湯浅健二の「J」ワンポイント
- 2012年Jリーグの各ラウンドレビュー
- 第5節(2012年4月7日、土曜日)
- またまた長くなってしまった・・(AvsR、1-3)
- レビュー
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- あ〜あ、ホントに、スゲ〜寒かった。愛車のオートバイを駆って出掛けたからね。とにかく鹿島は冷える。たぶん東京とは2-3度は違うんじゃないですか!?
こんなに冷えるんだったら、ダウンのインナーやオーバーパンツも持っていけばよかった。でもさ、あんな面白いゲームに舌鼓を打てたわけだから、文句を言ったらバチが当たるかも・・。
まあ、余談はさておき、すぐにテーマに入りましょう。
例によって、内容だけに特化した箇条書き風に・・。何せ私は、文章エンターテイナーを気取ろうなんて、露(つゆ)ほども思っていないわけでして・・あははっ・・
・・ということで、まず何といっても、派手な点の取り合いになった立ち上がりの時間帯から・・
・・アントラーズの先制ゴールは見事だった・・でも、その1分後にレッズが叩き込んだ同点ゴールも素晴らしいの一言だった・・
・・興梠慎三がヘッドでブチ込んだアントラーズの先制ゴール場面・・自分の背後スペースに入り込まれてしまった坪井慶介にとっては悔しい失点だったことでしょう・・
・・でも坪井慶介は、そんなネガティブなマインドを引きずることなく、その後も素晴らしい(強烈な意志に支えられた!)プレーをつづけた・・特に後半・・アントラーズが作り出した決定的チャンス(レッズのピンチ)の場面で、最後の瞬間に身を挺して飛び込み、フルパワーのスライディングを決めた坪井慶介のディフェンスは秀逸だった・・
・・あっと・・レッズのマルシオ・リシャルデスが決めた同点ゴールだった・・
・・その同点ゴールだけじゃなく、ポポが決めた2点目も、PKを取った3点目シーンでも、そのベースになったのは素晴らしいコンビネーションだった・・
・・そこでのアントラーズ守備は、レッズに振り回わされてしまった・・要は、アントラーズ守備がボールウォッチャーになってしまい、走りつづけたレッズの3人目をまったくフリーにしてしまったということ・・
・・レッズは、そのコンビネーションシーンで、ポンポンポ〜ンと軽快に(ダイレクトで)ボールを動かした・・そして最後は、3人目の(パス&ムーブから最後まで走り切った!)フリーランニングを上手く活用した・・ホント、胸がすくようなコンビネーションだった・・
・・前半20分を過ぎてからのレッズは、どんどんサッカーの内容がよくなっていった・・たしかにアントラーズの攻勢に押される時間帯もあったけれど、それでも(カウンター気味の!?)チャンスとなったら、しっかりと人数を掛けて攻め上がり、何度もシュートチャンスを作り出した・・
・・その現象が内包する大事な意味合い・・
・・ボールがないところで勝負を決められる可能性がアップする!?・・後半も何度か、人数を掛けて攻め上がり、最後は(3人目として)スペースへ入り込んだフリーな選手にボールがわたるというチャンスを作り出した・・決定的スペースを効果的に攻略するレッズ・・
・・対するアントラーズも、良くなっていることを体感させてくれた・・
・・たしかに前半は攻めあぐんだ・・そりゃ、ボールがないところでの動きの量と質が伴わなかったから(パスレシーバーが、レッズ守備に抑えられていたから!)当然だ・・
・・でも前半の最後の時間帯あたりから良くなっていったと思う・・人とボールが動く組織プレーに、大迫勇也、興梠慎三、はたまた遠藤康や両サイドバックが繰り出す個人勝負プレー(リスクチャレンジ)が効果的にミックスしていく・・また交替出場した外国人選手も、うまく絡んでいった・・
・・ということで、アントラーズも、何度も決定的チャンスを作り出した・・でも、ゴールは奪えなかった・・アントラーズの決定力に課題あり!?・・それとも、(前述した坪井の意志のディフェンスに代表される!?)レッズの強力な守備を乗り越えられなかった!?・・さて〜・・
・・一つだけ確かな事実・・ここまでのアントラーズの戦績が、彼らのサッカー内容を反映したモノでは全くないということ・・そのことについて、ジョルジーニョ監督に聞いた・・
・・現在の(サッカー内容に見合っていない!?)成績だが、このような厳しい状態の時に、監督は、どのようにチームをマネージしていくべきだろうか?・・
・・ジョルジーニョ監督は、こんなニュアンスの内容をコメントしてくれた・・
・・たしかに苦しい時期だ・・ただ自分は(これまでのトッププロとしての経験から!?)辛抱強い努力が絶対に報われることを知っている・・だから我々も、この困難を乗り越えていけると確信する・・忍耐強い日々の努力、ハードワークこそがその原動力だ・・いま我々の順位はボトムだから、もう上がっていくしかないではないか・・
・・いいね・・コメントしながら微笑みまで見せていたジョルジーニョ・・最後は余裕までも感じさせてくれた・・彼もまた、ストロング・ハンド(優れたパーソナリティー)ということだね・・
・・最後に、この試合で「も」ベンチスタートだった原口元気(後半29分に登場)・・どうも、そのプレー姿勢に強い意志が感じられない・・
・・こんなシーンがあった・・味方のミスでボールをアントラーズに奪われた・・次の瞬間、自分の目の前で、アントラーズ選手がボールを扱っていたにもかかわらず、原口元気は、まったくアタックする(ボールを奪いかえしにいく)意志をみせず、やる気なさそうに歩くばかりだった・・ちょっとアタマにきた・・
・・優れた才能に恵まれた選手であればあるほど、もっともっと、攻守にわたって『自らの意志で』仕事を探しつづけなければならない・・そう、汗かきのハードワーク(強烈な意志!)こそが、唯一の成功(世界)へのパスポートなのだ・・
・・わたしは、互いに使い、使われるメカニズムと表現する・・自ら進んで(攻守にわたって!)ボールがないところでの実効アクションを探しつづけるハードワークを心がければ、おのずとチームメイトからも信頼されるようになる・・そしてボールも集まるようになるし、個人勝負だって、より良いカタチで仕掛けていけるようなる・・
・・でも今の原口元気は、「オレ様プレー」の方が目立っている・・これでは、彼が秘める才能が活きない(活かされない)のも道理・・そして伸び悩んでしまう・・代表チームでは良いプレーを魅せるときもあるのに・・フムフム・・
・・まあ、彼だけじゃなく、矢島慎也とか小島秀仁、はたまたセルヒオといった若い才能連中が、しっかりとした意志をもって、攻守にわたるハードワークを積極的に「探せる」ようになるかどうか・・ミハイロ・ペトロヴィッチのストロングハンドにも注目しましょう・・
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重ねて、東北地方太平洋沖地震によって亡くなられた方々のご冥福を祈ると同時に、被災された方々に、心からのお見舞いを申し上げます。 この件については「このコラム」も参照して下さい。
追伸:わたしは-"Football saves Japan"の宣言に賛同します(写真は、宇都宮徹壱さんの作品です)。
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ところで、湯浅健二の新刊。三年ぶりに上梓した自信作です。いままで書いた戦術本の集大成ってな位置づけですかね。
タイトルは『サッ カー戦術の仕組み』。出版は池田書店。この新刊については「こちら」をご参照ください。また、スポーツジャーナリストの二宮清純さんが、2010年5月26日付け日経新聞の夕刊 で、とても素敵な書評を載せてくれました。それは「こちら」です。また、日経の「五月の書評ランキング」でも第二位にランクされました。
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