湯浅健二の「J」ワンポイント
- 2009年Jリーグの各ラウンドレビュー
- 第25節(2009年9月12日、土曜日)
- ノーゲームの「想像的・創造的な後始末」について・・そして牛若丸!・・(AvsFR、途中経過で、1-3)
- レビュー
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- アリャ〜・・岡田レフェリーが中止にしちゃった(もちろんマッチコミッショナーの判断もあった!?)・・それも、雷による被害の危険性があるとかではなく、ピッチコンディションが不良になったからとのこと・・要は、水たまりが多く、ボールがバウンドしないし転がらない・・だから選手にとっても危険!?・・フムフム・・
・・そして「ノーゲーム」ということになったけれど、ホントに、最初からゲームをやり直すのかい??・・それじゃフロンターレが納得できないでしょう・・何せ、今シーズンの優勝争いにとって、とても大事なゲームだし、リーグトップを突っ走るアントラーズを追いかける2位のフロンターレが、残り20分というタイミングで「1-3」とリードしていたんだからね・・さて・・
今日は、所用が重なったことで、テレビ観戦ということになったのですが、こちらはゲームを観ながら(インターネットで)気象庁が発表する正確なスポット予報も見ていました。だから、「ヘッ!? いま中断したら、これから2時間は、もっと雨が強くなるんだぜ・・グラウンド状況は、たしかに部分的には水が溜まったり、ボールが走らないところはあるけれど、全体的にはプレーできる状況じゃないのかな〜〜!?」なんて、その判断にちょっと面食らっていましたよ。
何せ、待てば待つほど状況が悪化するのは明白な事実だったからね(要は、これからはピッチ状況が悪くなる一方だということです)。それとも、ゲーム主催側は、「その気象の変化情報」を把握していなかったのだろうか!?
今後のことだけれど、ノーゲームということで、ゼロからの再ゲームということになるのか、それとも「今日は中止ということが決まっただけで、その後に、どのようなことになるのかは、今後の協議に委ねられる・・」というリーグ主催側からの(公式な!?)アナウンスメントにあるように、何らかの柔軟な対応策が検討されるのか・・まだまだ紆余曲折があるようだね。
どちらにしても、このような難しい判断が迫られる「ディベート状況」は、日本サッカー界全体にとって、とても良い(創造的&想像的な!)学習機会になると思いますよ。だから(一般社会に対する、Jリーグのプロモーションとしても!!)それを活用しない手はない。
ディベートのテーマは、Jリーグの根源的な「目的」が何かを見つめ直すというポイントに絞り込まれるでしょう。スポーツ文化の振興を通した地域社会の活性化・・!?
要は、たしかに(このケースに関する)明文化されたルールはあるんだろうけれど、そこでは、「フェアネス」に対する、サッカー界だけではなく一般社会も含む全体のマインドを(柔軟に)高みで維持するという発想も重要な意味を持ってくるはずだから、安易に(責任回避するマインドで!?)「型にはまった」裁定を下しちゃいけないと思うわけなのです。
だからこそ、やはりこのケースでは、 参加意識と当事者意識が高い両チームのファン・サポーターの皆さんだけではなく、一般社会の生活者の皆さんの視点に立ち、互いに(Jリーグと両クラブが)様々な妥協アイデアを、透明化されたオープンな環境で「やり取り」するなかで、互いに(ある程度!?)納得できるやり方を模索するというのが、正しいプロセスだと思うわけです。
とにかく、そこでは、「Jリーグ」という社会的な存在の意義と目的を、繰り返し「見つめ直すという作業」が必要だし、そのプロセスを一般社会にもアピールしていくことが、とても大事な意味をもってくると思うわけなのです。
だからこそ、そのプロセスを(様々な要素を内包しているからこそ!)サッカー界全体にとっての優れた(創造的&想像的な!)学習機会として活用すべきだと思うわけです。
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それにしても、試合事態は、互いにガンガンと仕掛け合う、とてもハイレベルなエキサイティングマッチだったよね。
全体としては、(まあ、フロンターレがリードしたこともあって!?)アントラーズがイニシアチブを握ってはいたけれど、ココゾ!の仕掛けの量と質では(カウンター状況では)個のチカラに優るフロンターレも、抜群の危険度を魅せていた(中村憲剛の素敵なタテパスと、ジュニーニョの超速ドリブルなどなど)。
