湯浅健二の「J」ワンポイント
- 2015年Jリーグの各ラウンドレビュー
- 第24節(2015年8月16日、日曜日)
- 素晴らしい仕事をしている両監督、ミハイロ・ペトロヴィッチとチョウ・キジェに惜しみない拍手を!!・・(レッズvsベルマーレ、1-0)
- レビュー
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- フェアな評価は、もちろん、レッズが、持てる実力に見合った内容のサッカーで、フェアな勝利を手にした・・というモノでしょ。
でも、まあ、ベルマーレが最後まで高みで維持した「あの」ダイナミックサッカーだったし、後半はベルマーレが一点を追いかける(要はレッズ陣内に攻め込む!)展開になったこともあったからね、「レッズの辛勝」っちゅう印象をもたれた方もいたかもしれないね。
フムフム・・
とにかく、ことほど左様に、ベルマーレが、前半の立ち上がりからブチかました「フルパワーのプレッシングサッカー」が、ホントにインプレッシブだったんだよ。
このテーマについては、後述しますね。
ということで試合。
前述のように、前半の立ち上がりは、ベルマーレが、例によっての「闘う意志150%」っちゅうダイナミックサッカーでゲームの流れを掴んだ。
もちろん「それ」でも、強固なレッズ守備ブロックを、そう簡単に崩せる(スペースを攻略できる)わけじゃない。
そして時間の経過とともに、両チームの実力に見合ったゲーム展開へと落ち着いていったっちゅうわけだ。
そう、レッズが、全体的なゲームの流れをコントロールしはじめたんだよ。
それでもベルマーレは、コーナーキックから、ポストを直撃するチャンスを作り出した。
対するレッズも、前半終了間際に、これまたコーナーキックから、那須大亮のヘディングシュートが炸裂したけれど、惜しくも枠を外れた。
まあ、前半は、レッズのチーム力が「まだ格上」であることを誰もが認識した・・っちゅうゲーム内容だった。
そして後半13分。待望の先制(決勝)ゴールが生まれた。
ゲットしたのは、「あの」スーパー鉄人、槙野智章。
彼は、東アジアカップでの3試合を含め、この二週間あまりで6試合を「全力で!」闘いきったことになる。まさに「鉄人」じゃありませんか。
まあ、もちろん疲労との闘いだっただろうし、身体の状態に合わせて(またチームメイト達が司るタテのポジションチェンジマネージメントの内容に合わせて!!)オーバーラップを「調整」していたとは思う。
それでも、この試合でも、ギリギリの競り合い場面でのボール奪取勝負プロセス(その内実)は、まさに頼り甲斐のあるファイターそのものだった。
その一つのシーン・・
ベルマーレのスピードスターで、後半は右サイドバックに入った高山薫がオーバーラップしていった場面。
そこでも「鉄人」が、鬼神のスライディングで、高山薫の突進を阻止した。
そのとき「鉄人」は、拳を振り上げて、「どうだっ!!・・見たかっ!!」ってな鬼の形相をした。もちろん高山薫を殴ろうとしたわけじゃなく、自分自身に対して、気合いを入れ直したんでしょ。
そう、セルフモティベーション。
とにかく今のレッズじゃ、槙野智章ほどの、ファイティングスピリット(闘う意志)のジェネレイター(発生装置≒発電器)」は他に見当たらないよね。
ホント、素晴らしい。スーパー鉄人に拍手〜っ!!
