湯浅健二の「J」ワンポイント


2014年Jリーグの各ラウンドレビュー


 

第6節(2014年4月6日、日曜日)

 

今日もレンチャン観戦だぜ・・(アルディージャvsヴィッセル、 0-3)(レッズvsベガルタ、 4-0)

 

レビュー
 
今はまだ、アルディージャ対ヴィッセル戦後の、Nack5スタジアム会見場です。

これから埼スタへ行くけれど、単車で移動すれば、15分で着く。だから、最初のゲームを簡単に振り返っておこうとキーボードに向かった。

それにしてもヴィッセルは、とても効率よくゴールを奪ったよね。それも、三つも。

対するホームのアルディージャは、たしかに前半は、チト鈍重なサッカーだったけれど、後半は(もちろんリードされていることもあって!)大きく持ち直し、繰り返しチャンスを作りだした。

でも決められず、逆に、カウンターから、ヴィッセルに、決定的な3点目をブチ込まれてしまったという結末になった。

私は、そんなゲーム展開を観ながら、「まあサッカーだから、こんな展開もあるよな・・全体的なサッカー内容じゃアルディージャに軍配が上がるけれど、結末は・・」ってなことを思っていた。

ところで、ヴィッセル神戸。

彼らは、新加入選手(マルキーニョス、ペドロ・ジュニオール、シンプリシオ、増川隆洋など)を中心に、ポゼッションサッカーを目指しているとのこと。

そのことは、この試合でも感じられた。

「このところ、新加入選手たちも、チームのコンセプトに馴染んできている・・そのこともあって、今は、もっともっとサッカー内容を充実させていけるという確信を強くしている・・」

そう言う安達亮監督は、「J2」時代も含めて、とても良い仕事をしていると思う。

一人の監督が、継続してチームを率いることは、長期的な戦略イメージという視点も含めた様々な意味合いで、クラブにとって、とても価値あることなんだよ。

これからのヴィッセルにも期待しよう。

ところで・・

この試合では、最初からテーマは決まっていたんだよ。

そう、家長昭博。私は、彼の一挙手一投足に目を凝らしていたんだ。

でも、まだまだ、フラストレーションの方が強残る。フ〜〜ッ・・

彼については、「The Core Column」シリーズの、「このコラム」でも取りあげたから、ご覧あれ。

そこでも書いたけれど、彼ほどの「天賦の才」だからね、こちらの期待は大きいのですよ。でも、まだまだ、「本物のブレイク・スルーの兆し」が、明確に見えてこない。

とはいっても、アルディージャの「ストロングハンド」、大熊清監督によって、徐々に、本当に徐々にではあるけれど、良い方向へ向かっているのは確かな事実だよね。

そのことは、この試合でも感じた。

特に後半。

基本的なポジションと戦術的なタスクイメージが変わったことで、本当の意味で、彼の才能が、より効果的に発揮されるようになったんだよ。

だから、大熊清監督に聞いた。

「彼は、もっともっとボールに触らなければならない思う・・シンプルなタイミングでの展開パスを回すのはいいけれど、その後、多くのシーンで足を止めてしまっている・・それじゃ、ボールに触る頻度を上げられないと思うのだが・・」

その質問に対し、大熊清監督は、例によって、真摯に、こんなニュアンスの内容をコメントしてくれた。曰く・・

・・そうですね・・ボールがないところでの動きの量と質も含めて、まだまだ課題が多いと感じています・・パス&ムーブで、確実にリターンパスを呼び込むようなプレーですよね・・

・・また彼には、相手が怖がるプレーを期待しています・・ベガルタ仙台戦での、PKを呼び込んだときの勝負プレーですよね・・彼には、そんな、相手が怖がるプレーを、より強く要求していくつもりです・・彼には、それが出来るんですから・・

家長昭博ほどの天賦の才は、そうはいない。

そんな彼が、本物のブレイクスルーを達成できるかどうか・・。これからも、自分の学習機会としても、彼に注目しつづけようと思っている筆者なのです。

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では、これから埼スタへ向かいます。後で〜〜・・

・・ってなわけで、埼スタでのレッズ対ベガルタ戦を観てから帰宅したのだけれど、既に夜中の23時を回っていた。そして、軽く食事をしてからキーボードに向かった筆者なのであ〜る。

フ〜〜・・

さて、何から書きはじめようか。そうだ・・

実は、記者会見の後、ミハイロと立ち話をしたんだよ。それは、会見の冒頭で、ミハイロが、こんなニュアンスの内容をコメントしたから。曰く・・

・・わたしは満足していない・・前半は、スローすぎた・・だから相手のウラを突いていけなかった・・もちろん、いくつかチャンスはあったし、ゴールも奪った・・でも全体的には、人とボールの動きが重かったんだよ・・だからパスミスも多かった・・

