湯浅健二の「J」ワンポイント


2011年Jリーグの各ラウンドレビュー


 

第24節(2011年8月28日、日曜日)

 

タテへの「動き」の量と質というテーマ・・(CvsR, 3-1)

 

レビュー
 
 所用が重なったことで、録画しておいたセレッソ対レッズ戦を観はじめたのは、2100時を過ぎてからになってしまいました。

 ということで、結果については、既に耳に入っていた。知りたくはなかったけれど、急用の電話が入り、その冒頭で、「レッズは残念なことになってしまいましたが・・」ってな具合に、アクシデンタリー(事故的)に結果を知らされてしまったのですよ。フ〜〜・・

 まあ、そこからは仕方なく、「3-1」という結果に至るプロセスをしっかりと分析することに努めた。そして確信した。

 そう・・、私は、チャンスの量と質、そしてそこへ至るまでのプレー内容という実質的な(互角の)コンテンツからすれば、最後の最後にセレッソに「幸運の女神」が微笑んだ・・というゲームだったと評価することに躊躇(ちゅうちょ)しないわけです。

 それでも、セレッソが挙げた先制ゴールには、本当に素晴らしい「組織サッカー・コンテンツ」が詰め込まれていたという事実に異論をはさむ方はいないに違いない。まさに、勝負はボールがないところで決まるという普遍的なコンセプトを地でいった素晴らしい先制ゴールではありました。

 ・・ファビオ・ロペスの「大きな」パス&ムーブ(相手マーカーの視線を盗んだ全力スプリントスタート!)で、彼をマークすべきだった鈴木啓太が置き去りにされた・・それだけじゃなく、後方からタイミングよく押し上げてダイレクトシュートを流し込んだ山口蛍は、最後の最後までタイトにマークされずにフリーでシュートを放つことが出来た・・

 一つの素晴らしいコンビネーションには、攻守両面のファクターが重なり合う。そこでは、攻撃側が繰り出す、活発な人とボールの動きが(そこにミックスされる個の勝負プレーも!)機能的に連動するだけじゃなく、守備側の大きなミスも内包されている(誘発される!)っちゅうわけです。

 さて、レッズ。

 どうも、まだ、ボールを動かすだけの足許パスが目について仕方ない。要は、ボールは動くけれど、肝心の「スペース攻略コンビネーション」が出てこないということです。もちろんそれは、人の動きが足りないからに他ならない。

 ・・忠実なパス&ムーブの積み重ね・・前後の動き(フリーランニング)とシンプルなプレーの積み重ね・・そして、3人目、4人目のスペース攻略フリーランニング・・などなど・・

 そのテーマのディスカッションでは、柏木陽介と山田直輝という、運動量豊富な組織プレイヤーコンビが出場停止だったという背景要因を無視することはできない。

 ホンモノの組織コンビネーションと、ボールが動くだけの「足許パスサッカー」とは、スペースを攻略していくという意味で、本質的に別物なのですよ。

 人の動きが足りないと書いたけれど、そのことは、タテ方向へ仕掛けパスを送り込むというチャレンジスピリットを減退させてしまうという悪影響の要因ともなり得るよね。

 周りの味方が、必死にタテのスペースへ走り回ったら、そこへチャレンジのタテパスを送り込まざるを得なくなるのは道理。でも、止まって足許パスを待つようでは(相手ディフェンスにパスが狙われているという疑心暗鬼からも!?)タテへの仕掛けパスにチャレンジする意志を高揚させられない・・というわけです。

 たしかに田中達也は、いつものように激しく忠実な動きでスペースへ入り込んだり、他の味方にスペースを作り出すような、ボールがないところでの汗かきプレーを魅せつづけていた。でも、その努力が、周りのチームメイトの動きを活性化しないだけではなく、タイミングの良いタテパスを呼び込む効果も十分に発揮しない。

