湯浅健二の「J」ワンポイント
- 2015年Jリーグの各ラウンドレビュー
- 第28節(2015年9月20日、日曜日)
- 両チームがブチかました、限界を超越するスーパーな「意志のサッカー」に最後まで圧倒された・・(レイソルvsモンテディオ、0-0)
- レビュー
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- ・・このサッカーを観たら、ハリルホジッチが日本サッカーに対して抱いている(!?)イメージから、ちょっとウロコが取れたに違いなと思いますよ・・
両監督に質問していて、そんな「余談」まで飛び出してしまった。
そう、このゲームには、ホントに、限界を超越した「仕掛け合いのダイナミズム」が内包されていたんだよ。
ここでは、戦術的な分析や、ミスなどのグラウンド上の現象には、一切触れないようにします。
そんなテーマに入り込めば込むほど、この試合が内包していた哲学的なコノテーション(言外に含蓄される意味)を希薄にしてしまうように感じるのですよ。
彼らは、本当に、限界まで闘った。そう、攻守にわたって。
チャンスを見出したら、誰でも、最前線ゾーンへ飛び出していく。でも、ボールを奪われたら、考えられないほど素早い攻守の切り替えから、まさに全力でチェイス&チェックをブチかます。
そう、両チームともに。
どうなんだろうね。
たしかに、レイソルの方が、個のチカラじゃ(少しは)上回っているとは思う。でも、この試合で仕掛け合った両チームの「総合力」という視点じゃ、まさに互角だったんだよ。
・・ということは、レイソルの「組織サッカー」が、彼らが内包する個のチカラを最大限に発揮させるほどには、うまく機能していなかった!?
いや、そんな見方も、正しくない。
うまく表現できないけれど、とにかく、不確実な要素が満載だからこそ、最後は、「セルフモティベーション能力」をフルに動員することをベースに、自由にプレーせざるを得ないというサッカーの面目躍如・・ってなゲームだったんだよ。
そう、全員が、誰かに「やらせられている」わけではなく、自分たちが主体になって、「こうやりたい・・」、「このチャンスメイクを達成させたい・・」という意志を爆発させたんだよ。
そのことを「体感」し、得も言われない感動に包まれた。
何か、言葉で表現しようとすればするほど、このゲームが内包するコノテーションを、陳腐なモノにしてしまうような気がする。
とにかく、限界まで意志をブチかましつづけ、チャンスとピンチが、ものすごい勢いで行ったり来たりするスーパーエキサイティングマッチを心から楽しんでいた・・ということが言いたかった。
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ちょっと蛇足かもしれないけれど・・
もう一つ・・。「サッカー文化の醸成・・」というテーマにも触れさせてください。
それには、柏へ向かう前に、自宅で、これまた素晴らしいエキサイティングマッチになった「松本山雅vsガンバ大阪」をテレビ観戦したという背景があります。
松本山雅のホームスタジアム、二万人を呑み込む「アルウィン」がフルハウス(満杯)になり、その満員の観客が、声をからして反町(松本)山雅を鼓舞しつづける。
感動的なゲームでした。
まあ、後半ロスタイムに、交替出場したガンバの倉田秋が起死回生のヘディングシュートを決めて引き分けに終わってしまったけれど、そこまで松本山雅が展開した立派な闘いに、二万人の観客の誰もが感動していたに違いない。
あっと、サッカー文化。
どうして「このテーマ」なのかって!?
