーが高みで安定している・・だからこそ、個の勝負も効果的に仕掛けていける・・それが、この試合でのチャンスメイクの優れた量と質のベースにあった・・要は、パスとドリブル等の「オプション」に広がりが出てくるような仕掛けプロセスを展開できていたということ・・

 またこの試合では、永井雄一郎の攻守にわたるボールがないところでの仕事内容も印象的だった・・これまでの彼の無為な様子見プレーからすれば、ちょっとイメチェン・・決してゴールを決めたからというわけじゃない・・とにかく彼の意識レベルの高揚には、大いなる期待感を抱いたものだった・・もちろんそれも、ホルガー・オジェック監督の手腕ということだろう・・彼は、フォワードは「ローテーションさせる」と言っている・・まあ、ライバル環境を実効あるカタチで発展させていこうという意図だろう・・注目しよう・・

 ゴメンなさい・・もう限界・・今日はここまで・・

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 しつこくて申し訳ありませんが、拙著『日本人はなぜシュートを打たないのか?(アスキー新書)』の告知もつづけさせてください。本当に久しぶりの、ビジネスマンをターゲットにした(ちょっと自信の)書き下ろし。それについては「こちら」を参照してください。

 尚、本屋さんやオンライン書店での購入ですが、どうも本の補充(営業)が十分ではなかったようで、購入されたい皆さんにご迷惑をおかけしていたと聞きます。これからは、アスキーの営業がしっかりと補充するということでした。

 



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