湯浅健二の「J」ワンポイント
- 2014年Jリーグの各ラウンドレビュー
- 第12節(2014年5月6日、火曜日)
- レッズの前に立ちはだかる「強化守備ブロック」というゲームの構図・・(ヴァンフォーレvsレッズ、 0-0)
- レビュー
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- いや・・ホント・・すごかったネ〜・・ヴァンフォーレ甲府のディフェンス。
チェイス&チェックと、周りのマーキングや協力プレス、またカバーリングといった、一連の守備アクションが、素晴らしく「連動」しつづけていた。
私は、目を凝らして、ボールがないところでの(両チームの)動きの量と質を観察していたのだけれど、だからこそ、ゲームを観おわったとき、冒頭の言葉がアタマを占拠したっちゅうわけだ。
そして、そんな「意志のサッカー」を、最後まで途切れることなくやり通させたヴァンフォーレ監督の城福浩さんに、心から拍手をおくっていた。
まあ、それじゃ、レッズ攻撃が苦労するのも無理ないってことだよね。
もちろん彼らも、ウラのスペースを攻略する「効果的なプロセス」までは、何度も魅せた。またサイドゾーンを攻略し、そこから効果的クロスを送り込める状況を、何度も作りだした。
それだけじゃなく、原口元気の、「ココゾッ!」のドリブル突破と、強烈なミドルシュートもあったし、相手ゴールの正面ゾーン(ペナルティーエリア外側のヴァイタルエリア)からの直接フリーキックも、何本かあった。
そしてゲームの終盤には、タイミングよいボール奪取からショートカウンターをブチかまし、阿部勇樹がまったくフリーで抜け出して相手守備ラインへ迫るといった絶対的チャンスも作りだした。
でも、最後の瞬間のスルーパスが、相手の足に「当たって」しまうんだよ。その瞬間、スタジアムが溜息で包まれたっけ(もちろんレッズサイドからの溜息だよ!)。
とにかく、強烈な意志に支えられたヴァンフォーレ甲府の忠実で厳しいディフェンスが、最後の最後まで光り輝きつづけたということが言いたかった。
ところで、相手の強化守備ブロック(守備的なゲーム戦術)に挑んでいかなければならないレッズという「ゲームの構図」だけれど、それは、これからも繰り返し見せつけられることになりそうだね。
だから、ミハイロに聞いた。
・・そんな構図のゲームでは、相手を驚かせることが肝心だと思う・・この試合では、原口元気がブチかましたドリブルシュートが秀逸だったけれど(相手GK
の正面に飛んでしまった!)、そんなミドルシュートをバンバン打つとか、アーリークロスをドンドン放り込むとか、攻撃に変化をつけるような方策は考えてい
るだろうか?・・
・・レッズが、そんな攻めをやったら、相手は驚いてドギマギし、守備ブロックの安定感が大きく殺がれてしまうハズなんだけれど・・
そんな質問に対し、ミハイロは、例によって真摯に、こんなニュアンスの内容をコメントしてくれた。曰く・・
・・そうだな〜・・たしかに、そんなパワープレーは、時と場合によって効果を発揮することがあるかもしれないけれど、それを選手たちに要求するのは、どうかな・・たぶん、それは、オレ達のスタイルとは相容れないんじゃないだろうか・・
ミハイロも、レッズ選手たちにしても、「とにかく、何が何でも1点をブチ込むぞ・・!!」ってな状況になったら、ロングシュートを打ったり、アーリークロ
スを放り込むよりも、押し上げていく人数を増やし、数的に優位なカタチを作りだしつづけるというやり方を選ぶんだろうな。
もちろん、それは、それで正解だよ。
全員が、前からプレッシングを仕掛けつづけ、そしてボールを奪い返したら、次の仕掛けシーンへ積極的に押し上げていくんだよ。そうなったら、コンビネーションにしても、クロスにしても、はたまた勝負ドリブル&シュートにしても、抜群の実効を生み出すでしょ。
確かに、これまでも、危急状況になったときのレッズは、あくまでも「自分たちのスタイル」で、より積極的に押し上げて(より多くの人数をかけることで!)相手ディフェンスを勘違いさせて(!!)足を止まり気味にさせちゃうよな。
そうなったら、興梠慎三や原口元気のドリブル勝負にしても、その効果レベルが天井知らずってなことになる。
たしかに、そうだ・・
でも、私が、言いたかったことは、相手ディフェンスを勘違いさせることで、ターゲットを絞り込ませないようにするという意図のこと。
だから、「普通のゲーム展開」のときでも、たまには、ロングシュートやアバウトな放り込みなどといった「攻撃の変化」をブチかましちゃってもいいんじゃネ〜か・・っていうことなんだ。