でも、この試合でのテーマを一つだけ選べと言われたら、私は、迷わず牛若丸(中村憲剛)をピックアップしますよ。彼が魅せつづけた、後方をメインにプレーする「ゲーム&チャンスメイカー」としての突出した存在感は、本当に素晴らしかった(もちろん、チョン・テセのスーパーキャノン先制ゴールを演出した、ボール奪取と素早いタテパスも含めてネ)。
彼は、(フロンターレでも、日本代表でも)前気味のハーフとしても素晴らしい機能性を魅せているわけだけれど、その絶対的なベースは、何といっても「優れた守備意識」にあるのですよ。
そんな「強固な意志」をベースにしているからこそ、守備での、効果的な(=味方のボール奪取チャンスを広げるような!)汗かきディフェンスだけではなく、攻撃でも、ボールがないところで、とても実効レベルの高い動きを魅せつづけられるのです。
ところで今日、日本代表の本田圭佑に関して、ある雑誌の編集者の方から、こんな質問を受けました。「今回の日本代表のオランダ遠征では、本田圭佑にボールが集まらなかったと思うのですが・・彼がフリーであるにもかかわらず、パスが回ってこなかった・・」
ちょっとイラッときたので、その質問に対して、こんな風に答えました。
「本田圭佑がボールを持ったら、かならずボールの動きが停滞する・・パスを出す方は、ワンツーといった素早いコンビネーションをイメージしているのに・・でも、本田圭佑は、松井大輔と同様に、ディエゴ・マラドーナじゃないから、そう簡単には、マークする相手を抜き去れない(背後の決定的スペースを攻略するような勝負ドリブルを繰り出していけない!)・・そして結局は、横パスだとかパックパスに逃げる・・それに、汗かきのディフェンスにも精を出さない・・そんな、攻守にわたる汗かきプレーに対する意志が見えてこない選手に、味方が、積極的にボールを渡すと思いますか??・・チームメイトは、フザケルナよっ!・・テメーは、まず皿洗いからはじめろっ!!・・ってなことを心のなかで叫んでいたハズですよ・・」
そんな本田圭佑に対して、中村憲剛や中村俊輔には、本当によくボールが回されてくる。そして、(自分もしっかりと動いているから!)良い状況でパスをもらえるからこそ、そこから有意なコンビネーションや、とても危険な個人勝負(タメやドリブル)が繰り出される・・。
もちろん、そんな傾向は、フロンターレでは、より顕著だよね。とにかく(ジュニーニョも含めた)全員が、常に中村憲剛を「探して」いる。だからこそ、そこからの組織パスやコンビネーションが、とても効果的なコンテンツを魅せるのです。
ちょっと今日は疲れ気味。ということで、アントラーズについては、本山雅志の不在・・という前回コラムのテーマを参照してください。この試合でも、彼さえいれば、もっと、チャンスメイクプロセスや(攻守にわたる)組織プレープロセスが上手く流れたに違いない・・なんてことを何度も感じたモノでした。
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ところで、拙著「ボールのないところで勝負は決まる」の最新改訂版が出ました。まあ、ロングセラー。それについては「こちら」を参照してください。
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ということで・・しつこくて申し訳ありませんが、拙著『日本人はなぜシュートを打たないのか?(アスキー新書)』の告知もつづけさせてください。その基本コンセプトは、サッカーを語り合うための基盤整備・・。
基本的には、サッカー経験のない(でも、ちょっとは興味のある)一般生活者やビジネスマン(レディー)の方々をターゲットに久しぶりに書き下ろした、ちょっと自信の新作です。わたしが開発したキーワードの「まとめ直し」というのが基本コンセプトですが、書き進めながら、やはりサッカーほど、実生活を投影するスポーツは他にはないと再認識していた次第。だからこそ、サッカーは21世紀社会のイメージリーダー・・。
いま「六刷り」まできているのですが、この本については「こちら」を参照してください。また、スポナビでも「こんな感じ」で拙著を紹介していただきました。
蛇足ですが、これまでに朝日新聞や日本経済新聞(書評を書いてくれた二宮清純さんが昨年のベスト3に選んでくれました)、東京新聞や様々な雑誌の書評で取り上げられました。NHKラジオの「著者に聞く」という番組で紹介されたり、スポナビ宇都宮徹壱さんのインタビュー記事もありました。また最近「こんな」元気が出る書評が出たり、音声を聞くことができる「ブックナビ」でも紹介されたりしました。
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