湯浅健二の「J」ワンポイント
- 2015年Jリーグの各ラウンドレビュー
- 第5節(2015年4月12日、日曜日)
- レッズのゲーム内容は良くなっている・・そして素晴らしいアクセントになった武藤雄樹についてもちょっとだけ・・(フロンターレvsレッズ、1-1)
- レビュー
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- ・・このまま負けたとしても、しっかりとした内容のあるサッカーを展開できているし、まあ、これもサッカーだから仕方ないって諦め、次を向くことができる・・
後半のゲーム展開を観ながら、そんなことを思っていた。
私にとっては、まず何といっても「内容」こそが大事なのです。それに結果が付いてくれば、願ったり叶ったりっちゅうわけだ。
そう、すべてのサッカー人にとっての究極の目標は、何といっても「美しく勝つこと」なのです。
それにしてもレッズは、徐々に良くなっている。
前節コラムでは、今シーズン最高のサッカーだったって書いたけれど、このフロンターレ戦は、それに勝るとも劣らない内容だった(まあ後半が、そのニュアンスの中心ではあるけれど・・)。
そんな最高にエキサイティングな勝負マッチを観ながら、ここ数年間、レッズが等々力で勝てていなかったという事実を反芻していた。
そして思った。
・・レッズとフロンターレは、いつも、最高の「仕掛け合いガチンコ勝負」を魅せてくれるよな・・だからレッズも、持てるチカラを存分に発揮して、意味のある発展ベクトルに乗った「積極サッカー」を展開できる・・
・・そして、だからこそ、両チームともに、より進化できる・・ホントに実効あるライバルの存在は大事だ・・フムフム・・
そして、もう一つ。
そんなダイナミックに均衡した「ガチンコの仕掛け合い」になったからこそ、「個」のクオリティーの差が、とても明確に見えてきた・・という視点。
要は、中村憲剛(牛若丸)、大島僚太、大久保嘉人にレナトという「天才」連中が、組み立ての流れのなかでは組織プレー(ハードワーク)に徹し、そして、「ココゾッ!!」のシーンとなったら、抜群のクオリティー勝負をブチかましてくるんだよ。
彼らは、素早く、正確に、そしてクレバーにボールを動かし、最後は、フリーで走り込んだ味方に、ダイレクトでスルーパスを通しちゃったり、ドリブル勝負をブチかましたりする。
そのボールの動きが、あまりにもレベルを超えているから、その動きを「イメージ的」に追いかけられないレッズ選手の足が止まり、様子見になってしまうっちゅうわけだ(先制ゴールシーンでの森谷賢太郎をフリーにしてしまった!)。
まあ、そんな最終勝負だけじゃなく、組み立て段階でも、「個のクオリティー」を体感させられるシーンは多い。
レッズは、フロンターレの中盤でのプレッシングに、彼らほど上手く、そのプレッシャーを「かわせない」んだよ。
それに対して前述の天才連中は、レッズ中盤守備の強烈なプレッシングを、個のボールキープや素早いパス交換で、いとも簡単に「かわし」素早くスマートに、スペースへボールを運んじゃう。
もちろんレッズも、相手プレッシャーをかわすのは上手いよ。でも、このフロンターレの魔法使いどもは、レベルを超えている。
たしかに、同じような組織サッカーを展開しているチーム同士の(チーム総合力で互角チーム同士の!)対戦では、やはり最後は、個のチカラによって勝負が決まってしまうのが常だからさ。
まあ、それは、フットボールネーションでの常識ということです。
だからこそ、世界トップクラブは、攻守ハードワークも全く「いとわない」天才プレイヤーを世界中から集めて「世界選抜スーパーチーム」を作っちゃうっちゅうわけだ。
そりゃ、そうだ。自分のライバルが同様の「天才」であり、攻守ハードワークこそが、互いに「有為差」をつける唯一の手段なんだから。走らない(闘わない)ワケにゃいかない。
その視点で、ミハイロが、「個の才能」という有為な差を内包するフロンターレに対して、ちょっと「注意深く立ち上がった」のも頷(うなづ)ける。
別に守備を固めたわけじゃない。ちょっとだけ、守備からサッカーを展開していく・・という意識を高めたというニュアンスなのかな。
