湯浅健二の「J」ワンポイント


2014年Jリーグの各ラウンドレビュー


 

第13節(2014年5月10日、土曜日)

 

勝者のメンタリティー・・意志さえあれば・・(アルディージャvsレッズ、 0-2)

 

レビュー
 
「オレってサ、友達とミニゲームを楽しんでいても、絶対に負けたくないんだよ・・それは、オレがユースの頃から培われたマインドなんだ・・」

この試合ですが、皆さんも観られたとおり、まあ、レッズの完勝という評価に異論をはさむ方はいないでしょ。

ところで、この「完勝」という表現のニュアンスだけれど、それは、レッズが、アルディージャの攻めを余裕をもって受け止め(勢いを抑制し!)、そして攻撃では、自分たちの持ち味を出してチャンスを演出しつづけたということです。

そう、攻守にわたって、ゲームのイニシアチブを握った・・っちゅうことです。

そのレッズの攻めで特に気に入ったのが、柏木陽介や原口元気に代表される、積極的なミドルシュートというリスクチャレンジ(=効果的な攻撃の変化!!)。

それがあったからこそ、アルディージャ守備も、少し前に重心を上げていかざるを得なくなり、彼らの背後のスペースが広がった。

そのアルディージャだけれど、たしかに良くなっているし、しっかりとした戦術イメージを基盤に、効果的に闘っているとは思う。

でも、いかんせん、大熊清監督も言っていたように、攻めに上がっていく人数が少なすぎる。それでは、レッズ守備ブロックのウラを突くことなんて出来ない相談だ。

チーム戦術やゲーム戦術の「呪縛」!? さて、どうなんだろうか・・。

もちろん、家長昭博という天才が繰り出すドリブル勝負が、ツキに恵まれたらチャンスにはなる。でも、それじゃ、まさに単発。

そうではなく、あくまでも、組織プレーと個人勝負プレーを高質にバランスさせなきゃいけないんだよ。

そのためには、攻撃に、もっと人数を掛けていかなければならない。それが出てくれば、より多く、「数的に優位なカタチ」を演出できるでしょ。

もちろん、そのようなサッカーをやるには、もっと、もっと運動量が必要になる。そう、強い意志。

まあ、このゲームに限っては、攻守にわたってレッズに「やられて」しまったことは確かな事実なのだから、それを良い学習機会とし、次の進化をイメージして、地道なトレーニングを積むことが肝心だよね。

その、アルディージャに完勝したレッズだけれど、特に後半では、2点目を奪いにいく姿勢が目立っていたよね。決して「落ち着こう」とするのではなく、前半にも増して、前への勢いを増幅させていったんだよ。

そして、攻守にわたって、まさにスーパーなパフォーマンスを魅せつづけていた柏木陽介の努力が実をむすぶ。それは、まさに夢のようなミドル弾(2点目)だった。

そうそう、考えてみたら、先制ゴールも、柏木陽介のアシストだったよね。

もちろん興梠慎三のトラップ&シュートも素晴らしかったけれど、その興梠慎三をマークしていた相手ディフェンダーのアタマをギリギリで越えていく、まさにフィーリングにあふれたロビング(ラスト)パスが秀逸だったんだ。

とにかく、この試合での柏木陽介のスーパーパフォーマンスに乾杯!!

そして、ここから、このコラムのテーマに入っていくっちゅうわけだ。それは、勝者のメンタリティー。

このコラムで強調したかったことは、全体的なゲームの流れに、レッズ選手たちの「勝利へのこだわり」を強く感じたということなんだ。

そう、彼らのプレーぶりに、勝利への強い「こだわり」を見たんだよ。

だから、ミハイロに聞いた。

・・ミハイロさんにとって、勝者のメンタリティーとは何ですか?・・

それに対してミハイロが、冒頭のように話しはじめたというわけなんだ。そして、その言葉につづけて、こんなニュアンスの内容をコメントしてくれた。曰く・・

・・そのユースチームって、常に勝つことを要求されるビッグクラブの下部組織だったんだ・・そう、レッドスターという、常に勝つことが要求されるビッグク ラブ・・オレは、そのユースチームで鍛え上げられたんだよ・・もちろん、勝つことに対する貪欲なまでのマインドも含めてネ・・

・・そんなマインドは、いまでも、オレの底流にある・・だから、レッズのユース選手も、常に勝つことを求めつづけて欲しいんだ・・その積み重ねこそが、勝者のメンタリティーを育むんだよ・・

