湯浅健二の「J」ワンポイント
- 2016年Jリーグの各ラウンドレビュー
- 第23節(2016年8月1日、月曜日)
- チョウ・キジェ監督は、ホントに優れたプロコーチだ・・そして、どんな相手に対してもホンモノの横綱相撲が取れるまでに勝者メンタリティーが充実してきているレッズ・・(ベルマーレvsフロンターレ、2-3)(ヴァンフォーレvsレッズ、0-2)
- レビュー
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- まずスタジアム観戦した、ベルマーレ対フロンターレ戦から。
試合後の監督会見を「体感」しながら、またまた、チョウ・キジェ監督へのシンパシー(まあレスペクト度とも言えるかな!?)が、ものすごく高まった。
悔しさオーラを、身体全体から強烈に放散するチョウさん。いいね〜・・
「選手は、あんなに頑張っているのに、勝たせてあげられない・・自分の不甲斐なさを、どう噛みしめて(自分の中で昇華させて!?)いいのか分からない・・選手たちに申し訳ない・・」
そんなチョウさんだからこそ、選手たちは、汗の最後の一滴まで絞り出すように闘うんだよ。
そう、ベルマーレの闘う意志は、「J」のなかでは最高レベルなんだ。
このテーマについては、新連載「The Core Column」でベルマーレについて書いた「このコラム」を参照してください。
そこでのテーマは、「湘南スタイル」だったですね。そう、(チョウさん曰くの!?)勇気。
ただ、この試合でも、基本的には「そんな」ベルマーレではあったけれど・・
そう、特に前半は、フロンターレとのチカラの差(攻守にわたる戦術イメージングコノテーションの差異!?)を体感させられた。
要は、「スペースを攻略し、活用する・・」という、攻撃での唯一のテーマについて、フロンターレに一日の長があったんだ。
そう、組織プレーでも、個人勝負プレーでも。
ということは、もちろん守備でも、フロンターレの「仕掛けコンテンツ」に、ベルマーレ選手たちのイメージング能力が追い付かずに振り回されてしまうシーンがあった。
そう、フロンターレがブチかます、レベルを超えた、人とボールの動きの量と質(そのリズム)。
ベルマーレ守備選手たちが描くディフェンスイメージが、フロンターレの「動き」に、しっかりと付いてゆけていないと感じたんだよ。
そして、何度か、決定的スペースへフリーで走り込まれたり、「そこ」へ決定的パスを通されたり。
フロンターレは、コンビネーションやドリブルを駆使して、何度も、スペースを攻略してしまう(スペースである程度フリーな選手を創りだす!)。
そして、そこから、ダイレクトパスを組み合わせた組織コンビネーションでも、個のドリブル勝負でも(大久保嘉人、小林悠、そしてこの試合では車屋紳太郎!)、とても高いレベルで存在感を発揮したというわけだ。
もちろんベルマーレも、例によって、勇気に満ちあふれたチャレンジは魅せる。
でも、やはり、神からの授かり物(才能と呼ばれる諸刃の剣!?)が足りないシーンもあった。
でも・・
そう、後半から登場した、大竹洋平と長谷川アーリアジャスールがブチかましつづけた、「失うモノは何もない・・」ってな感じのフッ切れた勝負ドリブルや、リスキーなタテへのスルーパス等などによって、ベルマーレのサッカーが、どんどんと活性化していったんだよ。
彼らは、自分たちの秘めたるポテンシャルを(チョウ・キジェによって進化し、深化した!!)、いかんなく発揮し、同点スレスレまでフロンターレを追い込んだんだ。
だからゲームは、観ている誰もが手に汗握らされるエキサイティングマッチへと成長していった。
ベルマーレは、いつも・・、ホントに例外なく(!)、このような「熱いハートが充満」したギリギリのチャレンジングサッカーを魅せてくれる。
そのことについては、試合前にスタジアム周辺でお話しを伺ったファンの方々も、異口同音に、心から語ってくれたモノです。
・・いまのベルマーレの闘いには、強いハートを感じる・・勝敗とは関係なく、ゲームの内容的にとても共感できるし、次も応援したくなる・・等など・・
いつものことだけれど、とにかくベルマーレのファンの方々からは、本場フットボールネーションに共通する、参加意識バリバリの「積極的でフェアなマインド」を感じている筆者なのです。