あっと、ハナシが逸れた。
そうそう、レッズの先制(決勝)ゴールが入ったんだったっけ。
レッズが、「1-0」とリードして、残り30分。
もう、こうなったら、ベルマーレが全力で攻め上がっていくのは当然の成りゆきだよね。そして実際に彼らは、全精力を傾けて同点ゴールを奪いにいったんだよ。
そして実際に、何度か、良いカタチのシュートチャンスを作り出せそうな雰囲気になっていったんだ。でも・・
そう、最後は、いつもレッズ守備が「そこ」に立ちはだかっていた。
彼らは、ベルマーレの「フィニッシュ・ポイント」を明確にイメージできている・・。そう感じた。
そう、これもまた「守備でのイメージング能力」の一端。
だからこそ、最後のシュートを、身体を投げ出してブロックしたり、相手シューターを「クレバー」に追い込んだり出来るっちゅうわけだ。
そして、そんな状況で、逆にレッズが、必殺のカウンターをブチかます。
皆さんも手に汗握ったと思うけれど、二度、三度と、レッズが、カウンターの流れから決定的な「追加ゴールチャンス」を作り出したんだよ。
興梠慎三の、スーパーな抜け出しと、これまたスーパーな、武藤雄樹が送り込んだ「決定的スルーパス」。
そのとき興梠慎三が魅せた、トラップ&コントロールは、秀逸の極みだった。
要は、ベルマーレ守備の重鎮、アンドレ・バイーアが戻ろうとする(走る)コースへ、巧みにボールをコントロールし、自身の身体を入れたんだよ。でも・・
そう、最後のシュートを、飛び出してきたベルマーレGK秋元陽太に、右手で弾かれちゃったんだ。まあ、このシーンじゃ、秋元陽太に拍手するしかない。
またその後も、興梠慎三と交替したズラタンに、完璧なフリーシュートチャンスが訪れたっけ。
そんな決定的チャンス(追加ゴール)を決めていれば、冒頭に書いたような「結果を受けた印象」も違ったモノになっていたはずだよね。
でも、これまた冒頭に書いたように、全体的には、レッズが、持てる実力に見合った内容のサッカーで、フェアな勝利を手にした・・という評価が、もっとも相応しいと思っている筆者なのです。
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さてベルマーレ。
記者会見では、例によって、チョウ・キジェ監督との対話になった。
でも、ここでは、私の言葉で、ポイントだけ箇条書きにすることにします。ご容赦ください(チョウさんの発言については、別のサイトをご参照アレ)。
ということで・・
・・たしかに、実力的には、チョウさんも認めていたように、レッズに、まだまだ一日の長がある・・
・・でも、このところのベルマーレが、どんどんとチーム総合力を「充実」させつづけていることも、確かな事実・・
・・そのことをチョウさんは、選手たちの強い意志を感じた・・とか・・それでも、積み上げてきたコトを少しは出せたと思っている・・などと表現していた・・
・・いやいや・・ベルマーレは、少しどころじゃなく、大きく(ポジティブに!)イメチェンしたダイナミックサッカーを展開したと思うよ・・
・・私は、チョウさんがチームを受け持ってから、常にベルマーレの「サッカー内容」に注目していた・・だからこそ、少しは評価ができると自負している・・
・・ベルマーレのキーワードは、何といっても、「継続こそチカラなり」なんだ〜・・
・・それも、リスクチャレンジのないところに発展もない・・という普遍的コンセプトを基盤にしたキーワードだぜ・・
・・そこが、とても、とても大事なポイントなんだ・・
・・チョウさんも言っていたように、リトリートして守備を厚くすれば、たしかに、結果が「少しポジティブな方向」へ傾いていく「可能性」はあるかもしれない・・
・・でもチョウさんは違う・・
・・そう、常に積極的なサッカーを標榜し、リスクチャレンジを恐れない・・
そうそう、この、ベルマーレのサッカーについては、新連載「The Core Column」で取りあげたことがあったんだ。
ということで、興味のある方は、「このコラム」もご参照アレ。
とにかく、素晴らしい仕事をしている(レッズの)ミハイロ・ペトロヴィッチ監督と(ベルマーレの)チョウ・キジェ監督に対して、レスペクトという意味合いも含めて、心からの拍手をおくっている筆者なのであ〜る。
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ところで、ワケの分からない、1.ステージ、2.ステージ・・という「興行」について。
