湯浅健二の「J」ワンポイント
- 2015年Jリーグの各ラウンドレビュー
- 第12節(2015年5月14日、木曜日)
- ベルマーレの試合運びが、質実剛健にレベルアップしている・・(レイソルvsベルマーレ、0-0)
- レビュー
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- まだ、レイソルの会見場。
今日も、先日の鹿島でのゲームと同様に、「ここ」でフィニッシュし、アップしてから帰宅しようと考えています。その方が、真夜中に、比較的空いている6号線を走れるからね。
ということで会見だけれど、両チームの監督が、異口同音に言っていたっけ。
・・両チームともに、自分たちのサッカーで、真っ向勝負を仕掛け合った・・だから、とても清々しい印象が残っている・・
そう、その通り。私も、まったく眠くならなかった。
たしかに、両チームともに、決定的なカタチを多くは作り出せなかったけれど、それでも互いに積極的に仕掛け合う「攻守のプロセス」は、とても楽しめたんだよ。
特に、流れのなかからのスペース攻略・・ってな、攻撃のエキサイトメントではなく、(両チームの!)仕掛けを効果的に抑制してボールを奪い返してしまう「強烈な意志」が込められたダイナミックな守備に、舌鼓を打っていたんだよ。
何せ、ものすごく素早く、そして実効レベルの高い攻守の切り替えから、ホントに、目の覚めるようなチェイス&チェックの「守備ハードワーク」のオンパレードだったわけだから。
両チームともに、最後の最後まで、「意志のサッカー」を貫いたということだろうね。だからこそ、とても清々しいイメージが残った。
ということで、具体的なテーマ。
吉田達磨さんには悪いけれど、この試合からは、ベルマーレが魅せつづける、「変化のコノテーション(言外に含蓄される意味)」を取りあげたい。
要は、攻守にわたる積極的なサッカー(リスクチャレンジ)はそのままだけれど、これまでのように、最後のトコロで(何か、唐突な雰囲気で!?)相手にやられて負けちゃう・・ってな「勝負弱さが目立つ」ゲーム展開を、効果的に抑え込めている・・っちゅうポイントです。
だから、一昨年と今年の「J1」でのゲーム内容を比べようと思った。
もちろん、ものすごく多くの「勝負ファクター」が複雑に絡みあうサッカーだから、そのゲーム展開を十把一絡げにまとめるわけにゃいかない。でも・・
そう、「エイヤッ!」で、まとめちゃう。
要は、一昨年シーズンのベルマーレは、全体的には、とても良い(ダイナミックなリスクチャレンジ満載の!)ゲームを展開できてはいたけれど、肝心の勝負どころで、ビックリするほど「淡泊にやられてしまう」ケースが多かったんだよ。
カウンターとかセットプレー、また、流れのなかから、(カッチリと組織が決まっていない!?)守備ブロックを崩されるケースもあった。
もちろん「それ」は、攻守のバランスの問題。
でも今シーズンは、危ないカタチで相手のカウンターを受けても、以前のように、アタフタと(悪いタイミングで!)守備アタックを仕掛けて置き去りにされてしまうようなピンチシーンが、とても少なくなったと感じる。
素晴らしくスピーディーで効果的な「攻守の切り替え」から、全力で戻りながら、守備の組織を整え、そして「良いカタチ」になってからアタックを仕掛けていくんだよ。
だからこそ、相手の攻撃を、効果的に抑え込めるし、決定的ピンチに陥ることも少ない。
そう、攻守の「バランス感覚」と、危急状況での「落ち着き」が、格段にアップしているんだ。
もちろん、これは、とても微妙なディスカッションだよね。
バランスを執ろうとすれば、攻撃でのリスクチャレンジへの「意志」がダウンするでしょ。
逆に、押し上げ過ぎても、「次のディフェンス」が間に合わないことで組織をうまく構築できず、焦った状態でアタックを仕掛けて自滅しちゃう。
でも今シーズンは、そんな、相反する「要素の相克」を、選手たちが、しっかりと意識できるようになったっちゅうことなんだろうね。
チョウ・キジェが言っていた。曰く・・
・・100%というイメージでは足りない・・選手は、常に、120%のチカラを傾注しなければいけないんですよ・・
そんな強烈な「ストロングハンド」に支えられているからこそ、選手たちの「意識と意志」も高揚するだろうし、スピードアップした攻守の切り替えをベースに、守備への「戻りの勢い」もアップする。そしてそのことで、守備組織バランスの再構築もスムーズに行える。
そして、だからこそ、焦って、安易なアタックを仕掛けるような「ジリ貧の守備シチュエーション」も少なくなる。
フムフム・・
そんなディフェンス機能性アップの「グラウンド上の主役」は、言わずと知れた永木亮太。
もちろん、遠藤航、アンドレ・バイーア、三竿雄斗で組むスリーバックだけじゃなく、両サイドバックも、「慌てず、急ぎすぎず」に、相手のカウンターを効果的に「抑制」できるようになっている。
観ていて、感心していた。
・・そうそう・・ハードワークへの「強烈な意志」に支えられた、守備への戻りが素晴らしい・・