もちろん「異論」もあるだろうけれど、チョウ・キジェが率いる「あのチーム」は、確実に、ファンの(サイレント!?)マジョリティーからは強く支持されていると確信しますよ。
最後になりましたが・・
とても強いフロンターレ・・についても一言。
この試合でのフロンターレは、様々な意味合いで、勝ち点3だけじゃなく、後半に押し込まれた時間帯でのグラウンド上の現象など、明確な「課題」も持って帰れたと思います。
その視点でも、風間八宏の手腕を高く評価する筆者なのであ〜る。
へへっ・・
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さてレッズ・・チト、アップが遅れちゃいましたが・・
金曜日の夜にドイツから帰国したモノで、まだ時差ボケが・・。
2週間ほど、ドイツ(プロ)サッカーコーチ連盟主催のサッカーコーチ国際会議のためドイツに滞在していたんですよ。
そのドイツ滞在記も、「最新トピックス」で、いくつかアップしていますから、ご参照アレ。
例えば、クリストフ・ダウムの講演と実技デモンストレーションについて書いた「このコラム」など。
あっと、レッズ。
彼らについては、アウェーでのアントラーズ戦とヴァンフォーレ戦をビデオ観戦しました。
まあ、いくつかピックアップしたい特筆ポイントもあったけれど、ビデオ観戦だったから、それらを一つのテーマに収斂しましょうかね。
それは、もちろん、進化し、深化しつづける勝者メンタリティー。
まあレッズの場合は、選手たちのなかで、「何か」が充填され、それが内部増幅しつづけていることの証だという表現ができるかもしれないね。
イレギュラーするボールを足で扱うことで、次に何が起きるか分からないサッカー。だから選手は、最高の集中力で、攻守にわたって、積極的に「仕事を探し」つづけなきゃいけない。
そう、レッズの魅力的なサッカーでは、そのプレー姿勢(意志の内実)が、どんどん進化し、深化していることを実感できるっちゅうわけだ。
もちろんミハイロ・ペトロヴィッチの「ストロングハンド」も背景にあるだろうし、これまで、あまりにも多くの「悔しい思い」を積み重ねてきた選手たちの「体感」もあるでしょ。
それらが、どこから来て、どのように(他の心理要素と!)コラボレートし、増幅していくのか・・
それは、フットボールネーションのエキスパート連中のなかでも、常に真剣にディスカッションされている「秘密のサブジェクト」なんだよ。
そういえば、今回のドイツ(プロ)サッカーコーチ連盟主催のサッカーコーチ国際会議でも、「勝者メンタリティー」というテーマで、一つの講演があったね。
それについては、「このコラム」をご参照アレ。
勝者メンタリティーは、選手個々の、攻守にわたって積極的に「仕事を探しつづける」プレー姿勢(≒意志の充実度)に、如実に現れてくる・・と書いた。
守備ファクターでは、常に自分主体で、次に何が起きるかを「積極的に」予測し、ピンチを防ぐために(他と連動する!)アクションを起こしていく。
そんな、覚醒した意志が、「最後の半歩まで足が伸びる・・」という最終勝負プレーのコノテーション(言外に含蓄される意味)につながる。
また攻撃でも、これまで強大な「実効」をブチかましてきた、ダイレクトパスを散りばめた(組織)コンビネーションを基軸に、様々な「仕掛けの変化」もつけられるようになっている。
例えば・・
一発ロングの最終タテパスや(ドリブル勝負からの!?)ミドルシュート、コンビネーションで入り込んだスペース攻略からの勇気ある単独ドリブル、はたまた一発の「アバウト放り込み」等など・・。
とにかく、今シーズンのレッズについては、この「勝者メンタリティー」という、彼らにとってはタブーの!?(へへっ・・)テーマについて、突き詰めてディスカッションしていきたいと思っている筆者なのですよ。
それほど、どんな相手と相対しても、その強さを際立たせられる。
もちろん、プロサッカーだからネ、そこには「ノイジーな異論」もあるでしょ。
でも、ミハイロ・ペトロヴィッチが率いる「今のチーム」は、確実に、ファンの(サイレント!?)マジョリティーからは強く支持されていると確信していますよ。
ということで、次の土曜日のゲーム(チョウ・キジェのベルマーレが相手だぜ!!)が、いまから待ち遠しい。