でもレッズは、「そこ」から、何度もカウンター気味の効果的な仕掛けをブチかました。特に、両サイドバック(宇賀神友弥&関根貴大)のオーバーラップが実効を発揮した。でも・・
そう、森谷賢太郎の先制ゴール。
そこでは、関根貴大が、まだまだディフェンスに課題を抱えていることが浮き彫りになったっけ。
そして後半。
私は、交替出場した武藤雄樹に大注目していた。そして・・
そう、それまで、どうしても「ブツ切りの仕掛け」というシーンが多かったのに対し、攻守ハードワークからゲームに入っていく武藤雄樹によって、明らかに、レッズのサッカーが活性化したんだ。
攻守ハードワークは言わずもがなだけれど、ボールを持ってもよし、パスコンビネーションを主導してもよし、ボールがないところでのパスレシーブの動きよし。
いや、ホントに武藤雄樹は、素晴らしいアクセントになったと思う。
ちょっと体調がすぐれないので、今日はこんなトコロで・・
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最後に「告知」です。
実は、ソフトバンクではじめた「連載」だけれど、事情があって、半年で休止ということになってしまったんですよ。
でも、久しぶりの「ちゃんとした連載」だったから、とてもリキを入れて書いていた。そして、そのプロセスを、とても楽しんでいた。自分の学習機会としても、とても有意義だったしね。
そして思ったんですよ、この「モティベーション機会」を失ってしまうのは、とても残念だな〜・・ってね。
だから、どこかで連載をはじようかな・・と、可能性を探りはじめた。そこでは、いくつか良さそうなハナシもあったし、メルマガでもいいかな・・なんてコトも考えた。
でも・・サ、やっぱり、書くからには、できるかぎり多くの方々に読んでもらいたいわけですよ。でも、可能性がありそうな(メルマガも含めた)連載プラットフォームとしては、やはり私のホームページにかなうモノはなかった。
ということで、どうなるか分からないけれど、とにかく、私のホームページで、新規に、連載をはじめることにしたのです。
一つは、毎回一つのテーマを深める「The Core Column」。
そして、もう一つが、私の自伝である「My Biography」。
とりあえず、ドイツ留学から読売サッカークラブ時代までを書こうかな。もし、うまく行きそうだったら、「一旦サッカーから離れてから立ち上げた新ビジネス」、そして「サッカーに戻ってきた経緯」など、どんどんつづけましょう。
ホント、どうなるか分からない。でも、まあ、一週間ごとにアップする予定です。とにかく、自分の学習機会(人生メモ)としても、価値あるモノにできれば・・とスタートした次第。
もちろん、トピックスのトップページには、新規に「新シリーズ」コーナーをレイアウトしましたので、そちらからも入っていけますよ。
まあ、とにかく、請う、ご期待・・ってか〜〜・・あははっ・・
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重ねて、東北地方太平洋沖地震によって亡くなられた方々のご冥福を祈ると同時に、被災された方々に、心からのお見舞いを申し上げます。 この件については「このコラム」も参照して下さい。
追伸:わたしは-"Football saves Japan"の宣言に賛同します(写真は、宇都宮徹壱さんの作品です)。
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ところで、湯浅健二の新刊。三年ぶりに上梓した自信作です。いままで書いた戦術本の集大成ってな位置づけですかね。
タイトルは『サッ カー戦術の仕組み』。出版は池田書店。この新刊については「こちら」をご参照ください。また、スポーツジャーナリストの二宮清純さんが、2010年5月26日付け日経新聞の夕刊 で、とても素敵な書評を載せてくれました。それは「こちら」です。また、日経の「五月の書評ランキング」でも第二位にランクされました。
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