湯浅健二の「J」ワンポイント


2014年Jリーグの各ラウンドレビュー


 

第15節(2014年7月19日、土曜日)

 

今回も、気付いたポイントをランダムにピックアップしました・・(レッズvsアルビレックス、 1-0)

 

レビュー
 
どうも皆さん、帰国しました。

もちろん埼スタへ行くつもりだったのですが、ブラジルで無理をしたからなのでしょうか(!?)、神経痛の回復具合が思わしくないのですよ。

とにかく、「痛くないようにすること」が一番だろうから(帰りのフライトでも、空いていたことで横になって眠れたことが良かった!)、まず早く回復させようと思ったこともありました。

この「神経痛」には、もうかれこれ7週間も悩まされているのですが、ブラジルW杯でのコラムも参照して下さい。

前段が長くなっちゃいましたが、要は、今日の試合をテレビ観戦にした・・っちゅうことでした。

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その試合だけれど、例によって、ポイントだけをランダムにピックアップします。では・・

・・まず何といっても、レッズが、しっかりと守り切ったこと・・もちろん守備ブロックが安定しているのが要因だけれど・・

・・特筆ポイントは、それでも、攻撃にもしっかりと人数をかけられていること・・だから、攻めあぐむことなく、しっかりとチャンスメイクもできている・・

・・でも・・

・・後半11分と、つづく13分の決定的ピンチはいただけない・・二つのピンチ共に、マークが「行かせて」しまったことが原因だった・・それも、2、3分の間に連続してだからネ・・

・・とにかく「それ」は、とても貴重な「イメージトレーニング素材」だよ・・もちろん、守備イメージのネ・・まあ、余計なお世話だろうけれど・・

・・それと、残り20分から15分という時間帯に、受け身に「押し込まれ」たゲーム展開も、いただけなかった・・

・・たとえ押されていたとしても、決して、相手に「攻め込ませ」てはいけない・・そうではなく、相手攻撃をコントロールできなければいけない・・そう、残り15分といった最後の時間帯のようにね・・

・・その、二つのシチュエーションの決定的な違いは、何といっても、チェイス&チェック(相手ボールホルダーへの寄せ!)の量と質・・まあ、言うまでもないことだけれどネ・・

・・だからこそ、阿部勇樹に、もっと、『𠮟咤激励する音声モティベーション』というリーダーシップを発揮してもらいたい・・っちゅうわけだ・・「おいっ!!・・なんで、そこで、もっと寄せないんだっ!!!・・とかサ・・

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・・そして、ちょっと前述したけれど、これだけ安定した守備が展開できているにもかかわらず、次の攻撃の「実効レベル」が、どんどん高揚しているというポイント・・

・・要は、選手たちの守備意識が高揚したっちゅうことでしょ・・

・・この守備意識・・それは決して、忠実にディフェンスへ戻るという「受け身の意識」がコアの意味合いじゃないよ・・要は、次の攻撃をしっかりとイメージした、より積極的、攻撃的な、「ボールを奪い返す意志」のことなんだよ・・

・・このニュアンスの違いには、高次のバランスという意味合いで、本当に、雲泥の差がある・・

・・その意識付け(心理マネージメント)の内実で、ミハイロ・ペトロヴィッチを高く評価するわけだ・・

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・・たしかに、前述した後半の立ち上がりとネガティブ時間帯には、何度かウラを突かれた・・また全体的なシュート数でも圧倒された・・

・・でも、チャンスの流れ(プロセス)の内実と、実質的な決定的チャンスの量と質という意味合いじゃ、明らかにレッズに軍配が挙がる・・

・・たしかに、カウンター状況のからのチャンスが多かったわけだけれど、そこでのチャンスの芽を見逃さず、全力スプリントで「仕掛けの流れに乗っていく」オーバーラップの人数が、常に十分だったというポイントでも、今シーズンのレッズの発展ぷりが伺える・・

・・また、このカウンターチャンスについてだけれど・・

・・レッズは、タテへの「ボールの運び」が鋭いんだよ(ロングのタテパスとかサイドチェンジパスとかタテへの仕掛けパスとか!!)・・

・・だから、相手ディフェンスの組織を乱すことができる・・そう、彼らのタテへの仕掛けでは、擬似のカウンター状況を演出できるシーンが多いっちゅうわけだ・・

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・・そして、このポイントが、とても指摘したかったことなんだけれど・・

・・それは、レッズのボールタッチが、本当に「軽快」だという事実・・球離れが良いということだけれど、フロンターレ同様に、彼らの「人とボールの動き」にも、確固たる「リズム」が出てきていると思う・・

