湯浅健二の「J」ワンポイント


2015年Jリーグの各ラウンドレビュー


 

第33節(2015年11月7日、土曜日)

 

タラレバ的な落胆に苛(さいな)まれて・・フ〜〜ッ!!・・(レッズvsフロンターレ、1-1)

 

レビュー
 
もちろん、結果は、真摯に受け止めています。

フロンターレがブチかましつづけた、立派な「意志のサッカー」という視点も含めて、ね。でも・・

そう、とても、とても残念で仕方ない・・という、情緒的な揺動(失望)が大きいのですよ。

何せ、「これ」で、(将来のチャンピオンと比べられる唯一の基準としての!!)年間最多勝ち点チャンピオンのタイトルが、大きく遠のいてしまったわけだから。このテーマについては、このコラムの下記につづく付加的な文章を参照してください。

まあ、もちろん、最終節にサッカーの神様が「イタズラ」をするという可能性は残っているわけだけれど・・サ。

ということで、今回のコラムは、変に冷静な(戦術的コンテンツを前面に押し出す!?)雰囲気じゃなく、限りなく「自分の心の深層」に対して素直に書こうと思ったわけです。

とはいっても、監督会見の後もまだ「揺動」がつづいていたことで(今回はまったく質問せず仕舞いだった・・フ〜〜ッ・・)、とにかくまず「様々な視点を整理する」ために、メディアバスに乗るのではなく、浦和美園の駅まで歩くことにしたのです。

四万六千人以上の方々がアテンドしたゲームだったから、歩いている途中でも、何度か人々の行列がスタックしたっけ。それでもイライラしたりせず、素直に行列に並び、そして自分の心のなかを探りつづけていた。

あっと・・

この一週間、サッカーとはまったく関係のない「落ち込む出来事」に苦しめられていたんだっけ。

実は、昨年のブラジルW杯をはさんで、ほぼ半年のあいだ苦しめられつづけた「頸椎の椎間板ヘルニア」が、再発してしまったんですよ。

でも状態は、昨年ほどヒドくはない。たぶん今回は、かなり短期間で、再び愛車にまたがれるようになると思う(私の単車では、クビを大きく反り返らせるから痛くて乗れない!)。

というわけで、今日は電車で埼玉スタジアムまで馳せ参じたという次第。

もちろん痛いから、歩くときに「うつむい」たり(頭を垂れると楽になる!)、ウデを高く上げたりと(この姿勢も、神経系の負担を和らげるらしい!)、いろいろ工夫しながら・・ネ。

そんなノウハウも、昨年からの経験(体感)ベースなのです。

要は、どうすれば(より早く!?)改善するのか・・ということも、感覚的に把握できているというわけだけれど、だからこそ、そんな心理・精神的ファクターによって「より」安心でき、その心理パワーで回復も早くなる!?

あっと・・蛇足。

とにかく、ヘルニアに苦しめられながら歩を進めた浦和美園までの道中では、様々な「サッカー談義」が耳に入ってきたというコトが言いたかったんだっけ。

そして思った。

・・ホントに、レッズをサポートしている方々はサッカーを良く知っているし、サッカーが大好きなんだな・・だから彼らは、サッカーの楽しみ方を知っている・・ってね・・

何か、ケルン当時に体感させられた「ゲーム後」の街の雰囲気を思い出していましたよ。

もちろん、日本とドイツじゃ、生活文化が異なることも含めて、話す内容(批評の攻撃性など!?)にしても、感情移入の程度にしても、違いはあるけれど、そ れでも、オラが村のクラブを応援することを、自分たちの生活の一部として楽しむという当事者&参加意識というところは共通です。

いいね・・ホントに。

そんな、サポーターの方々が交わし、楽しんでいるサッカー談義を聞きながら、どんどんと「私のなかの心の揺動」がおさまっていったモノでした。

何か、ホントに面目ないね。フ〜〜・・。

ところで、私の心のなかの「揺動」だけれど、その最たるバックボーンは、勝てたのに・・という「タラレバの失望感」だったと思いますよ。

グラウンド上の現象としては、前半28分に興梠慎三がゲットした先制ゴールの前後に、立てつづけに作り出したカウンター気味の仕掛けからの決定的チャンスをモノにできなかったことが心に「粘り着いてしまった」よね。

そう、「アレさえ決めていタラ・・」ってな低次元マインド。

でも、冷静に考え直してみたら、関根貴大や宇賀神友弥などから送り込まれた決定的ラストクロスのシーンや武藤雄樹が抜け出したシーンでも、フロンターレ選手が、まさにギリギリのタイミングでスライディングしたりブロックしたりで、完璧に防いでいたよね。

とにかく、この試合でのフロンターレ守備は、基本に忠実な粘り強さも含めた「強烈な意志」という視点で、賞賛に値しました。

また後半では、何度か、決定的なカウンターをブチかまし、決勝ゴールまで奪いかけたしネ(神様になった西川周作に拍手!)。

でも前半のフロンターレは、何度も「不用意」にボールを失い、レッズに、決定的カウンターを喰らっていたことも事実。

もちろん「それ」は、レッズの(中盤での)ボール奪取勝負プロセスが、忠実で効果的だったからに他ならないわけだけれど、でもフロンターレは、後半になって、そんな「悪癖」を、とてもクレバーに払拭したという特筆ポイントもあったと思う。