メディアは、「1.ステージ優勝」なんていうテーマで盛り上がっている。
でも・・ね・・
皆さんもご存じのように、「J」に関わっているサッカー人は、絶対に、『年間最多勝ち点チーム』を目指さなきゃいけないんだよ。
以前の「2ステージ制」とは違い、今シーズンからの「それ」では、シーズンが終了したとき、『年間最多勝ち点チーム』が一番エライってことになるはずだからね。
その後のトーナメントは、まさに「興行」。
そして「J」の歴史には、『年間最多勝ち点チーム』と『興行チャンピオン』の両方が刻み込まれる。そうじゃなきゃ、10年、20年後に、「昔」と比べられる、同じ基準のチャンピオンがいなくなっちゃうからね。
だから、「J」に関わっているサッカー人は、そして読者の皆さんも、『年間最多勝ち点チーム』をイメージしてシーズンを楽しむっちゅうわけだ。
この「テーマ」については、新連載「The Core Column」で発表した「このコラム」も参照してください。そこじゃ、いかに2ステージ制が、世界の主流フットボールネーションが築き上げた「伝統」に逆行しているのかというディスカッションを展開しました。
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最後に「告知」です。
実は、ソフトバンクではじめた「連載」だけれど、事情があって、半年で休止ということになってしまったんですよ。
でも、久しぶりの「ちゃんとした連載」だったから、とてもリキを入れて書いていた。そして、そのプロセスを、とても楽しんでいた。自分の学習機会としても、とても有意義だったしね。
そして思ったんですよ、この「モティベーション機会」を失ってしまうのは、とても残念だな〜・・ってね。
だから、どこかで連載をはじようかな・・と、可能性を探りはじめた。そこでは、いくつか良さそうなハナシもあったし、メルマガでもいいかな・・なんてコトも考えた。
でも・・サ、やっぱり、書くからには、できるかぎり多くの方々に読んでもらいたいわけですよ。でも、可能性がありそうな(メルマガも含めた)連載プラットフォームとしては、やはり私のホームページにかなうモノはなかった。
ということで、どうなるか分からないけれど、とにかく、私のホームページで、新規に、連載をはじめることにしたのです。
一つは、毎回一つのテーマを深める「The Core Column」。
そして、もう一つが、私の自伝である「My Biography」。
とりあえず、ドイツ留学から読売サッカークラブ時代までを書こうかな。もし、うまく行きそうだったら、「一旦サッカーから離れてから立ち上げた新ビジネス」、そして「サッカーに戻ってきた経緯」など、どんどんつづけましょう。
ホント、どうなるか分からない。でも、まあ、一週間ごとにアップする予定です。とにかく、自分の学習機会(人生メモ)としても、価値あるモノにできれば・・とスタートした次第。
もちろん、トピックスのトップページには、新規に「新シリーズ」コーナーをレイアウトしましたので、そちらからも入っていけますよ。
まあ、とにかく、請う、ご期待・・ってか〜〜・・あははっ・・
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重ねて、東北地方太平洋沖地震によって亡くなられた方々のご冥福を祈ると同時に、被災された方々に、心からのお見舞いを申し上げます。 この件については「このコラム」も参照して下さい。
追伸:わたしは-"Football saves Japan"の宣言に賛同します(写真は、宇都宮徹壱さんの作品です)。
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ところで、湯浅健二の新刊。三年ぶりに上梓した自信作です。いままで書いた戦術本の集大成ってな位置づけですかね。
タイトルは『サッ カー戦術の仕組み』。出版は池田書店。この新刊については「こちら」をご参照ください。また、スポーツジャーナリストの二宮清純さんが、2010年5月26日付け日経新聞の夕刊 で、とても素敵な書評を載せてくれました。それは「こちら」です。また、日経の「五月の書評ランキング」でも第二位にランクされました。
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