湯浅健二の「J」ワンポイント
- 2009年Jリーグの各ラウンドレビュー
- 第29節(2009年10月18日、日曜日)
- ジェフの応援コラムです・・(JEvsP, 1-1)
- レビュー
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- 「また〜・・難しい質問ですね〜・・もちろん、リスクを抑えながら、より攻撃的なサッカーも展開できるに越したことはないけれど・・要は(個人的なチカラも含めた・・)優れたチーム力さえ備わっていれば・・ということですよね・・」
京都サンガの加藤久監督が、例によって真摯に、でも明るく、言葉を紡(つむ)いでいきます。「でも(そんな優れたベースを持っていない!?)我々の場合は、やはりバランスを崩してでもリスクにチャレンジしていくしかない・・ところで、ご質問にあった、偶発的な要素と必然的な要素のどちらかと言われれば・・まあ、この試合では、偶然ファクターの方が大きかったですかネ・・」
それは、わたしの、こんな質問に対するコメントでした。
「いま加藤監督は、後半、メンバーを2人入れ替え、相手守備に圧力を掛けにいった・・リスクを背負って同点を目指した・・と言われた・・それは、守備の人数とポジショニングのバランスを崩し、攻めに打って出たという意味だと思われるが、加藤監督ご自身もおっしゃっていたとおり、そのことで、逆にジェフに、二度、三度と、絶対的なチャンスを作り出されてしまった・・ただ(ラッキーにも!?)それをしのいだだけではなく、同点にも追いつけた・・その視点も含め、加藤監督にとって、この引き分けという結果では、偶然の要素と必然の要素、どちらの方が大きかったと思われますか??」
加藤久監督は、「そりゃ、あそこで二点目を取られちゃったら、万事休すでしたよね・・そうなったら仕方ない・・でも、やらなければならない状況だったから・・」とも話していた。もちろん、あのままじゃ(ジェフに一点リードされていた状況)負けてしまうわけだから、それは(より確率の高い!?)エマージェンシー戦術を仕掛けていくのは当たり前ということだね。フムフム・・
「エイヤッ!」のリスクチャレンジ戦術(勝負を懸けた仕掛け!)。それでも、できる限りリスクを抑えるのも監督の責務です。
そこでは、守備的ハーフの能力が大きく問われることになります。もちろんケースバイケースで、その「リスクヘッジ選手」が、攻撃的なハーフだったり、最終ラインの「リベロ」だったりすることもあるわけだけれど、とにかく、チームがより前へ「重心を掛けていく」状況で、とても大きなフィールド範囲を(次の守備で!)十全にコントロールできるようなカバーリング専門要員を設定しておくことには(そのタスクを十分にトレーニングしておくことには)とても大事な意味があるというわけです。
もちろん加藤久監督も、そのような専門要員を設定していたに違いありません。そうでなかったら、ピンチは、二回や三回じゃ済まなかったよね。
まあ・・そんなわけで、このゲームは引き分けに終わったわけだけれど、あれほどの決定的チャンスをモノにできずに「勝ち点2」を失ったジェフにとっては、悔やんでも悔やみ切れない結果だったろうね。
「いや、選手は(ショックを受けているというのではなく!?)もう吹っ切れていますよ・・起きてしまったことは仕方ないし、過去にとらわれても何も生み出すことはできないですからね・・とにかく、現実を見据えてベストを尽くしていくしかないんです・・」
江尻篤彦監督が発する言葉のニュアンスは、とても一貫している。「 可能性があるかぎり、どんなに強い相手であろうとチャレンジしていく・・わたしも、前向きにチームをマネージしていく・・ トレーニングでも(過度に!?)守るという姿勢に力点を置くことはないし、 リスクチャレンジの姿勢は、トレーニングで高揚させていくしかないと思っている・・」などなど・・
そんな江尻篤彦監督に聞いてみた。
「いま監督は、選手のマインドを解放し、前向きにチャレンジしていく姿勢を強調していたが、この試合では、先制ゴールが決まるまで、選手たちのプレーが縮こまっていたという印象を受けた・・それは、攻撃のサポートに上がっていく人数が十分ではないとか、ボールがないところでのプレーにもエネルギーが感じられないとか、そういった現象のことだが、そのことについてコメントをいただきたい・・」
「たしかに前半は、怖怖(こわごわ)プレーしていた・・だからハーフタイムには、ビビるなっ!!と、ゲキを飛ばした・・その背景には、良いサッカーをしても勝てないというゲームがつづいたこともあると思う・・それで自信をなくし、(特にゲームの立ち上がりに!?)注意深くなり過ぎてしまうのかもしれない・・とにかく、いまの減退した自信レベルを再び甦らせ、高揚させるために、これからも最大限のエネルギーを傾注していきたい・・」
たしかに、ジェフが残留できる可能性は限定的ではあります。それでも、自分自身とチームメイトを信じて全力を出し尽くすことは・・もちろん、建前的なモノじゃなく、深層の「本音エネルギー」を限界まで傾注し尽くすことは、プロサッカー選手として、また人間としても、貴重な「ブレイクスルー感覚」を体感する大いなる機会でもあります。ガンバレ、ジェフ・・
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ところで、拙著「ボールのないところで勝負は決まる」の最新改訂版が出ました。まあ、ロングセラー。それについては「こちら」を参照してください。
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ということで・・しつこくて申し訳ありませんが、拙著『日本人はなぜシュートを打たないのか?(アスキー新書)』の告知もつづけさせてください。その基本コンセプトは、サッカーを語り合うための基盤整備・・。
基本的には、サッカー経験のない(でも、ちょっとは興味のある)一般生活者やビジネスマン(レディー)の方々をターゲットに久しぶりに書き下ろした、ちょっと自信の新作です。わたしが開発したキーワードの「まとめ直し」というのが基本コンセプトですが、書き進めながら、やはりサッカーほど、実生活を投影するスポーツは他にはないと再認識していた次第。だからこそ、サッカーは21世紀社会のイメージリーダー・・。
いま「六刷り」まできているのですが、この本については「こちら」を参照してください。また、スポナビでも「こんな感じ」で拙著を紹介していただきました。
蛇足ですが、これまでに朝日新聞や日本経済新聞(書評を書いてくれた二宮清純さんが昨年のベスト3に選んでくれました)、東京新聞や様々な雑誌の書評で取り上げられました。NHKラジオの「著者に聞く」という番組で紹介されたり、スポナビ宇都宮徹壱さんのインタビュー記事もありました。また最近「こんな」元気が出る書評が出たり、音声を聞くことができる「ブックナビ」でも紹介されたりしました。
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