・・これは、とても大事なポイントだね・・

・・そして西川周作も、誰かさんをイメージし、まさに最後尾のスイーパーとしても確実に機能している・・

・・この動きのリズムとGKのスイーパー・・どこかのチームを想起しませんか?・・

・・そう、ブラジルW杯を制したドイツ代表・・

・・だからこそ、美しく、勝負強いサッカーが世界チャンピオンに輝いたことには、とても意義のあるコノテーション(言外に含蓄される意味)があると思うわけなのです・・

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・・西川周作・・

・・「ココゾッ!!」のシーンで、決定的なセーブを魅せてくれる・・

・・その西川周作について、ミハイロが、こんなことを言ったっけ・・

・・どんなに支配しているゲームでも、何度かは、決定的ピンチを迎えるモノだ・・そのときに本領を発揮できるのが西川周作だ・・そのときの集中力は、彼のインテリジェンスと意志力の証明だ・・

・・青木拓矢・・とても良くなっている・・まあレッズのサッカーに慣れてきた(自信を深めつつある)っちゅうことだね・・

・・彼が魅せつづける、忠実チェイス、忠実カバーリング、局面での競り合いの勝負強さ・・等などが、レッズの中盤&最終ラインのディフェンスを、とても安定させている・・

・・李忠成・・まだまだ、興梠慎三のワントップと比べたら、実効レベルが落ちる・・最前線でのタテパスの処理(トラップ&キープなど)・・そう、味方のオーバーラップを『モティベートする!』タメやポストプレーなどなど・・

・・もちろん彼のシュート決定力は魅力だし戦力だけれど、利き足の「左」へ持ち替えたことで絶対的チャンスを逃したプレーはいただけない・・

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・・最後に、「コンディション」という表現について・・

・・これは、あくまでも、物理的・生理学的な「フィジカル・コンディション」のこと・・

・・でも、それを、ボールを扱う「テクニカルな感覚」とか、相手が入ったときの競り合いプレーの内実などといった感覚的な状態にも使ってしまうようなことが散見される・・

・・そのような、物理的、感覚的な、選手の総合状態については、『フォーム』という表現を使うのが正解だよね・・

・・この、「コンディション」という物理的な(生理学的な)フィジカル状態を表現する言葉が、あまりにも広いニュアンスで使われると誤解を招きやすいと思い、指摘することにしました・・

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 最後に「告知」です。

 実は、ソフトバンクではじめた「連載」だけれど、事情があって、半年で休止ということになってしまったんですよ。

 でも、久しぶりの「ちゃんとした連載」だったから、とてもリキを入れて書いていた。そして、そのプロセスを、とても楽しんでいた。自分の学習機会としても、とても有意義だったしね。

 そして思ったんですよ、この「モティベーション機会」を失ってしまうのは、とても残念だな〜・・ってね。

 だから、どこかで連載をはじようかな・・と、可能性を探りはじめた。そこでは、いくつか良さそうなハナシもあったし、メルマガでもいいかな・・なんてコトも考えた。

 でも・・サ、やっぱり、書くからには、できるかぎり多くの方々に読んでもらいたいわけですよ。でも、可能性がありそうな(メルマガも含めた)連載プラットフォームとしては、やはり私のホームページにかなうモノはなかった。

 ということで、どうなるか分からないけれど、とにかく、私のホームページで、新規に、連載をはじめることにしたのです。

 一つは、毎回一つのテーマを深める「The Core Column」

 そして、もう一つが、私の自伝である「My Biography」

 とりあえず、ドイツ留学から読売サッカークラブ時代までを書こうかな。もし、うまく行きそうだったら、「一旦サッカーから離れてから立ち上げた新ビジネス」、そして「サッカーに戻ってきた経緯」など、どんどんつづけましょう。

 ホント、どうなるか分からない。でも、まあ、一週間ごとにアップする予定です。とにかく、自分の学習機会(人生メモ)としても、価値あるモノにできれば・・とスタートした次第。

 もちろん、トピックスのトップページには、新規に「新シリーズ」コーナーをレイアウトしましたので、そちらからも入っていけますよ。

 まあ、とにかく、請う、ご期待・・ってか〜〜・・あははっ・・


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 重ねて、東北地方太平洋沖地震によって亡くなられた方々のご冥福を祈ると同時に、被災された方々に、心からのお見舞いを申し上げます。 この件については「このコラム」も参照して下さい。
 追伸:わたしは-"Football saves Japan"の宣言に賛同します(写真は、宇都宮徹壱さんの作品です)。

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 ところで、湯浅健二の新刊。三年ぶりに上梓した自信作です。いままで書いた戦術本の集大成ってな位置づけですかね。

 タイトルは『サッ カー戦術の仕組み』。出版は池田書店。この新刊については「こちら」をご参照ください。また、スポーツジャーナリストの二宮清純さんが、2010年5月26日付け日経新聞の夕刊 で、とても素敵な書評を載せてくれました。それは「こちら」です。また、日経の「五月の書評ランキング」でも第二位にランクされました。





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