湯浅健二の「J」ワンポイント
- 2007年Jリーグの各ラウンドレビュー
- 第4節(2007年4月1日、日曜日)
- トリニータの素晴らしい組織サッカーがレッズを刺激した!?・・(トリニータvsレッズ、2-2)
- レビュー
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- このゲームもテレビ観戦だから、レッズを中心に簡単にまとめることにします。
レッズは良くなっています。選手の動きが好転しているし、それに伴って、ボールの動きも活性化していると感じます。
その背景要因だけれど、まず第一に、シャムスカ率いるトリニータが展開するダイナミックで高質なサッカーがあります。決して受け身に守るのではなく、常に攻撃的にボールを奪いにいくトリニータ。そしてボールを奪い返したら、チャンスがある者はそのまま押し上げていくことで厚みのある攻撃を展開する。そんな攻守にわたるトリニータの素晴らしいハードワークがレッズ選手たちのマインドをも高揚させたということです。
これまでのレッズは、(AFCのシドニー戦は分からないけれど)守備ブロックを固める相手に、うまく組織プレーを高揚させられずに苦しみました。人とボールの動きが停滞し、個人プレーの仕掛けを繰り返すばかりだったというわけです。それがこのゲームでは、(相手のアクティブなサッカーに刺激されたことで!?)まず守備がアクティブになり、それに引っ張られるように、次の攻撃での組織マインドも高揚していったということです。相手がどんどん仕掛けてくるからね、様子見だったら大変なことになる。そんな危機感が選手たちを突き動かしたということでしょう。
また、長谷部の復帰も大きい。この試合でも、例によって、アクティブな守備をベースに、どんどんと攻撃をバックアップしていきましたよ。そして、中盤でスペースをつなぐような勝負ドリブルを披露したり、たまには最前線を追い抜いて決定的スペースへ飛び出したり。レベルを超えた刺激プレイヤー、長谷部・・ってな具合。
そんな長谷部のダイナミックプレーが、小野伸二やポンテを刺激しないはずがない。彼らの(ポジショナル)プレーが活性化し、中盤でのポジションチェンジも積極的になっていったのも自然な流れでした。
そして、ポンテと小野伸二。彼らのプレーも、攻守にわたって大きく好転していると感じました(まあポンテは、シーズン開幕当初から高みを維持しているけれど)。特に小野伸二。ちょっとビックリのイメチェンです。特に守備がいい。忠実に「全力」のチェイス&チェックを繰り出すだけではなく、しっかりとボール奪取勝負に絡み、実際にボールを奪い返してしまう。それも、何度もスライディングを仕掛けるのですよ。
そんな実効ディフェンスが機能しているからこそ、次の攻撃プレーも冴えわたるというわけです。ボールがないところでの動きだけではなく、ボール絡みでも効果的なプレーを魅せる。意味のない逃げのパスではなく、しっかりと仕掛けていくリスキーパスも繰り出すのです。なかなか気に入りましたよ。
とはいっても、2-1でリードして入った後半では、「消えて」しまった時間帯も多かった。コンディション的にまだまだ!? まあ、ポジティブ&ネガティブが交錯するということは、その選手のパフォーマンス内容に何らかの動きが出てきていることの証だからね。小野伸二の場合は、ポジティブ方向のベクトルに乗っている!?
この試合のレッズは、フォーバック。そして鈴木啓太が、前気味ストッパーやカバーリング要員など、マルチタスクをこなす。このやり方は、トゥーリオとの「縦のコンビ」も含めて、既に日本代表でセット済み!?
まあ、そのことで、長谷部と小野伸二の守備意識が高められたのも確かな事実だと思います。そして、だからこそ、長谷部と小野の攻撃プレーが活性化された!? ここらあたりの「心理・精神的な相互作用」は、非常に興味深いテーマなのですよ。
このフォーバックだけれど、両サイドの山田と阿部によるオーバーラップが希だったという課題が残りました。要は、両サイドと、鈴木啓太、長谷部誠、小野伸二とのタテのポジションチェンジに対する不安が残っていたということなんだろうね。だから、互いの信頼関係をアップさせなければならないという課題が残ったと思っているのです。
とにかく、徐々にレッズのサッカーコンテンツが上向きになってきたのは確かなことのようです。ホルガー・オジェック監督の仕事も順調に実が詰まりはじめている!? これからの彼の手腕に期待しましょう。
この試合については、まあ、こんなところですかね。それにしても、シャムスカ率いるトリニータは良いサッカーをする。攻守にわたる素晴らしい組織プレーは、まさにインプレッシブそのものです。ロスタイムに追いついたのも正当な報酬でした。
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