その視点について、フロンターレ風間八宏監督が、こんなコトを言っていた。曰く・・

・・(パスを)直線的ではなく、少し斜めにズラしてコントロールすれば問題ない・・ハーフタイムには、選手たちにそんなアドヴァイスしたんですよ・・それが、後半から上手くツボにはまり始めたということなのかもしれない・・

フムフム・・。

サスガに風間八宏。実は、その「ズラしコントロール」というポイントには興味があったから質問したかったんだけれど・・。でも・・。フンッ・・。

ということで、全体的には、まさに順当な引き分けだったとするのがフェアな評価なんだろうね。

最後に、途中から交代出場したレッズ青木拓矢のグッドパフォーマンスにも言及しておきたい。

とても良かった。

そんな彼の「意志のプレー」は、前回コラムで「ブレイクスルーを示唆」したときと変わらず、より高揚している。そのことを体感し、少しハッピーだった筆者でした。

それにしても・・

い、いかん、いかん・・。

とにかく二週間後の最終節を楽しみにしましょう。

それと、その後のチャンピオンシップ。

この下に書いたように、私にとっては、まさに「興行」ということだけれど、でも今回は、実力の3チーム(4チーム!?)が参加することになりそうだから、それは、それで、楽しみましょうかね。

へへっ・・

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ところで、ワケの分からない、1.ステージ、2.ステージ・・という「興行」について。

メディアは、「1.ステージ優勝」なんていうテーマで盛り上がっている。

でも・・ね・・

皆さんもご存じのように、「J」に関わっているサッカー人は、絶対に、『年間最多勝ち点チーム』を目指さなきゃいけないんだよ。

以前の「2ステージ制」とは違い、今シーズンからの「それ」では、シーズンが終了したとき、『年間最多勝ち点チーム』が一番エライってことになるはずだからね。

その後のトーナメントは、まさに「興行」。

そして「J」の歴史には、『年間最多勝ち点チーム』と『興行チャンピオン』の両方が刻み込まれる。そうじゃなきゃ、10年、20年後に、「昔」と比べられる、同じ基準のチャンピオンがいなくなっちゃうからね。

だから、「J」に関わっているサッカー人は、そして読者の皆さんも、『年間最多勝ち点チーム』をイメージしてシーズンを楽しむっちゅうわけだ。

この「テーマ」については、新連載「The Core Column」で発表した「このコラム」も参照してください。そこじゃ、いかに2ステージ制が、世界の主流フットボールネーションが築き上げた「伝統」に逆行しているのかというディスカッションを展開しました。

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 最後に「告知」です。

 実は、ソフトバンクではじめた「連載」だけれど、事情があって、半年で休止ということになってしまったんですよ。

 でも、久しぶりの「ちゃんとした連載」だったから、とてもリキを入れて書いていた。そして、そのプロセスを、とても楽しんでいた。自分の学習機会としても、とても有意義だったしね。

 そして思ったんですよ、この「モティベーション機会」を失ってしまうのは、とても残念だな〜・・ってね。

 だから、どこかで連載をはじようかな・・と、可能性を探りはじめた。そこでは、いくつか良さそうなハナシもあったし、メルマガでもいいかな・・なんてコトも考えた。

 でも・・サ、やっぱり、書くからには、できるかぎり多くの方々に読んでもらいたいわけですよ。でも、可能性がありそうな(メルマガも含めた)連載プラットフォームとしては、やはり私のホームページにかなうモノはなかった。

 ということで、どうなるか分からないけれど、とにかく、私のホームページで、新規に、連載をはじめることにしたのです。

 一つは、毎回一つのテーマを深める「The Core Column」

 そして、もう一つが、私の自伝である「My Biography」

 とりあえず、ドイツ留学から読売サッカークラブ時代までを書こうかな。もし、うまく行きそうだったら、「一旦サッカーから離れてから立ち上げた新ビジネス」、そして「サッカーに戻ってきた経緯」など、どんどんつづけましょう。

 ホント、どうなるか分からない。でも、まあ、一週間ごとにアップする予定です。とにかく、自分の学習機会(人生メモ)としても、価値あるモノにできれば・・とスタートした次第。

 もちろん、トピックスのトップページには、新規に「新シリーズ」コーナーをレイアウトしましたので、そちらからも入っていけますよ。

 まあ、とにかく、請う、ご期待・・ってか〜〜・・あははっ・・


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 重ねて、東北地方太平洋沖地震によって亡くなられた方々のご冥福を祈ると同時に、被災された方々に、心からのお見舞いを申し上げます。 この件については「このコラム」も参照して下さい。
 追伸:わたしは-"Football saves Japan"の宣言に賛同します(写真は、宇都宮徹壱さんの作品です)。

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 ところで、湯浅健二の新刊。三年ぶりに上梓した自信作です。いままで書いた戦術本の集大成ってな位置づけですかね。

 タイトルは『サッ カー戦術の仕組み』。出版は池田書店。この新刊については「こちら」をご参照ください。また、スポーツジャーナリストの二宮清純さんが、2010年5月26日付け日経新聞の夕刊 で、とても素敵な書評を載せてくれました。それは「こちら」です。また、日経の「五月の書評ランキング」でも第二位にランクされました。





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