 そして、遅れたタイミングで(=要は、相手ディフェンスが狙えるタイミングで!)恐る恐るのタテパスが出てくるのですよ。これじゃ、トラップの瞬間に潰されてしまうのも道理。そして、タテへのチャレンジパスが潰されるシーンがつづくことで、より一層「タテへのチャレンジ」に対する意志が萎えてしまう。そう、ネガティブな心理サイクル・・

 とにかくレッズは、人の動きの活性化をベースにしたタテへの仕掛けパスに、もっともっと積極的に、そして、もっと「素早いタイミング」でチャレンジしていかなければいけません。

 ここでは「より素早いタイミングでタテパスを送り込む」というのがミソだね。

 素早いタイミングでタテパスを送り込めれば(素早く、タテ方向のボールの動きを演出できれば!)、相手ディフェンダーも、アタックイメージをしっかりと描写できないなど、準備が遅れるからね。そして今度は、ディフェンス側の確信レベルが揺動をはじめる。

 効果的に「タテ方向のボールの動き」を活性化させられれば、タテパス&そこからの素早いダイレクトパスを連動させることで相手ディフェンスの組織バランスを崩すことができるということです。そして、どんどんスペースが出来るだけじゃなく、マークもズレはじめる。

 今回のコラムでは、人とボールのタテへの動き(≒リスクチャレンジ)を活性化させることこそが生命線・・というディスカッションを展開してみました。

 何か、難しい書き方に終始したように感じます。スミマセン・・。難しいコトを、誰もがスムーズに理解できるように噛み砕いて表現することこそがターゲットなのに・・。これからも努力しますので・・。

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 ちょっと話題は変わりますが・・。

 このところ、わたしが愛用しているウエストバッグやバックパックについて質問してくる方々が増えています。ということで、それを軽くご紹介することにしました。

 ブランドは、METAS(メタス)といいます。

 以前「サザビー」という有名ブランドのチーフデザイナーを務めていたわたしの友人が、10年前に独立して作り上げたプライベートブランド。その、痒(かゆ)いところにも楽に手が届くっちゅう感じの、実用的なアイデアが満載されたビジネスツールが、とても気に入ってます。

 METAS(メタス) が扱っているのは、わたしが愛用するウエストバッグやバックパックだけじゃなく、ショルダーバッグやハンドバッグ、はたまたボストンバッグやブリーフケース等もあります。

 全体的なデザインはオーソドックス(どこか懐かしいスタンダード・・というのがコンセプトらしい)だけれど、高質な材料の選択や、その素敵な組み合わせだけじゃなく、細かな気配りアイデアにも感嘆させられるスグレモノです。使い込めば込むほど(長寿もコンセプトの一環!?)、愛着がわいてくる。そして、安物とは違い、古くなればなるほど、素敵なチャック金具やおしゃれな裏地といった「細かなデザイン」が光り輝いてくる。

 ちょっと誉めすぎ!? まあ私は、メタスの哲学と、それを具現化したバッグ類を、とても気に入っているのですよ。

 様々なタイプのバッグを日々のアクションに活用している方々こそが、その細かな気配りアイデアを高く評価するに違いないと確信する筆者なのでした。ちょっと「押し」過ぎ!? あははっ・・

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 重ねて、東北地方太平洋沖地震によって亡くなられた方々のご冥福を祈ると同時に、被災された方々に、心からのお見舞いを申し上げます。 この件については「このコラム」も参照して下さい。
 追伸:わたしは-"Football saves Japan"の宣言に賛同します(写真は、宇都宮徹壱さんの作品です)。

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 ところで、湯浅健二の新刊。三年ぶりに上梓した自信作です。いままで書いた戦術本の集大成ってな位置づけですかね。

 タイトルは『サッ カー戦術の仕組み』。出版は池田書店。この新刊については「こちら」をご参照ください。また、スポーツジャーナリストの二宮清純さんが、2010年5月26日付け日経新聞の夕刊 で、とても素敵な書評を載せてくれました。それは「こちら」です。また、日経の「五月の書評ランキング」でも第二位にランクされました。