湯浅健二の「J」ワンポイント


2015年Jリーグの各ラウンドレビュー


 

第7節(2015年4月25日、土曜日)

 

レッズの完勝・・ということで、意志のプレーにスポットを当てた・・またラジオ文化放送での実況解説についても軽く告知・・(レッズvsグランパス、2-1)

 

レビュー
 
グランパス西野朗さんもシャッポを脱いでいた。

それほど今日のレッズは、素晴らしいサッカーを展開したんだ。

もちろん、組織プレーイメージがスムーズに連鎖しつづける(そのなかでタイミング良い危険なドリブル勝負もミックスする!)攻撃も良かったけれど、その絶対的ベースである守備にスポットライトを当てないわけにゃいかない。

とにかく、美しく連動しつづけるディフェンスが、殊の外インプレッシブ(印象的)だったんだよ。

ということで、まず、昨シーズンの第31節、マリノスvsレッズ戦(=レッズのアウェーマッチ!)で発表した、この「Jリーグコラム」を読んでいただきたいのですが・・

そこでは、勝者メンタリティーの一環として、強烈な「闘う意志」を前面に押し出すことで一点を守り切ったスーパーディフェンスを賞賛した。

そしてこの試合でも、その、昨シーズンの大詰めマッチでレッズ選手たちが魅せたのと同等レベルの、素晴らしいボール奪取勝負が展開されたんだ。

そう、危ないスポットを見極め、フルスプリントで集合した複数の選手たちが、強烈なスライディングタックルをブチかます・・とかね。

でも、そんな「協力プレス」をブチかましたら、その周りにスペースができちゃうでしょ。

たしかに「それ」は、ある意味でリスク。

でも彼らは、そんなコトに後ろ髪を引かれることなく、とにかく「そのスポットでボールを奪い返すんだ!」ってな強烈な意志をブチかましつづけたんだよ。

だから私は、この試合でレッズ選手たちが魅せた、素早く効果的な「攻守の切り替え」や、その後のチェイス&チェック&協力プレス&インターセプト&(相手 トラップの瞬間を狙う!)アタック&(ボールがないところでの!)忠実マーキング等などといったグラウンドの現象に代表される「強烈な意志」に舌鼓を打っ ていた。

でもサ・・

ミハイロ・ペトロヴィッチが指摘したとおり、後半ロスタイムの失点だけは、いただけない。彼は、それが、昨シーズン終盤での「あり得ない失点」のイメージと重なると言っていた。

そう、ガンバ戦や鳥栖戦での悔しい失点。

ということで、今、このゲーム後半ロスタイムでの失点シーンを、ビデオ機能を駆使したスローモーションで見返している。

そして、思った・・

・・この失点じゃ、誰ひとりとして「無様なボールウォッチャー」にはなっていなかった・・

そうではなく、誰しもが、次のボールの動きを「しっかりと見極め」、ギリギリのアクションを起こしていた。でもボールは、不運な動き方をした。だから失点になってしまった。

まあ、仕方ない。

この失点シーンでは、このところ(私の)批判対象になっていた(交替出場した)青木拓矢も、ボールウォッチャーになど落ち込むことなく、しっかりと、ギリギリの守備アクションを続けていた。

青木拓矢。

前回のACLコラムでも書いたように、彼もまた、意志のパワーを増幅させようとしていると感じている。

もちろん「それ」がなければ、彼は、完全に「アウト」ってなことになっちゃうからね。

ということで、ここにきて、やっと彼も「気持ちが乗る」ようになってきたと思う。

でも、まだまだ。

この試合では、何といっても、柏木陽介や武藤雄樹に代表される「強烈な意志のディフェンス」が目立ちに目立っていたからネ。

そんな彼らと比べたら、青木拓矢の守備でのフルスプリントは、まだまだ改善の余地あり。

フルスプリント。

それは、攻撃や守備の「具体的な目的」を達成しようとするときに爆発する。

そう、そこでは、具体的な勝負イメージが脳裏に描けていることが大前提なんだ。

だからこそ、すぐれた戦術眼(勝負シーンをイメージする能力)と、ギリギリのアクションを繰り出していけるだけの強烈な意志(=フルスプリント)が不可欠っていうわけさ。

これまでの青木拓矢は、まあ永田充もそうだけれど、後追いの(受け身の!)ディフェンス姿勢が目立ち過ぎていた。

だから、フルスプリントなどは希で、ジョギング的な「トンコ・トンコ・・」ってなリズムの走りで、最低限の「Must_Action」をこなす安全プレー姿勢ばかりが目立っていたんだよ。