・・オレは、そう思う・・だから、遊びのミニゲームでも、絶対に負けたくないんだ・・フフフッ・・

ここで、断っておかなければならないことがあります。

それは、「勝つためには、どんなサッカーでも(どんなコトをしても)いいのか・・??」というディスカッション。

もちろんミハイロも、美しく勝つことを希求している。それは絶対的なベースなんだよ。

彼が言わんとしたことは、勝つことを、常に、強く希求しつづけれていれば、おのずと実際のプレー「も」洗練され、進化していくということなんだ。

そりゃ、そうだ。レフェリーに見えないようにディフェンスの服をつかんで倒し、そしてボールを奪ってゴールを決めたって、得るモノなんて何もない。

また、ガンガンと放り込むようなパワーサッカーで、ゴリ押しの勝利を掴んだって、得るものは少ないでしょ。

そうではなく、「勝ちたい・・」という強い意志をもちつづけていれば、攻守にわたるハードワークの量と質が、おのずとアップしていく・・ということなんだよ。

そうすれば、攻守にわたって、より多く、数的に優位なカタチを作り出せるし、より高度な組織(パス)コンビネーションだって繰り出せる。

また、そのように組織サッカーの質がアップすれば、原口元気に代表される「個の才能」だって、より有利なカタチで勝負ドリブルをブチかましていけるようになる。

ちょっと舌っ足らずだけれど、今日のレッズ選手のプレー姿勢を観ているうちに、「勝者のメンタリティー・・」というテーマを、少しだけ深掘りしてみたくなったというわけです。

もちろん、その「勝ちたい・・」というメンタリティーこそが、サッカーをより美しいモノへ進化させていく・・というテーマのことだよ。

そう、意志さえあれば、おのずと「道」が見えてくるのだよ。

これって、どの賢人の言葉だったっけ・・??

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 最後に「告知」です。

 実は、ソフトバンクではじめた「連載」だけれど、事情があって、半年で休止ということになってしまったんですよ。

 でも、久しぶりの「ちゃんとした連載」だったから、とてもリキを入れて書いていた。そして、そのプロセスを、とても楽しんでいた。自分の学習機会としても、とても有意義だったしね。

 そして思ったんですよ、この「モティベーション機会」を失ってしまうのは、とても残念だな〜・・ってね。

 だから、どこかで連載をはじようかな・・と、可能性を探りはじめた。そこでは、いくつか良さそうなハナシもあったし、メルマガでもいいかな・・なんてコトも考えた。

 でも・・サ、やっぱり、書くからには、できるかぎり多くの方々に読んでもらいたいわけですよ。でも、可能性がありそうな(メルマガも含めた)連載プラットフォームとしては、やはり私のホームページにかなうモノはなかった。

 ということで、どうなるか分からないけれど、とにかく、私のホームページで、新規に、連載をはじめることにしたのです。

 一つは、毎回一つのテーマを深める「The Core Column」

 そして、もう一つが、私の自伝である「My Biography」

 とりあえず、ドイツ留学から読売サッカークラブ時代までを書こうかな。もし、うまく行きそうだったら、「一旦サッカーから離れてから立ち上げた新ビジネス」、そして「サッカーに戻ってきた経緯」など、どんどんつづけましょう。

 ホント、どうなるか分からない。でも、まあ、一週間ごとにアップする予定です。とにかく、自分の学習機会(人生メモ)としても、価値あるモノにできれば・・とスタートした次第。

 もちろん、トピックスのトップページには、新規に「新シリーズ」コーナーをレイアウトしましたので、そちらからも入っていけますよ。

 まあ、とにかく、請う、ご期待・・ってか〜〜・・あははっ・・


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 重ねて、東北地方太平洋沖地震によって亡くなられた方々のご冥福を祈ると同時に、被災された方々に、心からのお見舞いを申し上げます。 この件については「このコラム」も参照して下さい。
 追伸:わたしは-"Football saves Japan"の宣言に賛同します(写真は、宇都宮徹壱さんの作品です)。

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 ところで、湯浅健二の新刊。三年ぶりに上梓した自信作です。いままで書いた戦術本の集大成ってな位置づけですかね。

 タイトルは『サッ カー戦術の仕組み』。出版は池田書店。この新刊については「こちら」をご参照ください。また、スポーツジャーナリストの二宮清純さんが、2010年5月26日付け日経新聞の夕刊 で、とても素敵な書評を載せてくれました。それは「こちら」です。また、日経の「五月の書評ランキング」でも第二位にランクされました。





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