湯浅健二の「J」ワンポイント
- 2014年Jリーグの各ラウンドレビュー
- 第2節(2014年3月8日、土曜日)
- 負けちゃったけれど、今年のレッズが「やる」という確信は強くなった・・それと、ユン・ジョンファンに乾杯!・・(レッズvsサガン鳥栖、 0-1)
- レビュー
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- まあ、これもサッカーだよな。
記者会見が終わった後、ミハイロには、ドイツ語で・・
・・仕方ネ〜よ・・これもサッカーさ・・とにかく次だ、次だ・・
・・なんて、声を掛けた。そしたら彼も・・
・・そうだ・・そうだ・・来週だ・・なんてつぶやきながら、記者会見場を後にした。
スミマセンね、大住(良之)さん、後藤(健生)さん。ドイツ語だったから、分からなかったでしょ。
あっ・・失礼・・2人とも、そのくらいのドイツ語は分かるか・・
それにしても、サガン鳥栖(以下、鳥栖)は、ものすごい集中力で、最後の最後まで闘い通した。それは、それで、感動を呼び起こされた。
監督のユン・ジョンファンも、とても真摯に、「選手たちを誇りに思うし、彼らに感謝している・・」と語っていたっけ。
私は、鳥栖が魅せつづけた、優れたディフェンスのことを中心に語っている。
もちろん、彼らが、(特にボールのないところで!!)どのような意図と意志をもって、何をやろうとしているのか・・を中心に観察していた。
そして思った。素晴らしい「意志」だ・・
もう何度も書いたけれど、守備こそが、本物の組織プレーでなければならない。
最初のチェイス&チェックから、カバーリング、協力プレス、そして美しいインターセプトや、相手トラップの瞬間を狙う効果的なアタック・・等など。
それら一つひとつの守備アクションが、そして「そのイメージ」が、しっかりと「リンク」されていなければならないのだよ。
もちろん、それらは、とても厳しい仕事(ハードワーク)だよ。でも彼らは、まさに全身全霊で、そのワークに取り組んでいたんだ。
その視点でも、今日の鳥栖が魅せたディフェンスは、感動モノだったというわけさ。
・・
過去2年間、我々は、ここ埼玉スタジアムで、多くの失点をブチ込まれて負けつづけた・・選手たちは、そのコトを忘れていない・・彼らは、今日こそは失点な
しでゲームを終えるゾという意気込みでグラウンドに立ったのだ・・そして、素晴らしい闘いで、勝ち切った・・この勝利は大きい・・選手たちにとっても、本
物の自信になったに違いない・・
ユン・ジョンファン監督が、そんなニュアンスの内容をコメントしていた。また彼は、新加入の安田理大、谷口博之について、こんなニュアンスの内容もコメントしていた。曰く・・
・・いままで彼らは、ビッグクラブでプレーしてきた・・だから最初は、鳥栖のことを何も知らなかったと思う・・ただ、そんな彼らも、鳥栖プレイヤーたちの闘う姿勢を肌身に感じた・・そしてそれが「刺激」になって、全身全霊で、優れたチームプレーを披露してくれた・・
そう、その通り。
特に安田理大は、優れたディフェンスを魅せただけじゃなく、このゲーム唯一のゴールもお膳立てした。
そんな彼らを見ながら(特にボールがないところでの実効プレー!)、鳥栖というチームが秘める、優れた「体質」も、同時に感じていた。
もちろん「それ」は、ユン・ジョンファン監督の「ストロングハンド」があってこそ。
ユン・ジョンファンに、乾杯!!