まあ、様子見のプレー姿勢とも言える。

もう一つ。

不確実な要素が満載されたサッカーじゃ、「行かなければミスは目立たない・・」という、隠された現実がある。

要は、ミスをしないプレーをやろうと思ったら、簡単にできるんだよ。そして、安全プレー(≒攻守の目的にとってあまり価値のないプレー!?)に終始することで、そこそこの評価を得る。

でも、そこは不確実なサッカーだからね、行かなければ(≒目的を達成しようとする強烈な意志をベースに、リスクへチャレンジしていかなければ!!)、それはアリバイプレーに等しいんだ。

このディスカッションは、とても微妙だから、ここでは、これ以上は入り込まない。

まあ、阿部勇樹、柏木陽介、武藤雄樹、また、とても良くなっている梅崎司といった連中がブチかましつづける、攻守にわたる「意志のフルスプリント」と比べれば、おのずと、改善すべきポイントが見つかるに違いないっちゅうことサ。

だからこそ、ビデオを駆使する「イメージトレーニング」ほど効果的な学習ツールはないんだよ。

==============

最後に、軽く、告知。

実は、来週水曜日(4月29日)に日産スタジアムで行われる「マリノスvsサンフレッチェ」のリーグ戦を、ラジオ文化放送で解説するんですよ。

まあ、しゃべり過ぎないように気をつけるけれど、言いたいことは山ほどあるからサ・・あははっ。

パートナーは、文化放送の松島アナウンサー。気心は知れているから、私のしゃべり過ぎを、うまくコントロールしてくれるでしょ。

よろしくお願いしま〜す、松島さん。

ということで、気が向いたら、ラジオ文化放送にチャンネルを合わせてくださいネ。

==============

 最後に「告知」です。

 実は、ソフトバンクではじめた「連載」だけれど、事情があって、半年で休止ということになってしまったんですよ。

 でも、久しぶりの「ちゃんとした連載」だったから、とてもリキを入れて書いていた。そして、そのプロセスを、とても楽しんでいた。自分の学習機会としても、とても有意義だったしね。

 そして思ったんですよ、この「モティベーション機会」を失ってしまうのは、とても残念だな〜・・ってね。

 だから、どこかで連載をはじようかな・・と、可能性を探りはじめた。そこでは、いくつか良さそうなハナシもあったし、メルマガでもいいかな・・なんてコトも考えた。

 でも・・サ、やっぱり、書くからには、できるかぎり多くの方々に読んでもらいたいわけですよ。でも、可能性がありそうな(メルマガも含めた)連載プラットフォームとしては、やはり私のホームページにかなうモノはなかった。

 ということで、どうなるか分からないけれど、とにかく、私のホームページで、新規に、連載をはじめることにしたのです。

 一つは、毎回一つのテーマを深める「The Core Column」

 そして、もう一つが、私の自伝である「My Biography」

 とりあえず、ドイツ留学から読売サッカークラブ時代までを書こうかな。もし、うまく行きそうだったら、「一旦サッカーから離れてから立ち上げた新ビジネス」、そして「サッカーに戻ってきた経緯」など、どんどんつづけましょう。

 ホント、どうなるか分からない。でも、まあ、一週間ごとにアップする予定です。とにかく、自分の学習機会(人生メモ)としても、価値あるモノにできれば・・とスタートした次第。

 もちろん、トピックスのトップページには、新規に「新シリーズ」コーナーをレイアウトしましたので、そちらからも入っていけますよ。

 まあ、とにかく、請う、ご期待・・ってか〜〜・・あははっ・・


===============

 重ねて、東北地方太平洋沖地震によって亡くなられた方々のご冥福を祈ると同時に、被災された方々に、心からのお見舞いを申し上げます。 この件については「このコラム」も参照して下さい。
 追伸:わたしは-"Football saves Japan"の宣言に賛同します(写真は、宇都宮徹壱さんの作品です)。

==============

 ところで、湯浅健二の新刊。三年ぶりに上梓した自信作です。いままで書いた戦術本の集大成ってな位置づけですかね。

 タイトルは『サッ カー戦術の仕組み』。出版は池田書店。この新刊については「こちら」をご参照ください。また、スポーツジャーナリストの二宮清純さんが、2010年5月26日付け日経新聞の夕刊 で、とても素敵な書評を載せてくれました。それは「こちら」です。また、日経の「五月の書評ランキング」でも第二位にランクされました。





[トップページ ] [湯浅健二です。 ] [トピックス(New)]
[Jデータベース ] [ Jワンポイント ] [海外情報 ]