湯浅健二の「J」ワンポイント


2013年Jリーグの各ラウンドレビュー


 

第11節(2013年5月11日、土曜日)

 

発展をつづけるレッズを観ることが楽しくて仕方ない・・(レッズvsアントラーズ、 3-1)

 

レビュー
 
 いま、やっと自宅に到着しました。真夜中・・

 今日は電車移動だったし、途中で座れたので、コンピュータを開いて書きはじめようと思えば出来ました。でも、まず何といっても「例のシーン」を確認してから・・ということで、我慢した次第。

 例のシーン。そう、後半33分の、興梠慎三による勝ち越しゴール場面。

 記者席でも、そのシーンをしっかりと観ていたつもりだったけれど、やっぱり「斜め」からだからネ。確信を持てない。ということで、自宅でのビデオチェックまで我慢したのですよ。

 ここで「オフサイドポジション」を判断する上で対象になる選手は、ヘディングゴールを決めた興梠慎三と、アントラーズ最終ラインの青木剛と中田浩二だよね。

 正直にいって、「真横」からの映像がないから、何とも言えない。

 ということで、ここには、二つの真実があるというわけだ。

 興梠慎三は、梅崎司が斜めのラストクロスを蹴った瞬間、青木剛か中田浩二の位置によって決まる「オフサイドライン」と同じ高さにいた・・と確信しているでしょ。

 逆に、青木剛にしても中田浩二にしても、梅崎司のラストクロスが蹴られた瞬間、興梠慎三がオフサイドラインを越えていたと確信している。

 でも、この3人の「位置取り」を、真横から見ていた「副審」は、そのフラッグで、オフサイドを指し示すのではなく、センターサークルを指していた。要は、オフサイドではなく、そのゴールを認めたということです。

 いま、私の目の前には、一時停止されたテレビ画面がある。そう、梅崎司がラストクロスを蹴った瞬間。

 斜め後方の角度からのテレビ映像だから、正確なことは言えない。もちろん、ビデオ映像を少し動かした次の瞬間には、興梠慎三は、青木剛と中田浩二で作られるオフサイドラインを「明確」に越えていた。

 いかん、いかん。明確に「視認できない」ことで、何か、消化不良の心理に陥りそうだ。

 フ〜〜・・まあ、このテーマについては、もう止めにしよう。とにかく、審判の裁定は下ったんだから・・

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 ということで、両チーム選手が放散する強烈な意志&集中力いう視点も含め、ものすごくエキサイティングだった勝負マッチは、「3-1」というレッズの勝利に終わった。

 ミハイロ・ペトロヴィッチも、「全体的な内容を踏まえれば、まあ、ドローというのがフェアな結果だったかもしれない・・まあ、もしアントラーズが勝って いたら、このゲーム内容に相応しい勝者として讃えられたはずだ・・それほど素晴らしいゲームだった・・」なんていうニュアンスの内容をコメントしていたっ けね。

 もう夜中だし疲れ気味だから、ここからは、いくつかのポイントを箇条書きでピックアップします。

 ・・まず、那須大亮の同点ゴールが決まってからレッズが仕掛けていった総攻撃・・

 ・・同点にしてから、平川忠亮を下げてマルシオを2列目に入れた・・興梠慎三と原口元気のツートップ・・両サイドに、森脇良太と梅崎司・・柏木陽介は、 一列下がってボランチへ・・そして、スリーバックには、阿部勇樹と鈴木啓太が、臨機応変に入る・・でも、まあ、基本的には柏木陽介と鈴木啓太のダブルボラ ンチ(&後方からのゲームメイカー)かな・・

 ・・そしてレッズは、攻撃となったら、ファイブトップ気味のイメージで仕掛けていくんだ・・

 ・・同点になったから、ちょっと落ち着くという発想はなかったか?・・そんな、大住良之さんの質問に対して、ミハイロは・・いや、攻撃的なバリエーションにすることで、何としても勝ち切りたかった・・なんていうニュアンスの内容をコメントしていたっけね・・

 ・・だからこそ、実際に「勝ち切れた」ことには、ものすごく重要なコノテーション(言外に含蓄される意味)が内包されている・・

 ・・相手がアントラーズだったことも含め、このゲームから得られた自信レベルは並大抵のモノじゃない・・

 ・・次・・アントラーズのセットプレーというテーマ・・

 ・・誰もが観たとおり、アントラーズのセットプレーは、危険極まりなかった・・

 ・・小笠原満男と野沢拓也という、卓越したキッカーがいる・・そして、直接シュートだけではなく、ニアポストでの「フリック」からこぼれ球をブチ込んだり、高さを活かして一発ヘディングシュートをブチかましたり・・