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さて、ということで、レッズ。
前回レポートでも書いたけれど、彼らの守備意識は、とても進化している。
一週間前の開幕ゲーム(ガンバ戦)の前半26分。ガンバが、左サイドから決定的なグラウンダークロスを入れた。フィニッシャーは、佐藤晃大。
そのとき、誰もがガンバのゴールを確信した。でも、最後の瞬間、レッズ選手の足が出て、シュートをブロックしたんだよ。
そう、槙野智章がブチかました、ギリギリのカバーリングプレー。素晴らしかった。
私にとっては、そんな「意志の爆発プレー」を見ただけで十分だった。
今シーズンのレッズは、「やる」に違いない・・
ミハイロ・ペトロヴィッチも、今日のゲーム(鳥栖戦)の公式プログラムに、こんな表現で、決意を述べていた。曰く・・
・・今期は、最多得点、最少失点で乗り切るという高い志を・・
開幕ゲームのガンバ戦では、まさに、その決意が、結果を呼び込んだ。
またオフェンスでも、今日の鳥栖戦では、特に前半、まさにイメチェンの攻撃を魅せてくれた。
素晴らしいコンビネーションから、鳥栖ディフェンスブロックのスペースを次々と攻略していく。そして、そのまま持ち込んだり、ラストスルーパスを送り込むだけじゃなく、シンプルなタイミングで、強烈なミドルシュートもブチかまし続けたんだよ。
何本あっただろうか。
原口元気や槙野智章、宇賀神友弥や興梠慎三など。とにかく、大迫力のミドルシュートをブチかましつづけるレッズだったんだよ。
でも、ノーゴール。それは、彼らが作りだしたチャンスの量と質からすれば、とても残念な結果だった。
そして後半・・
たしかに、槙野智章のロビングシュートや、関口訓充が持ち込んだシュート、はたまた、クロスボールをダイレクトボレーで叩いた李忠成の惜しいシュートなど、チャンスはあった。
また、ボールポゼッションでもシュート数でも、前半を上回っていた。
でも、私の目には、ゴールする可能性(チャンスの質)という視点で、その「チャンスの危険度」が、前半よりもダウンしたと感じられたんだ。
それは、鳥栖ディフェンスの集中力と「意志のポテンシャル」が、前半よりも明確にアップしたからに他ならない。
もちろん彼らは、一点リードしているわけだから、当たり前のゲーム展開ではあるけれど、とにかく彼らは、守備ブロックの密度をアップさせた。
そして、そのことで、レッズ攻撃が、簡単にはスペースを活用できなくなり、徐々に選手たちの足も止まり気味になっていった。
そんなタイトな状況になったからこそ、もっとミドルシュートや、シンプルな放り込みといった、攻撃の変化も演出しなければ・・なんて忸怩(じくじ)たる思いにかられていた筆者だったのだ。
そして結局・・
まあ、仕方ない。
とはいっても、守備にしても、攻撃にしても、その「内容」が着実にアップしていることは確かな事実だと思う。
だから私は、心配していない。
今年のレッズは、「やる」に違いない・・
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最後に「告知」です。
実は、ソフトバンクではじめた「連載」だけれど、事情があって、半年で休止ということになってしまったんですよ。
でも、久しぶりの「ちゃんとした連載」だったから、とてもリキを入れて書いていた。そして、そのプロセスを、とても楽しんでいた。自分の学習機会としても、とても有意義だったしね。
そして思ったんですよ、この「モティベーション機会」を失ってしまうのは、とても残念だな〜・・ってね。
だから、どこかで連載をはじようかな・・と、可能性を探りはじめた。そこでは、いくつか良さそうなハナシもあったし、メルマガでもいいかな・・なんてコトも考えた。
でも・・サ、やっぱり、書くからには、できるかぎり多くの方々に読んでもらいたいわけですよ。でも、可能性がありそうな(メルマガも含めた)連載プラットフォームとしては、やはり私のホームページにかなうモノはなかった。
ということで、どうなるか分からないけれど、とにかく、私のホームページで、新規に、連載をはじめることにしたのです。
一つは、毎回一つのテーマを深める「The Core Column」。
そして、もう一つが、私の自伝である「My Biography」。
とりあえず、ドイツ留学から読売サッカークラブ時代までを書こうかな。もし、うまく行きそうだったら、「一旦サッカーから離れてから立ち上げた新ビジネス」、そして「サッカーに戻ってきた経緯」など、どんどんつづけましょう。
ホント、どうなるか分からない。でも、まあ、一週間ごとにアップする予定です。とにかく、自分の学習機会(人生メモ)としても、価値あるモノにできれば・・とスタートした次第。
もちろん、トピックスのトップページには、新規に「新シリーズ」コーナーをレイアウトしましたので、そちらからも入っていけますよ。
まあ、とにかく、請う、ご期待・・ってか〜〜・・あははっ・・
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重ねて、東北地方太平洋沖地震によって亡くなられた方々のご冥福を祈ると同時に、被災された方々に、心からのお見舞いを申し上げます。 この件については「このコラム」も参照して下さい。
追伸:わたしは-"Football saves Japan"の宣言に賛同します(写真は、宇都宮徹壱さんの作品です)。
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ところで、湯浅健二の新刊。三年ぶりに上梓した自信作です。いままで書いた戦術本の集大成ってな位置づけですかね。
タイトルは『サッ カー戦術の仕組み』。出版は池田書店。この新刊については「こちら」をご参照ください。また、スポーツジャーナリストの二宮清純さんが、2010年5月26日付け日経新聞の夕刊 で、とても素敵な書評を載せてくれました。それは「こちら」です。また、日経の「五月の書評ランキング」でも第二位にランクされました。
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