湯浅健二の「J」ワンポイント


2016年Jリーグの各ラウンドレビュー


 

第15節(2016年6月11日、土曜日)

 

両チームが展開した素晴らしい内容の勝負マッチ・・だから、結果に対する落胆が大きいのかな・・(レッズvsアントラーズ、0-2)

 

レビュー
 
・・今日は、ホントに主要ポイントだけを簡単にピックアップ・・ホントだよ・・ということで・・

・・まず、何といっても、ゲームの内容が、素晴らしくハイレベルだったという事実は押さえておかなきゃいけない・・

・・ミハイロも言っていたけれど、局面でのボールをめぐるせめぎ合いの内実に象徴される、両チームの「闘う意志」のレベルが素晴らしかったんだよ・・

・・もちろん、両チームが展開するサッカーの(攻守の戦術ファクターの!)レベルが、とても高いことも含めてネ・・

・・そんな極限のエキサイティングマッチだったからこそ、さまざまな戦術テーマが、脳裏に焼き付けられた・・

・・まず何といってもアントラーズの守備・・

・・全力スプリント満載のチェイス&チェックをベースにした、素晴らしい連動ディフェンス・・

・・もちろんレッズも良かったけれど、レッズの方がイニシアチブを握る時間帯が多かったから、アントラーズの忠実なディフェンスの方が目立っていたということか・・

・・アントラーズ石井正忠監督に、チェイス&チェックも含めた、素晴らしく粘り強いディフェンスで目立ちに目立っていた「主体的なハードワーク姿勢」について質問した・・

・・それに対して石井さんは、選手たちの(主体的な!?)闘う意識と意志の高さに言及し、それに対して心からレスペクトしていると述べていた・・

・・そう・・もう何度も書いているように、強制では、決してハードワークのパフォーマンスを「150%」にまで引き上げられないんだよ・・

・・とにかく、アントラーズ選手たちがブチかます「前からプレス」は、闘う意志という視点でも、本当にインプレッシブだった・・

・・それがあるからこそ、次、その次の「連動アクション」も、とても効果的に機能する・・

・・そして、前戦(金崎夢生、カイオ、土居聖真、そして遠藤康)の才能を活用する必殺カウンターも、最大限に炸裂させられる・・

・・何本あっただろうか、アントラーズの必殺カウンターが成就しかけたシーンが(もちろん先制ゴールも含めてネ)・・

・・たしかに、レッズが繰り出す「ロングパス」のミスもあったけれど、それをカットして(狙いすましたインターセプトから!!)ブチかます、ものすごく危険なカウンターが、レッズファンを震えさせるっちゅうわけだ・・

・・ところで、レッズ選手たちの(結果としての!?)パスミスだけれど・・

・・その、間接的な要因は、もちろん、アントラーズが忠実にブチかましつづけた「前からプレス守備」だよね・・

・・レッズは、タテパスを、とても効果的に活用することで相手ディフェンスブロックを振り回そうとするけれど、その「やり方」を、しっかりとイメージしているアントラーズ守備っちゅうわけだ・・