 ・・アントラーズは、少なくとも3本の「絶対的チャンス」を作りだした・・でも結局は一つも決められなかった・・

 ・・そこでは、レッズGK加藤順大が、獅子奮迅のゴールキーピングを魅せた・・今日の彼は、乗りに乗っていた・・この成功体感が、加藤順大の自信リソースを拡充することを願って止まない・・

 ・・それ以外にもアントラーズは、色々なチャンスメイクのカタチ(共有イメージ)をもっている・・

 ・・例えば・・とても危険なカウンターをブチかましたり・・また、ある程度「攻め込んで」から、後方からサポートしてくる小笠原満男へバックパスを戻し、そのまま危険なミドルシュートを打たせたり・・

 ・・この、バックパス&ミドルシュートという最終勝負イメージも、とても効果的にシンクロ(同期)していると感じた・・トレーニングの賜物・・

 ・・また彼らは、ジュニーニョとダヴィという、勝負ドリブルの最終兵器も擁している・・そう、攻撃の変化ツール・・

 ・・そのダヴィは、前半42分に、阿部勇樹との競り合いに勝って決定的シュートブチかました・・

 ・・それに対してレッズ・・例によって、人とボールが効果的に動きつづける組織サッカー・・でも、単純にボールを動かすだけではなく、「ショート& ショート&ロング」なんていう、変化に富んだ大きな展開「も」魅せる・・だからこそ、彼らの組織サッカーの効果レベルが、よりアップする・・

 ・・まあ、そんなメカニズムについては、いつも書いている通りでっせ・・

 ・・そして、何といっても、両サイドの「タテのコンビネーション」が秀逸・・

 ・・左サイドは、宇賀神友弥(梅崎司)と槙野智章のコンビ・・そして右サイドは、森脇良太と平川忠亮のコンビ・・

 ・・やはりレッズの場合は、この両サイドからの仕掛けが機能したら、とても危険だね・・

 ・・もちろん、そんなサイドからの危険な仕掛けという武器があるからこそ、原口元気の爆発ドリブル勝負が、とても大きな効果を発揮する・・

 ・・原口元気・・ホントに良くなっている・・攻守にわたるハードワークに「も」心血を注げるようになったからこそ、彼の真骨頂であるドリブル勝負も光り 輝く・・そう、組織サッカーにしっかりと乗っているからこそ、スペースで、良いカタチでボールを持てるんだよ・・だからこそ、より有利なカタチから勝負ド リブルをブチかましていける・・

 ・・まあ、前節の「マラドーナ・ドリブル勝負&シュート」には説明なんて要らないでしょ・・

 ・・まあ、書きはじめたら・・攻撃の最終シーンまで飛び出していくチャンスを狙いつづけるスリーバック・・とか・・

 ・・まったくプレースタイルが変わったことで(汗かきハードワーカーとしてだけじゃなく、素晴らしいゲームメイカーとしても!)チームから頼りにされるようなった鈴木啓太・・いま彼は、プレーすることが楽しくて仕方ないに違いない・・とか・・

 ・・縁の下の力持ちとして抜群の存在感を魅せつづける阿部勇樹・・とか・・

 ・・攻守にわたる忠実なハードワークを絶対的なベースに、最前線で、素晴らしいポストプレーや、味方へのスペースメイクを魅せつづけている興梠慎三・・とか・・

 ・・まあ、もう止めた・・

 とにかく、発展をつづけるレッズを観ることが楽しくて仕方ない筆者なのでした。

 もう、どうしようもなく乱筆乱文だと思う・・ご容赦アレ〜・・


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 重ねて、東北地方太平洋沖地震によって亡くなられた方々のご冥福を祈ると同時に、被災された方々に、心からのお見舞いを申し上げます。 この件については「このコラム」も参照して下さい。
 追伸:わたしは-"Football saves Japan"の宣言に賛同します(写真は、宇都宮徹壱さんの作品です)。

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 ところで、湯浅健二の新刊。三年ぶりに上梓した自信作です。いままで書いた戦術本の集大成ってな位置づけですかね。

 タイトルは『サッ カー戦術の仕組み』。出版は池田書店。この新刊については「こちら」をご参照ください。また、スポーツジャーナリストの二宮清純さんが、2010年5月26日付け日経新聞の夕刊 で、とても素敵な書評を載せてくれました。それは「こちら」です。また、日経の「五月の書評ランキング」でも第二位にランクされました。





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