・・変に焦ることなく、落ち着いて、相手カウンターの勢いを抑制できている・・そして守備組織をカチッと固めてから、勝負のボール奪取アタックを仕掛けていく・・もちろん、次のカバーリング組織がしっかりとしている状態を見極めてからね・・
そんなだから、彼らのゲーム運びが、質実剛健にレベルアップするのも道理じゃないか。
たぶんベルマーレは、このまま発展をつづけるでしょ。何せ、リーダーが、「あの」意志の権化、チョウ・キジェなんだから。
最後に、この試合で先発した、山田直輝について。
レッズ時代も、ベルマーレへ移籍してきてからも、満足なゲームはできていなかった。それが・・
そう、このゲームでは、見違えるほど積極的なプレーが展開できていたんだよ。
大好きな山田直輝のことだから、私も、心から喜んでいた。
忠実で、クリエイティブな守備参加。そこでは、次、その次を狙っているからこそ、とても効果的に、ボール奪取プロセスに絡みつづけられていた。
また攻撃でも、ボールがないところでの動きの量と質がアップしているのと同時に、ボールを持った状態でも、これまでのように、変に「安全パスを回して足を止めちゃう・・」なんていう後ろ向きのシーンが、とても少なくなった。
もちろん、ゲームに出ていなかったから、コンディションは「60分まで」ってな感じだけれど、でもこの試合では、その彼が、息がつづく限り、全力で攻守ハードワークに「も」精進していたんだよ。そんなプレー姿勢に、とても、とても安心させられた。
よし・・、これで山田直輝も、やっと復活ベクトルに乗ったぞ・・ってね。
たしかに今シーズンは、ベルマーレのゲームを多くは観戦できていない。これからは、ちょっと工夫して、観戦頻度をアップさせましょう。
それでは今日は、この辺で・・。
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最後に「告知」です。
実は、ソフトバンクではじめた「連載」だけれど、事情があって、半年で休止ということになってしまったんですよ。
でも、久しぶりの「ちゃんとした連載」だったから、とてもリキを入れて書いていた。そして、そのプロセスを、とても楽しんでいた。自分の学習機会としても、とても有意義だったしね。
そして思ったんですよ、この「モティベーション機会」を失ってしまうのは、とても残念だな〜・・ってね。
だから、どこかで連載をはじようかな・・と、可能性を探りはじめた。そこでは、いくつか良さそうなハナシもあったし、メルマガでもいいかな・・なんてコトも考えた。
でも・・サ、やっぱり、書くからには、できるかぎり多くの方々に読んでもらいたいわけですよ。でも、可能性がありそうな(メルマガも含めた)連載プラットフォームとしては、やはり私のホームページにかなうモノはなかった。
ということで、どうなるか分からないけれど、とにかく、私のホームページで、新規に、連載をはじめることにしたのです。
一つは、毎回一つのテーマを深める「The Core Column」。
そして、もう一つが、私の自伝である「My Biography」。
とりあえず、ドイツ留学から読売サッカークラブ時代までを書こうかな。もし、うまく行きそうだったら、「一旦サッカーから離れてから立ち上げた新ビジネス」、そして「サッカーに戻ってきた経緯」など、どんどんつづけましょう。
ホント、どうなるか分からない。でも、まあ、一週間ごとにアップする予定です。とにかく、自分の学習機会(人生メモ)としても、価値あるモノにできれば・・とスタートした次第。
もちろん、トピックスのトップページには、新規に「新シリーズ」コーナーをレイアウトしましたので、そちらからも入っていけますよ。
まあ、とにかく、請う、ご期待・・ってか〜〜・・あははっ・・
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重ねて、東北地方太平洋沖地震によって亡くなられた方々のご冥福を祈ると同時に、被災された方々に、心からのお見舞いを申し上げます。 この件については「このコラム」も参照して下さい。
追伸:わたしは-"Football saves Japan"の宣言に賛同します(写真は、宇都宮徹壱さんの作品です)。
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ところで、湯浅健二の新刊。三年ぶりに上梓した自信作です。いままで書いた戦術本の集大成ってな位置づけですかね。
タイトルは『サッ カー戦術の仕組み』。出版は池田書店。この新刊については「こちら」をご参照ください。また、スポーツジャーナリストの二宮清純さんが、2010年5月26日付け日経新聞の夕刊 で、とても素敵な書評を載せてくれました。それは「こちら」です。また、日経の「五月の書評ランキング」でも第二位にランクされました。
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