たしかに、このゲームの残り10分という時間帯では、絶対に勝ちたいレッズが、「前への勢い」を倍加させ、それまで以上に、ヴァンフォーレ守備を押し込んで、何度もウラのスペースも突いていったよな。
そこでは、李忠成を鈴木啓太と交替させ、興梠慎三をワントップに据えたこともあって、その時間帯までは(あまり)見られなかった、ワントップ(興梠慎三)の、背後の決定的スペースへの「飛び出しフリーランニング」も出てきた。
そのように、「レッズのスタイル」でも、十分に状況を打開していけるのは分かっているけれど・・
でも・・サ・・もうちょっと鷹揚(おうよう)に構えることで、たまには、前述した「アバウトなパワーサッカー」もブチかましていけるだけの「イメージ的な余裕」を秘めておくのも一考かと思ったわけだ。
何せ、これからも相手は、ディフェンスを「強化」してレッズに臨んでくるはずだからね。
そんな相手守備の「イメージ」を惑わしちゃおうっていうわけだ。
まあ、もちろん、そこまでの「余裕」を持つためには、大変なチカラ(チームの実力)が必要になるわけだけれど・・
フラストレーションが溜まるゲームの顛末を観ながら、ちょっと「そんなこと」も考えてしまった筆者だったのであ〜る。
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最後に「告知」です。
実は、ソフトバンクではじめた「連載」だけれど、事情があって、半年で休止ということになってしまったんですよ。
でも、久しぶりの「ちゃんとした連載」だったから、とてもリキを入れて書いていた。そして、そのプロセスを、とても楽しんでいた。自分の学習機会としても、とても有意義だったしね。
そして思ったんですよ、この「モティベーション機会」を失ってしまうのは、とても残念だな〜・・ってね。
だから、どこかで連載をはじようかな・・と、可能性を探りはじめた。そこでは、いくつか良さそうなハナシもあったし、メルマガでもいいかな・・なんてコトも考えた。
でも・・サ、やっぱり、書くからには、できるかぎり多くの方々に読んでもらいたいわけですよ。でも、可能性がありそうな(メルマガも含めた)連載プラットフォームとしては、やはり私のホームページにかなうモノはなかった。
ということで、どうなるか分からないけれど、とにかく、私のホームページで、新規に、連載をはじめることにしたのです。
一つは、毎回一つのテーマを深める「The Core Column」。
そして、もう一つが、私の自伝である「My Biography」。
とりあえず、ドイツ留学から読売サッカークラブ時代までを書こうかな。もし、うまく行きそうだったら、「一旦サッカーから離れてから立ち上げた新ビジネス」、そして「サッカーに戻ってきた経緯」など、どんどんつづけましょう。
ホント、どうなるか分からない。でも、まあ、一週間ごとにアップする予定です。とにかく、自分の学習機会(人生メモ)としても、価値あるモノにできれば・・とスタートした次第。
もちろん、トピックスのトップページには、新規に「新シリーズ」コーナーをレイアウトしましたので、そちらからも入っていけますよ。
まあ、とにかく、請う、ご期待・・ってか〜〜・・あははっ・・
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重ねて、東北地方太平洋沖地震によって亡くなられた方々のご冥福を祈ると同時に、被災された方々に、心からのお見舞いを申し上げます。 この件については「このコラム」も参照して下さい。
追伸:わたしは-"Football saves Japan"の宣言に賛同します(写真は、宇都宮徹壱さんの作品です)。
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ところで、湯浅健二の新刊。三年ぶりに上梓した自信作です。いままで書いた戦術本の集大成ってな位置づけですかね。
タイトルは『サッ カー戦術の仕組み』。出版は池田書店。この新刊については「こちら」をご参照ください。また、スポーツジャーナリストの二宮清純さんが、2010年5月26日付け日経新聞の夕刊 で、とても素敵な書評を載せてくれました。それは「こちら」です。また、日経の「五月の書評ランキング」でも第二位にランクされました。
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