湯浅健二の「J」ワンポイント
- 2013年Jリーグの各ラウンドレビュー
- 第8節(2013年4月27日、土曜日)
- まあ、(またまた!?)こんな日もあるさってな後味のゲームでした・・(レッズvsエスパルス、 0-1)
- レビュー
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- そりゃ、残念だよ・・
特に前半は、圧倒的にゲームを支配しただけじゃなく、何度も、決定的なチャンスの流れも作りだしたからね。
それでも、後半になってからの、レッズに決定的なチャンスを作らせないエスパルス守備の頑張りや、ワンチャンスを決め切るバレーの素晴らしい決定力などは、それはそれで、高く評価されるべきだと思いますよ。
・・(後半は!?)勇気のぶつかり合いになった・・我々は、守備において勇気をふりしぼって球際の勝負に臨んでいった・・選手たちは、しっかりと寄せることで効果的な(協力)プレスも機能させられていたと思っている・・
・・我々は若いチームだ・・たしかに、身体的な若さというアドバンテージはあるが、逆に、経験は浅い・・もちろん、このような大観衆の前でプレーすると
いうことも含めての経験という意味合いだ・・だから、ハーフタイムには、選手たちに勇気を与えたかった・・それが、後半は功を奏したと自負している・・
エスパルス、アフシン・ゴトビ監督が、そんなニュアンスの内容をコメントしていた。フムフム・・
ちなみに、ハーフタイムでの彼の「檄」は、こんな感じだったらしい・・
・・自信、イマジネーション、スピリット・・どれをとっても不十分だった・・何故だ??・・もっと集中しろ!!・・球際で負けるな!!・・両ワイドはもっと飛び出していけ!!・・怖がるな!!・・勇気をもって、後半は巻き返していけ〜っ!!・・
だから、ゴトビさんに、「勇気と、球際での強さの相関関係を表現していただけないだろうか・・?」なんていう質問をしてしまった次第(コメントの骨子ニュアンスは上記・・)。
まあ、相関関係については、具体的な表現はなかったけれど、それは、まあ、推して知るべしだよね。何せ、不確実性ファクターがテンコ盛りのサッカーは、本物の心理ゲームなんだから・・
ということで、前半と後半では、かなりゲーム内容に違いがあったと思っている筆者なのです。
ファクト(事実)として、後半のレッズは、前半ほどには「チャンスの流れ」を作り出せなかったわけだからね。もちろん、後半のエスパルスにも、ほとんどといっていいほどスキを与えなかったよね。「あの二つの」バレーへの一発タテパスシーンを除いて・・
そのうちの一つはゴールになり、もう一つのタテへの勝負シーンでは、阿部勇気が退場になってしまった。
そりゃ、すごい効率で成し遂げられた「決定的な仕事」じゃありませんか。レスペクト!!
ところで後半のレッズ。ゲームは支配しているけれど、どうしても、最終勝負まで持ち込めない。だから、ミハイロに聞いた。
・・前半の立ち上がりには、マルシオの、エイヤッ!のロングシュートがあった・・また、平川忠亮が、勇気を放散しながらドリブル突破にチャレンジし、2度ほど、マークする相手選手の背後スペースを見事にブチ破ってラストクロスを送り込んだ・・
・・また後半でも、阪野豊史が、勇気をもってボールをキープし、最後はポストシュートまでブチかました・・たしかに組織コンビネーションサッカーは絶対
的なベースだけれど、それだけではチャンスを作りだすのは難しい・・そこに、いかに効果的に個人勝負をミックスしていくのかというのが重要なテーマだと思
うが?・・
そんな質問に対し、ミハイロは、例によって誠実に、こんなニュアンスの内容をコメントしてくれた。
・・その通りだ・・たしかに前半は、効果的な個人勝負プレーが出ていたと思う・・ただ後半は、おっしゃるように、(タテへ勝負していくべきところを!)
切り返して横パスを出してしまうようなシーンもあった・・選手たちは、もっと勇気をもってリスクにもチャレンジしていかなければならない・・まあ、勇気を
高揚させていくというテーマについては、既定のレシピはないだろう・・だから、柔軟にマネージしていかなければならない・・とにかくそれも、これからの課
題の一つということだ・・
フムフム・・
ところで、レッズ攻撃のキモだけれど、それは、何といっても、サイドバックと(スリーバックの)外側のバックとで繰り広げる、サイドゾーンでの「タテの変化」だよね。
そのサイドゾーンからの仕掛けの流れが上手く回れば、確実にチャンスを作り出せるし、そのことで相手守備のイメージも「分散」するだろうから、直線的な「センターゾーンを割っていく」仕掛けも、より効果的になるはずだ。
そんな、サイドゾーンからの仕掛けだけれど、右サイドでは、平川忠亮(梅崎司)と森脇良太のタテのコンビが、また左サイドは、言わずと知れた槙野智章と宇賀神友弥のコンビがブチかましていく。
そして、このタテのコンビに、最前線トリオの2人(この試合では、マルシオと柏木陽介)が、攻守にわたって絡んでいく・・っちゅう感じ。
そんなサイドゾーンから仕掛けていくイメージが、サイドチェンジパスを出す方にも、また受ける方にも しっかりと定着しているからこそ、大きなサイドチェンジパスも、より効果的に繰り出していけるというわけさ。
また、後方からのオーバーラップも、どんどん活性化していると感じる。
要は、スリーバックの面々が、臨機応変に、3人目、4人目として最前線の最終勝負シーンに顔を出していくんだよ。
前述したように、これまでは、スリーバックの両サイド(槙野智章と森脇良太)だけだったのに、この試合では、那須大亮までが、チャンスを見計らって前線へ押し上げていくようになったんだ。
そんなシーンを観ながら、最初は、「オイオイッ!」なんて思ったけれど、そのオーバーラップの有効性を確かめるたびに、これは、良いね・・なんて思うようになった。
そんな、こんなで、レッズの攻撃には、より効果的な「変化」が伴うようになっていると感じる。
逆に、だからこそ、逃げの切り返しや横パスに終始した(!?)後半の「寸詰まり」の仕掛けに、ちょっと違和感を覚えていたのさ。まあ、私だけじゃないだろうけれどね。
ということで今日は、リーグ2連敗にもかかわらず、「まあ・・こんなこともあるさ・・」なんていう、アルディージャ戦と同じような、(ネガティブ感覚が充満しているというわけじゃない!!)ちょっと達観した後味になったという次第でした。
それは、とりもなおさず、レッズが進化・発展していることに対する深い確信がバックボーンになっているからに他なりません。
まあ・・(またまた!?)こんな日もあるさってな後味のゲームではありました・・
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重ねて、東北地方太平洋沖地震によって亡くなられた方々のご冥福を祈ると同時に、被災された方々に、心からのお見舞いを申し上げます。 この件については「このコラム」も参照して下さい。
追伸:わたしは-"Football saves Japan"の宣言に賛同します(写真は、宇都宮徹壱さんの作品です)。
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ところで、湯浅健二の新刊。三年ぶりに上梓した自信作です。いままで書いた戦術本の集大成ってな位置づけですかね。
タイトルは『サッ カー戦術の仕組み』。出版は池田書店。この新刊については「こちら」をご参照ください。また、スポーツジャーナリストの二宮清純さんが、2010年5月26日付け日経新聞の夕刊 で、とても素敵な書評を載せてくれました。それは「こちら」です。また、日経の「五月の書評ランキング」でも第二位にランクされました。
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