湯浅健二の「J」ワンポイント
- 2010年Jリーグの各ラウンドレビュー
- 第4節(2010年3月28日、日曜日)
- 二人退場という、あまりお目にかかれないゲームになったからこそ、面白いテーマもあった・・(ARvsFCT, 0-2)
- レビュー
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- 寒〜〜いっ!! だらしないけれど、今日は、ホントに寒かった。帰宅してからも、しばらく「震え」が止まらなかった。こんなことは、ほとんどないのだけれど・・
例によって、単車を駆って東京を後にした筆者でしたが、運転しながら、寒さに慣れるまで、ちょっと震えがきていました。それだけじゃなく、大宮に到着した5分後にはキックオフですからね。試合後の記者会見まで「暖を取る」ヒマがなかった。そして記者会見の後は、所用があるために、すぐに東京へとって返さなければならなかったという次第。帰宅してからも、簡単に震えが止まらなかったのも道理か。フ〜〜・・
これから出掛けなければならないのですが、それまでにコラムを仕上げてアップするつもりです。ポイントは、何といっても、アルディージャのアン・ヨンハとマトが前半のうちに退場になったということですね。これで、フィールドプレイヤーは、東京の10人に対し、アルディージャは、たったの8人。
ところで、一発レッドで退場になったアン・ヨンハのファールシーン。それは、ボールを持つ羽生直剛に対する危険なスライディングだったという判定なのだろうけれど、ちょっと、それはないネ。アンは、決して「脚とボールを一緒に払ってしまおう」というアバウトで危険なスライディングを仕掛けたわけじゃなかった。実際、アンの足は、正確にボールにいっていた。もちろん「その後」羽生の脚と接触して彼を倒してしまったからファールを取られても仕方なかったけれど、でも「あれ」は決して一発レッドになるような危険で悪質なスライディングタックルじゃなかったよね。
それは前半9分のことだったけれど、それまでのゲーム展開が、とてもエキサイティングなせめぎ合いになっていたから(アルディージャがゲームを支配し、実際に何度か具体的なチャンスを作り出していた!)そこからのゲームの盛り上がりを大いに期待していたのですよ。でも、そんな期待に冷水が浴びせられてしまった。ホント、興ざめのレッドカードではありました。まあ、マトの二枚目イエロー(レッドで退場)は順当だったけれどネ・・。
ということで、フィールドプレイヤーの数が不均衡になったわけだけれど、一人だけが退場という状況では、何が起きるか分からない。そんなケースでは、ホンモノの心理ゲームであるサッカーの面目躍如といった展開になることも多いのですよ。要は、数的に優位になった方の気の緩みと、足りなくなったチームの緊張感の強烈な高揚という「二つの要素の相乗効果」っちゅうわけです。でも、二人も足りなくなったら、とても厳しいね。そのチームは、グランウドの至るところで、数が足りないことを「より緊迫した状況で」体感しつづけるわけだし、そんな心理プレッシャーをはね除けられるチームは、めったにいないからネ。
ということで、後半は、ある意味、とても興味深いゲームが展開されることになります。アルディージャが、「4&3」の七人で守備ブロックを組織し、東京が、人数をかけて「それ」を崩していくという構図。アルディージャの七人ブロックが、一体となってゴール前を固めているから、とても面白い競り合いシーンの連続ということになったわけです。
FC東京は、もちろん、しっかりとグラウンドを広く使いながら相手守備ブロックを振り回してスペースを突いていくというイメージで仕掛けていくつもりだったんでしょ(城福浩監督も、そういって選手を送り出したと話していた)。でも実際は、かなりゴリ押し気味に、七人ブロックへ突っ掛けていったというのが本当のところだったネ。もちろん、かなり「乱暴なパワープレー」でシュートをブチかますようなシーンもあったけれど、結局は、何も成就せず・・ってな具合。
要は、そのような状況では、とにかく「急がば回れ」なのですよ。グラウンドを広く使うことで(ボールを広く展開することで)アルディージャ守備ブロックを「引きはがし」、そして忠実で我慢強い組織パスコンビネーションによってスペースを突いていく。そんなイメージこそが求められていたわけです。でも実際は・・
惜しいシーンはあったけれど、そんな東京の高慢な攻めを観ながら、こんなことを思っていた。「こんなゴリ押しの攻め方じゃ、ゴールは遠いぞ・・そんなことをやっているうちに焦りが出てくる・・そして一発カウンターに沈んじゃう・・よくあることだよな・・それでも、二人も多いFC東京が攻め切れずにカウンターに沈んでしまったら、それはそれで、とても面白いテーマだよな〜〜・・」
まあ、結局は、「忠実なサイド攻撃からのクロス」でこぼれたボールを、後方ゾーンを支配していた今野泰幸が、「ドカンッ!!」とミドルシュートを決めて一件落着したけれど、城福浩監督も言っていたように、そんな苦しいゲーム展開を体感した東京の選手たちは、「急がば回れ」の意味合いをしっかりと噛みしめていたことでしょう。
あっと・・。「一件」は、今野のキャノンシュートでは「落着」しなかったんだっけ。1-0のリードでは、まだ何が起きるか分からないからね。実際、流れのなかからだけではなくセットプレーからも、アルディージャが惜しいチャンスを作り出したっけ。そう、実際に、緊迫した「宴」を終演させたのは、この試合でリーグデビューを果たした重松健太郎だったのでした。
そうそう・・重松は、ヘディングでシュートを決めたんだけれど、そのアシストが秀逸だったんだっけ。長友佑都。もの凄く鋭いフェイントからの爆発的なドリブル突破から、正確なピンポイントクロスを送り込んだ。鳥肌が立った。サスガに日本代表・・
FC東京の城福浩監督は、後半になって、今野泰幸と長友佑都を中盤に上げた。そして、この二人が(本当は意図されていた!?)「急がば回れ」の組織プレーをリードしようとしていた。でも後半の最初の時間帯での東京の攻めは・・。
まあ、結局は、この二人の活躍で東京が勝利を収めたわけだし、最終的には、「乱暴なパワープレー」でゴリ押しの仕掛けを展開したチームメイトに、正しいサッカーを体感させるという効果も達成できたわけだから、城福浩監督の采配が、しっかりと成果を出した・・という見方も出来そうだね。
ということで、次は、AFC&UEFAチャンピオンズリーグ。ケースバイケースでレポートしようと思っています。ではまた・・
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