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ところで、ワケの分からない、1.ステージ、2.ステージ、そしてチャンピオンシップ・・という「興行」について。
- 昨シーズンの「J」は、本当にツキに恵まれた。
- 何せ、年間最多勝ち点チームというリーグ頂点に立ったサンフレッチェが、「興行チャンピオン」にも輝いたわけだからね。でも、昨シーズンの二位クラブは、ガンバ大阪なんだってサ。要は、「興行チャンピオンシップ準優勝チーム」ということらしい。
- まあ、皆さんも感じられている通り、とても、変。まあ、協会側は、この不自然なリーグシステムを「まだ」つづけるつもりらしいけれど・・サ。フンッ。
皆さんもアグリーだと思うけれど、「J」に関わっているサッカー人は、絶対に、『年間最多勝ち点チーム』を目指さなきゃいけないんだよ。
まあ、以前の「2ステージ制」とは違い、昨シーズンから始まった「今回の興行」では、シーズンが終了したとき、『年間最多勝ち点チーム』が一番エライってことになることだけが、救いかな。
ということで、その後のトーナメント(チャンピオンシップ)は、まさに「興行」。
そして「J」の歴史には、『年間最多勝ち点チーム』と『興行チャンピオン』の両方が刻み込まれる(刻み込まれなきゃいけない!)。そうじゃなきゃ、10年、20年後に、「昔」と比べられる、同じ基準のチャンピオンがいなくなっちゃうわけだからね。
だから、サッカー人だけじゃなく、読者の皆さんも、『年間最多勝ち点チーム』をイメージしてシーズンを楽しむべきだと思うわけなのですよ。
この「テーマ」については、新連載「The Core Column」で発表した「このコラム」も参照してください。
- そこでは、いかに(目的が歪んだ興行の!)2ステージ制が、世界の主流フットボールネーションが築き上げた「伝統」に逆行しているのかというディスカッションを展開しました。
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最後に「告知」です。
どうなるか分からないけれど、新規に、連載をはじめています。
一つは、毎回一つのテーマを深める「The Core Column」。
- そして、もう一つが、私の自伝である「My Biography」。
自伝では、とりあえず、ドイツ留学から読売サッカークラブ時代までを書きましょうかね。そして、もしうまく行きそうだったら、「一旦サッカーから離れて立ち上げた新ビジネス」や「サッカーに戻ってきた経緯」など、どんどんつづけましょう。
ホント、どうなるか分からない。でも、まあ、できる限りアップする予定です。とにかく、自分の学習機会(人生メモ)としても、価値あるモノにできれば・・とスタートした次第。
もちろん、トピックスのトップページには、新規に「新シリーズ」コーナーをレイアウトしましたので、そちらからも入っていけますよ。
- まあ、とにかく、請う、ご期待・・ってか〜〜・・あははっ・・
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重ねて、東北地方太平洋沖地震によって亡くなられた方々のご冥福を祈ると同時に、被災された方々に、心からのお見舞いを申し上げます。 この件については「このコラム」も参照して下さい。
追伸:わたしは-"Football saves Japan"の宣言に賛同します(写真は、宇都宮徹壱さんの作品です)。
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ところで、湯浅健二の新刊。三年ぶりに上梓した自信作です。いままで書いた戦術本の集大成ってな位置づけですかね。
タイトルは『サッ カー戦術の仕組み』。出版は池田書店。この新刊については「こちら」をご参照ください。また、スポーツジャーナリストの二宮清純さんが、2010年5月26日付け日経新聞の夕刊 で、とても素敵な書評を載せてくれました。それは「こちら」です。また、日経の「五月の書評ランキング」でも第二位にランクされました。
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