湯浅健二の「J」ワンポイント
- 2009年Jリーグの各ラウンドレビュー
- 第27節(2009年9月27日、日曜日)
- 「セルフ・モティベーション能力の発展」を志向する『意志のブレイクスルー』を!・・(RvsM, 1-2)
- レビュー
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- フ〜〜ム。そりゃ・・サ・・「あの」連敗と同じような(それを凌駕するくらいに!?)派手な巻き返しを(二連勝の後ということもあって)期待していたレッズファンの方々にとっては、とても深〜く失望させられる結果だったでしょうね。
でも・・まあ・・まだ後七ゲームも残っているわけだから、これから、もう一波乱、二波乱はあるに違いないよ。とにかく、キモチを切り替え、これからのタイトル争いを(自ら、ゲーム展開のスクリプト=脚本=を練りながら!?)お互いに、とことん楽しむことにしましょう。何せ、不確実性要素が
満載された(=だからこそ、自らの意志の在り方によって、究極の自由を満喫できる!?)サッカーは、最高のインテリジェンス・ボールゲームなんだからね。
だからこそサッカーは、21世紀日本社会のイメージリーダーにもなり得る社会的な存在・・!? そのことについて、筆者は、深〜く確信しているのであ〜〜る。
それにしても、このところのエスパルスは、とても安定したサッカーを展開しているよね。ヨンセンが最前線で魅せつづける、攻守にわたる、忠実でダイナミックなプレーが、(究極の衛星プレイヤーとも呼べそうな!?)岡崎慎司も含め、チーム全体に殊の外ポジティブな影響を与えているということなんだろうね。
また、フロンターレやガンバ、サンフレッチェも頑張っているし、アルビレックスとグランパス、FC東京も、まさに虎視眈々ってな具合。相手にとって不足なしじゃありませんか。
アントラーズがACL(アジア・チャンピオンズリーグ)で敗退した当時は、そのことでアントラーズがリーグに集中できることと、彼らが勝ち点で二位以下を大きく引き離しているという事実から、誰もが、「あ〜〜あ・・これでリーグ優勝の行方は決まったも同然だよな〜〜・・」なんて落胆したモノじゃありませんか。それが、ここにきて、アントラーズの(信じられない)ペースダウンによって俄然ヒートアップしてきたのだから(オリヴェイラさんには悪いけれど・・)願ってもないドラマチックなリーグ優勝争いという様相を呈しはじめている。
とにかく、この、リヴァイタライズ(再活性化)された優勝争いドラマ(まあ・・来シーズンのACL切符をめぐるドラマ)に乗らない手はない。頼みますよ、フォルカー・フィンケさん・・。
あっと・・またまた蛇足が長くなってしまった。ということでレッズ対マリノス。今日ピックアップするテーマは、一つだけ。それは、前半と後半の「ゲーム内容の変容」・・
要は、前半あれだけ、想像性と創造性にあふれるチャンスメイクを魅せた(マリノス守備ブロックの背後スペースをうまく攻略した)レッズの攻めの勢いが、後半になって、見るからに減退してしまったことです。後半では、カウンターから抜け出した鈴木啓太のシュートシーンくらいだったですかネ、決定機と呼べそうなチャンスメイクシーンは(まあ、梅崎司のドリブルシュートもあったけれど・・)。前半レッズが展開した攻撃を観ていれば、誰もが、「大丈夫、後半は逆転できるサ」と確信していたはずなのに・・
そのもっとも大きな要因は、何といっても、忠実でクリエイティブ、そしてダイナミックな、マリノスの守備にありました。そんな彼らのプレーからは、しっかりと主体的に考えることを基盤にしたホンモノの想像力と創造力が放散されていた。
そのことは、動かしがたい事実です。何せ後半は、レッズが「ある程度フリー」でボールをプレーできたシーンは、本当に数えるくらいしかなかったのですからね。
ボールがプレーされるところには、例外なくマリノスの強烈なプレッシングあり・・ってな状況が最後の最後までつづいたのですよ。「ウチの守備では、特に後半、フォー&フォーのツーラインが(チェイスや互いのカバーリングなど!?)とても上手く機能したと思う・・」。マリノスの木村浩吉監督が、そう胸を張っていたけれど、まさに、おっしゃる通りだった。
特に、松田直樹と河合竜二の守備的ハーフコンビが魅せつづけた、汗かきチェイス&チェック、そして迫力のボール奪取勝負は特筆モノだった。この二人のプレーによって、前回のコラムで取り上げた、マリノスのスーパー守備的ハーフ小椋祥平の「穴」は、本当に、まったく感じられなかった。
その松田と河合の守備的ハーフコンビに、長谷川アーリアジャスールと狩野健太のサイドハーフコンビが「有機的」に絡むだけじゃなく、最前線の坂田大輔や(ケースバイケースで)渡辺千真も、とても素敵な(強烈な意志が込められた)守備参加を魅せつづけるのですよ。
いや・・本当に、素晴らしく実効ある「守備意識」だった。そんな「強烈な意志」に支えられていたからこそ、ボールを奪い返した後のカウンター攻撃に、スピリチュアルエネルギーにあふれた生命が宿るんだよ。渡辺千真のシュートが入っていたら、その時点で勝負はついていたよね。