・・また後半も、リズム悪くゲームに入ってしまった・・それじゃ、ヴィッセル戦と同じ展開になってしまう・・もし、そこで失点していたら、とても難しい ゲームになっていただろう・・でも徐々に、前から積極的なディフェンスを仕掛けられるようになったことで勢いを盛りかえし、そして追加ゴールも奪えた・・

・・もっとも大事なポイントは、やはり前から仕掛けていく積極的な守備であり、その実効レベルをアップさせたことだ・・それが、追加点を生み出したと思っているんだよ・・

そんなコメントのなかで、特に、「ヴィッセル戦と同じになっちゃう・・」といクダリが耳にとまった。だから、立ち話で、こんなコトを彼に言ったんだよ。

「そう、オレも、後半の展開を観ながら、これじゃ、ヴィッセル戦とまったく同じじゃないか・・なんて思っていたよ・・とにかく、そのネガティブな傾向は、早急に修正しなきゃいけない・・」と、私。

それに対してミハイロが、こう応えるんだ。

「そうなんだよな、さっきも会見で言ったけれど、ゴールを奪ったあとに、過度にディフェンシブになってしまったのは、大きな問題なんだよ・・まあ、オレ達だけじゃなく、そのことは全ての日本のチームに言えることだけれどネ・・」

そう、ゴールを奪った後に、消極的な(受け身の)サッカーに落ち込み、相手に押し込まれてしまうという現象。

たしかに、その傾向は全ての日本チームに当てはまるけれど、それでも、レッズは優勝を狙うチームなんだからね、そんな受け身のサッカーで自らドツボにはまり、同点にされたり、逆転されたりしたら、目も当てられないじゃないか。

そう、前節ヴィッセル戦のようにね。

ある番記者の方に聞いたのだけれど、そのことについては、チームのなかでも、深く、そして強く、理解が共有されていたらしい。

そう、先制ゴールを奪った後が大事なんだ。とにかく、是が非でも追加ゴールを奪いにいかなければならないんだよ。

もし追加ゴールを奪えなかったとしても、そんなプレー姿勢が、サッカーの内容を格段にアップさせてくれるはずだ。

この試合でも、後半の立ち上がり10分くらいまでは、かなりベガルタに押し込まれていた。でも、そのあたりから、少しずつではあるけれど、形勢が逆流しはじめるんだよ。

それは、ミハイロの采配が功を奏したという面も大きかったと思う。そう、鈴木啓太が送り込まれ、柏木陽介が、本来の攻撃的ハーフへ「上がった」んだ。

これで、中盤ディフェンスが活性化した。そう、守備こそが全てのスタートライン・・という普遍的なコンセプトを地でいったんだよ。

そこからレッズは、明らかに盛りかえしていった。そして後半21分に、李忠成の追加ゴールが生まれたというわけだ。

それで、実質的に「勝負あり」だったね。

ということで、このゲームは、レッズにとって(ミハイロにとっても)、様々な視点で、とても意義深い、重要なコンテンツを内包していたと思う。

まず、選手たちが、追加ゴールの重要性を、冷や汗とともに再認識させられたこと。

これは大きい。これからは、先制ゴールを奪ったときには、チーム全体が、同じ「行動(目標)イメージ」を共有するようになるはず。

・・ヨシッ・・ここからが重要だぞ・・これまで以上に積極的なディフェンスを展開するんだ・・そして、そのことでゲームの流れを、自分たちが主体になってコントロールするんだ・・もちろん、追加ゴールを、是が非でも奪うために!!・・ってね。

また、局面での小さなコトの積み重ねがゲームの主導権を左右してしまうというポイントもあった。

後半、立ち上がりの時間帯。

そこでは、とにかく守備が鈍重だった。

チェイス&チェックの勢いがニブい・・マーキングやカバーリングも甘い・・次のプレスでの寄せにも勢いがない・・等など。

それでは、人数をかけて攻め上がってくるベガルタ相手たちが、多くの場面で自由にプレーできちゃうのも道理だった。

また、フリーな相手ボールホルダーが、どんどん出現しちゃうものだから、レッズの最終ラインも、振り回され気味になっていく。

そして、スルーパスを通されたり、ワンツーを決められて、ウラの決定的スペースを攻略されちゃったりする。

ホント、よく、あの時間帯に失点しなかったモノだ・・なんてことを(後から)思った。

三つ目が、李忠成。

これまで、彼のプレーに良い印象はなかった。でも・・

そう、数日前のナビスコカップで、はじめて(!?)興梠慎三と李忠成が先発でコンビを組み、とても良いコンビネーションを魅せたんだよ。

もちろん李忠成がトップで、興梠慎三がシャドーに入る。

たしかに、(ミハイロも言っていたように)まだまだ修正しなければならないコンビネーションポイントも多いけれど、とにかく、李忠成が、ストライカーとしてのクオリティーを魅せつけられるようになったのは、とても大きいと思う。