そりゃ、日本サッカーにおいて、サッカー文化の醸成というテーマで右に出る者がない二人のプロコーチのサッカーをつづけて観戦したからに他なりません。
そう、反町康治さん(松本山雅)と、石崎信弘さん(モンテディオ)。
この試合(レイソルvsモンテディオ)戦でも、山形から、ファン(生活者)の方々が大挙して押し寄せ、ホームのレイソルファンに優るとも劣らない感動的な応援を展開した。
私は、そんな両ゲームを観ながら、「サッカー文化は、しっかりと根付き、醸成しはじめている・・」と体感していたんですよ。
まあ、大都市の「マス・ビジネス」ばかりを(バブル当時に導入した固定費を賄うことばかりを!?)イメージしている人たちにはとっては、「Jのビジネススケール」が停滞しているように思えるんだろうけれど・・サ。
へへっ・・
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ところで、ワケの分からない、1.ステージ、2.ステージ・・という「興行」について。
メディアは、「1.ステージ優勝」なんていうテーマで盛り上がっている。
でも・・ね・・
皆さんもご存じのように、「J」に関わっているサッカー人は、絶対に、『年間最多勝ち点チーム』を目指さなきゃいけないんだよ。
以前の「2ステージ制」とは違い、今シーズンからの「それ」では、シーズンが終了したとき、『年間最多勝ち点チーム』が一番エライってことになるはずだからね。
その後のトーナメントは、まさに「興行」。
そして「J」の歴史には、『年間最多勝ち点チーム』と『興行チャンピオン』の両方が刻み込まれる。そうじゃなきゃ、10年、20年後に、「昔」と比べられる、同じ基準のチャンピオンがいなくなっちゃうからね。
だから、「J」に関わっているサッカー人は、そして読者の皆さんも、『年間最多勝ち点チーム』をイメージしてシーズンを楽しむっちゅうわけだ。
この「テーマ」については、新連載「The Core Column」で発表した「このコラム」も参照してください。そこじゃ、いかに2ステージ制が、世界の主流フットボールネーションが築き上げた「伝統」に逆行しているのかというディスカッションを展開しました。
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最後に「告知」です。
実は、ソフトバンクではじめた「連載」だけれど、事情があって、半年で休止ということになってしまったんですよ。
でも、久しぶりの「ちゃんとした連載」だったから、とてもリキを入れて書いていた。そして、そのプロセスを、とても楽しんでいた。自分の学習機会としても、とても有意義だったしね。
そして思ったんですよ、この「モティベーション機会」を失ってしまうのは、とても残念だな〜・・ってね。
だから、どこかで連載をはじようかな・・と、可能性を探りはじめた。そこでは、いくつか良さそうなハナシもあったし、メルマガでもいいかな・・なんてコトも考えた。
でも・・サ、やっぱり、書くからには、できるかぎり多くの方々に読んでもらいたいわけですよ。でも、可能性がありそうな(メルマガも含めた)連載プラットフォームとしては、やはり私のホームページにかなうモノはなかった。
ということで、どうなるか分からないけれど、とにかく、私のホームページで、新規に、連載をはじめることにしたのです。
一つは、毎回一つのテーマを深める「The Core Column」。
そして、もう一つが、私の自伝である「My Biography」。
とりあえず、ドイツ留学から読売サッカークラブ時代までを書こうかな。もし、うまく行きそうだったら、「一旦サッカーから離れてから立ち上げた新ビジネス」、そして「サッカーに戻ってきた経緯」など、どんどんつづけましょう。
ホント、どうなるか分からない。でも、まあ、一週間ごとにアップする予定です。とにかく、自分の学習機会(人生メモ)としても、価値あるモノにできれば・・とスタートした次第。
もちろん、トピックスのトップページには、新規に「新シリーズ」コーナーをレイアウトしましたので、そちらからも入っていけますよ。
まあ、とにかく、請う、ご期待・・ってか〜〜・・あははっ・・
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重ねて、東北地方太平洋沖地震によって亡くなられた方々のご冥福を祈ると同時に、被災された方々に、心からのお見舞いを申し上げます。 この件については「このコラム」も参照して下さい。
追伸:わたしは-"Football saves Japan"の宣言に賛同します(写真は、宇都宮徹壱さんの作品です)。
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ところで、湯浅健二の新刊。三年ぶりに上梓した自信作です。いままで書いた戦術本の集大成ってな位置づけですかね。
タイトルは『サッ カー戦術の仕組み』。出版は池田書店。この新刊については「こちら」をご参照ください。また、スポーツジャーナリストの二宮清純さんが、2010年5月26日付け日経新聞の夕刊 で、とても素敵な書評を載せてくれました。それは「こちら」です。また、日経の「五月の書評ランキング」でも第二位にランクされました。
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