と・・まあ・・まず最初にマリノスの素晴らしいディフェンスを取り上げたけれど、前述したように、レッズが「ある程度フリー」でボールをプレーできたシーンは、本当に数えるくらいしかなかった。要は、前半とはうって変わって、まったくといっていいほど、マリノス守備ブロックの中や背後にあるスペースを攻略できなかったということです。
マリノス守備の機能性が(前述したように)素晴らしかったから・・!? とんでもない。そりゃ、低次元の言い訳だよ。レッズから見た原因は、何といっても「動き」が出てこなかったということなのですよ。
人の動き・・それも、三人目、四人目の「汗かきフリーランニング」が出てこない。また、ボールの動き・・それは、チャンスなのに(自信がないから!?)スペースへの勝負パスを逡巡して安全な横パスに「逃げてしまう」ような(ミスを怖がる!)消極的なアリバイマインド!! そして、中盤での強烈なリーダーシップなどに代表される「心の動き」・・強烈な「刺激」を伴うような、何らかのアクション(言葉や激烈なプレー内容・・)などなど。
それ以外にも、さまざまな「動きの要素」はありますよ。どちらにしても、それらの「動き」は、主体的なモノでなければ何かをはじめることなどできません。要は、意志のパワーということです。
レッズのフォルカー・フィンケ監督は、後半のレッズの勢いが減退したことについて、その一つの可能性として、メンタル的な原因によるネガティブ現象というケースを示唆していた。
要は、鈴木啓太に対する河合竜二のファールに対してホイッスルが吹かれなかったことで(前半の終了間際に)マリノスに勝ち越しゴールを奪われてしまったことに対する憤りを、選手たちがうまく解消(消化)できなかったということらしいけれど、まあ、それは大きくないと思いますよ。
たしかに「あのファールシーン」での河合竜二は、ボールをコントロールする鈴木啓太の肩に手を掛けて「制動」していた。だからこそ、走り込んできた長谷川アーリアジャスールが、フリーでボールをかっさらい、渡辺千真へのラストパスを決めることが出来た。もちろん、鈴木啓太の肩に手を掛けて「引っ張っていた」河合竜二には、アーリアジャスールの走り込みが見えていたんだろうね。だから「一緒に」スピードダウンするように見せ掛けた・・っちゅうわけです。
まあ、よくあることだし、このようなミスジャッジもドラマの内だからね。わたしは、(たしかに、ハーフタイムのレッズ更衣室のなかでは、そのことで選手たちがかなり動揺していたらしいけれど・・)そのことが、レッズ後半の「意志のパワーの減退」を誘発した主な原因だとは思わないのですよ。
それよりも、マリノスが展開した(ボールがないところ・・パスを受ける瞬間での)忠実なマーキングやチェッキングによるフラストレーションが、レッズの「動きエネルギー」を殺いでいった・・と思うわけです。だからこそレッズは、イメージトレーニングも含めて、もっともっと「セルフ・モティベーション能力」を高揚させていかなければならないのですよ。
まあ、そのことは、連敗中にレッズが体感しつづけた、相手に(人数を掛けて)しっかりと守られてしまうと、どうしても「動き」のエネルギーがダウンし、それをうまく再活性化できないというテーマ(課題)に同義ということだけれどネ。
とにかくレッズには、キモチを切り替え、チャレンジャーとして、強い意志をもって(セルフモティベーション能力を磨きつづけることで!)挑戦しつづけてもらいたいものです。
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ところで、拙著「ボールのないところで勝負は決まる」の最新改訂版が出ました。まあ、ロングセラー。それについては「こちら」を参照してください。
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ということで・・しつこくて申し訳ありませんが、拙著『日本人はなぜシュートを打たないのか?(アスキー新書)』の告知もつづけさせてください。その基本コンセプトは、サッカーを語り合うための基盤整備・・。
基本的には、サッカー経験のない(でも、ちょっとは興味のある)一般生活者やビジネスマン(レディー)の方々をターゲットに久しぶりに書き下ろした、ちょっと自信の新作です。わたしが開発したキーワードの「まとめ直し」というのが基本コンセプトですが、書き進めながら、やはりサッカーほど、実生活を投影するスポーツは他にはないと再認識していた次第。だからこそ、サッカーは21世紀社会のイメージリーダー・・。
いま「六刷り」まできているのですが、この本については「こちら」を参照してください。また、スポナビでも「こんな感じ」で拙著を紹介していただきました。
蛇足ですが、これまでに朝日新聞や日本経済新聞(書評を書いてくれた二宮清純さんが昨年のベスト3に選んでくれました)、東京新聞や様々な雑誌の書評で取り上げられました。NHKラジオの「著者に聞く」という番組で紹介されたり、スポナビ宇都宮徹壱さんのインタビュー記事もありました。また最近「こんな」元気が出る書評が出たり、音声を聞くことができる「ブックナビ」でも紹介されたりしました。
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