李忠成が、彼本来の「ゴール決定力」を誇示したんだ。

また、ボールがないところでの(パスレシーバーとしての)献身的な「動き」もあるし、最前線で、相手マーカーを背負いながらも、しっかりキープして「次」へ展開できるスキルも良かった。

そして何より、(繰り返しになるけれど・・)彼が、チャンスを、しっかりとゴールに結びつけられる「決定力」を、チームメイトに再認識させたことには、とても深い意義があったと思っているんだよ。

そんな彼らの自信レベルが、このまま順調にアップしていけば、李忠成、興梠慎三、そして原口元気で組む、トップ・トリオの破壊力も天井知らず・・ってなことになるかもしれない。

ことほど左様に、この試合には、さまざまな「ネガ・ポジの重要ポイント」が内包されていたと思っている筆者なのです。

あとは、それらを、修正したり、発展させていくことで、チームの進化を加速させていけばいい。

とにかく今日のゲームは、大量ゴールの勝利という「数字の成果」以外にも、様々な、重要コノテーション(言外に含蓄される意味)を内包するファクターがあった思っている筆者なのです。

アタマが、かなり朦朧(もうろう)としてきた。

だから、推敲なしで、このまま「エイヤッ!!」でアップしちゃう。ご容赦アレ〜〜・・

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 最後に「告知」です。

 実は、ソフトバンクではじめた「連載」だけれど、事情があって、半年で休止ということになってしまったんですよ。

 でも、久しぶりの「ちゃんとした連載」だったから、とてもリキを入れて書いていた。そして、そのプロセスを、とても楽しんでいた。自分の学習機会としても、とても有意義だったしね。

 そして思ったんですよ、この「モティベーション機会」を失ってしまうのは、とても残念だな〜・・ってね。

 だから、どこかで連載をはじようかな・・と、可能性を探りはじめた。そこでは、いくつか良さそうなハナシもあったし、メルマガでもいいかな・・なんてコトも考えた。

 でも・・サ、やっぱり、書くからには、できるかぎり多くの方々に読んでもらいたいわけですよ。でも、可能性がありそうな(メルマガも含めた)連載プラットフォームとしては、やはり私のホームページにかなうモノはなかった。

 ということで、どうなるか分からないけれど、とにかく、私のホームページで、新規に、連載をはじめることにしたのです。

 一つは、毎回一つのテーマを深める「The Core Column」

 そして、もう一つが、私の自伝である「My Biography」

 とりあえず、ドイツ留学から読売サッカークラブ時代までを書こうかな。もし、うまく行きそうだったら、「一旦サッカーから離れてから立ち上げた新ビジネス」、そして「サッカーに戻ってきた経緯」など、どんどんつづけましょう。

 ホント、どうなるか分からない。でも、まあ、一週間ごとにアップする予定です。とにかく、自分の学習機会(人生メモ)としても、価値あるモノにできれば・・とスタートした次第。

 もちろん、トピックスのトップページには、新規に「新シリーズ」コーナーをレイアウトしましたので、そちらからも入っていけますよ。

 まあ、とにかく、請う、ご期待・・ってか〜〜・・あははっ・・


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 重ねて、東北地方太平洋沖地震によって亡くなられた方々のご冥福を祈ると同時に、被災された方々に、心からのお見舞いを申し上げます。 この件については「このコラム」も参照して下さい。
 追伸:わたしは-"Football saves Japan"の宣言に賛同します(写真は、宇都宮徹壱さんの作品です)。

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 ところで、湯浅健二の新刊。三年ぶりに上梓した自信作です。いままで書いた戦術本の集大成ってな位置づけですかね。

 タイトルは『サッ カー戦術の仕組み』。出版は池田書店。この新刊については「こちら」をご参照ください。また、スポーツジャーナリストの二宮清純さんが、2010年5月26日付け日経新聞の夕刊 で、とても素敵な書評を載せてくれました。それは「こちら」です。また、日経の「五月の書評ランキング」でも第二位にランクされました。





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