・・このゲームでは、そんなレッズの仕掛けプロセスがうまく機能し、それをベースに決定的チャンスを創りだしたシーンは、そんなに多くはなかった・・と思う・・

・・これは、とても微妙なディスカッションだけれど・・

・・そう、アントラーズは、守備ブロックをガチガチに固めるようなチームのボールダッシュプロセスとは、微妙にニュアンスが違うんだよ・・

・・そう、アントラーズは、「より」積極的に前からボールを奪い返しにいくというわけだ・・

・・もちろんレッズは、そんなアントラーズの「前からプレス」を振り回し、その協力プレスグループのウラのスペースを突いてしまうようなシーンを何度も創りだしたよ・・

・・でも・・

・・そう、置き去りにされたアントラーズ選手たちが、間髪を入れずに全力スプリントで追いかけるんだよ・・

・・だから、コンビネーションで相手を置き去りした「本来の効果」が発揮されるケースが、比較的少なかったっちゅうわけさ・・

・・断っておくけれど、この試合のレッズ「も」、いつものように、とても高質な「攻守の組織サッカー」を披露したんだよ・・

・・その意味じゃ、胸を張っていい・・

・・もちろん何度もチャンスを作り出したし、両チーム監督が言うように、勝利の女神が、どちらに微笑んでもおかしくなかった・・

・・ということで、最後のテーマ・・

・・それは、両チームが仕掛ける「最終勝負のタイプ」という、とても微妙なテーマ・・

・・アントラーズは、前述したように、攻めの才能(金崎夢生、カイオ、土居聖真、そして遠藤康)に恵まれている・・

・・それだけじゃなく、チームの重心コンビは、「あの」小笠原満男と柴崎岳だし、センターバックコンビもまた「あの」植田直通と昌子源だからね・・

・・そんな強者たちが、前述したように、守備でも「強烈な意志が炸裂する全力スプリント」をブチかましつづけるんだよ・・

・・あっと・・テーマは守備じゃなく、攻撃だった・・

・・要は、アントラーズでは、ドリブル勝負も含めて、「より」個の勝負プレーが強調されていると思うわけだ・・

・・それに対してレッズは、あくまでも、ダイレクト(パス)コンビネーションが基調・・

・・そして、良いカタチにはまれば、両サイドバックや槙野智章といったドリブル突破の強者たちが、勇気をふり絞って勝負をブチかますっちゅうわけだ・・

・・それに対してレッズでは、最終勝負へのプロセスは、よりダイレクト(パス)コンビネーションが強調されているんだよ・・

・・そう、風間八宏フロンターレのようにね・・

・・とにかく、個の才能と、攻守ハードワークマインドを併せもつ強者たちが、ダイレクト(パス)コンビネーションを基調に、状況を見計らって個の勝負リスクチャレンジプレー「も」ブチかましていく・・それこそが理想型というわけさ・・

・・チト結果に落胆しているのかもしれない・・発想が、相乗的に展開していかない・・

・・まあ、いいさ・・次だ、次だ・・

・・ということで、今日は、こんなところで失礼しま〜す・・

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ところで、ワケの分からない、1.ステージ、2.ステージ、そしてチャンピオンシップ・・という「興行」について。

昨シーズンの「J」は、本当にツキに恵まれた。

何せ、年間最多勝ち点チームというリーグ頂点に立ったサンフレッチェが、「興行チャンピオン」にも輝いたわけだからね。でも、昨シーズンの二位クラブは、ガンバ大阪なんだってサ。要は、「興行チャンピオンシップ準優勝チーム」ということらしい。

まあ、皆さんも感じられている通り、とても、変。まあ、協会側は、この不自然なリーグシステムを「まだ」つづけるつもりらしいけれど・・サ。フンッ。

皆さんもアグリーだと思うけれど、「J」に関わっているサッカー人は、絶対に、『年間最多勝ち点チーム』を目指さなきゃいけないんだよ。

まあ、以前の「2ステージ制」とは違い、昨シーズンから始まった「今回の興行」では、シーズンが終了したとき、『年間最多勝ち点チーム』が一番エライってことになることだけが、救いかな。

ということで、その後のトーナメント(チャンピオンシップ)は、まさに「興行」。

そして「J」の歴史には、『年間最多勝ち点チーム』と『興行チャンピオン』の両方が刻み込まれる(刻み込まれなきゃいけない!)。そうじゃなきゃ、10年、20年後に、「昔」と比べられる、同じ基準のチャンピオンがいなくなっちゃうわけだからね。

だから、サッカー人だけじゃなく、読者の皆さんも、『年間最多勝ち点チーム』をイメージしてシーズンを楽しむべきだと思うわけなのですよ。

この「テーマ」については、新連載「The Core Column」で発表した「このコラム」も参照してください。

そこでは、いかに(目的が歪んだ興行の!)2ステージ制が、世界の主流フットボールネーションが築き上げた「伝統」に逆行しているのかというディスカッションを展開しました。

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最後に「告知」です。

どうなるか分からないけれど、新規に、連載をはじめています。

一つは、毎回一つのテーマを深める「The Core Column」

そして、もう一つが、私の自伝である「My Biography」

自伝では、とりあえず、ドイツ留学から読売サッカークラブ時代までを書きましょうかね。そして、もしうまく行きそうだったら、「一旦サッカーから離れて立ち上げた新ビジネス」や「サッカーに戻ってきた経緯」など、どんどんつづけましょう。

ホント、どうなるか分からない。でも、まあ、できる限りアップする予定です。とにかく、自分の学習機会(人生メモ)としても、価値あるモノにできれば・・とスタートした次第。

もちろん、トピックスのトップページには、新規に「新シリーズ」コーナーをレイアウトしましたので、そちらからも入っていけますよ。

まあ、とにかく、請う、ご期待・・ってか〜〜・・あははっ・・


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 重ねて、東北地方太平洋沖地震によって亡くなられた方々のご冥福を祈ると同時に、被災された方々に、心からのお見舞いを申し上げます。 この件については「このコラム」も参照して下さい。
 追伸:わたしは-"Football saves Japan"の宣言に賛同します(写真は、宇都宮徹壱さんの作品です)。

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 ところで、湯浅健二の新刊。三年ぶりに上梓した自信作です。いままで書いた戦術本の集大成ってな位置づけですかね。

 タイトルは『サッ カー戦術の仕組み』。出版は池田書店。この新刊については「こちら」をご参照ください。また、スポーツジャーナリストの二宮清純さんが、2010年5月26日付け日経新聞の夕刊 で、とても素敵な書評を載せてくれました。それは「こちら」です。また、日経の「五月の書評ランキング」でも第二位にランクされました。





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