湯浅健二の「J」ワンポイント
- 2016年Jリーグの各ラウンドレビュー
- 第33節(2016年10月29日、土曜日)
- 本当に、質実剛健に強くなっているレッズ・・(ジュビロvsレッズ、0-1)
- レビュー
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- ・・たしかに、(全体的に観れば!?)ゲームのイニシアチブは握られたとは思う・・
・・でも、(自分たちのイメージどおりに!?)ボールを奪い返してからのファーストプレーで、あんなにミスを重ねなければ、もっとよい勝負に持ち込めたとも思っている・・
・・そう、守備ブロックはうまく組織できていたし、ボール奪取プロセスも、効果的に展開できていたと思うんだよ・・
ジュビロ名波浩監督が、そんなコメントをしていた。
そうね〜〜・・
たしかにジュビロは、守備で「人数」が足りなくなるようなシーンや、ダイレクトパス・コンビネーションでウラを突かれるようなピンチも多くなかったよね・・。
でも、私の分析は、「・・だからサ〜〜ッ!」ってなスタートになるわけさ。
ジュビロのサッカーでは、とても良かった前後半立ち上がりの入り方(意志のポテンシャルとイメージング内容)からの「勢いの減退」ばかりが目立っていたんだよ。
そして、だからこそ、レッズに完璧にゲームの流れを「掌握」されてしまった。
いや・・「だからこそ」じゃなかった・・
レッズが強かったからこそ、ジュビロが、前後半の立ち上がりの「勢い」を維持できなかった・・っちゅうニュアンスだった。
ということで、ジュビロが、前後半の立ち上がりの「ポジティブな勢い」を継続させられなかった・・という事実のバックボーンに入っていくことにしま〜す。
簡単に言えば、前述したように、レッズがとても強かったから・・に他ならないというわけさ。
皆さんも体感されている通り、今シーズンのレッズは、どんどんと強くなっている。本当に、強くなっている。
以前のように、チャンスの芽はあるのに攻め切れなかったり(同じパターンの仕掛けプロセスに落ち込んだり等など!!)、瞬間的な「集中力の空白」で失点を喰らってしまったりするような気抜けのゲーム展開が、ビックリするほど減っているんだよ。
そして過去のレッズは、一年間を棒に振ってしまっていた。
サッカーの内容自体は、以前から、日本サッカーにとって「も」大きな価値になるようなコンテンツを生み出してはいたんだよ。
でも、「結果」によって、それが、正当に、高く評価されることが少なかったというわけだ。
でも、今シーズンのレッズには、攻守にわたる本物のコノテーション(言外に含蓄される意味)が、詰め込まれていると思う。
そう、それこそが、勝者メンタリティーとも表現できそうなコノテーション。
勝負強いのも道理というわけさ。
そのコノテーションを構成するファクターのなかで錯綜する、物理的&心理・精神的な内容については、これまで書き連ねてきたコラムに、十分に詰め込んだつもりでっせ。
あっと・・、ジュビロ立ち上がりの勢いを減退させたモノのバックボーンというテーマだった。
まあ、もう書くまでもないだろうけれど、その第一は、もちろん守備にありだった。
ボール際の「デュエル」で放散される強烈な闘う意志。
相手にシュートをブチかまされるような危急状況での、マーク相手を放り出してでも急行する主体的な勝負アクション(それこそが本物の自己主張!!)。
それらのグラウンド上の現象内包されたコノテーション(言外に含蓄される意味)については、推して知るべしだよね。
例えば、武藤雄樹が決勝ゴールをブチ込んでからの、後半残り20分での守備。
そこでは、まさに、極限の集中力(強烈な闘う意志!)が発揮された。そして、それが、上記のグラウンド上の現象に詰め込まれていたというわけだ。
言葉で表現するのは簡単じゃないけれど、とにかく、素晴らしい「意志の爆発プレー」の積み重ねだった。
でも・・
そう、ジュビロの重心が「前掛かり」になりつづけていたからこそつかみ取った、レッズの決定的カウンターチャンス。
彼らは、それを、ことごとく決め切れなかったんだ。
もちろん、ジュビロGKのカミンスキーは、素晴らしいキーバーだよ。
たぶん、ピンチの数と失点数の「相関係数」じゃ、リーグトップレベルにあると思う。確かめていないから、軽々に断言すべきじゃないけれど、多分この主張は正しいと思う。
それほどカミンスキーは、素晴らしいセーブをブチかましつづけたんだ。
とはいっても・・
まあ、この、チャンスをゴールに結びつけるファクターについては、帰宅してから、ジックリとDVDを観ながら分析することにしますよ。
とにかく、いまのレッズが魅せつづけている勝負強さが、まさに「新境地」に入っているということを主張したかった。
今シーズン。
何度、「もう・・このままタイムアップになってしまうかも・・」なんていうゲームの流れのなかで、まさに起死回生と呼べるような内実の(決勝or同点)ゴールをブチかましたことか。
また、守備についても、前述したように、ものすごいレベルの「自己主張プレーがリンクしつづけて」いる。
だからこそ、素晴らしく効果的な「組織ディフェンス」が回りつづける。
あっと・・
ここで言いたかったのは、今シーズンのレッズが、「ここぞっ!!」のタイミングで、「勝負を決めるゴール」をブチ込めるようになったということでっせ。
でも、前述したように、「あれほどのチャンス」を創りだしている割には、ゴールの数は、少ないかもしれない・・というテーマ「も」あるよね。
まあ、また日を改めて、それについて書くことにしましょうか。例えば、新連載「The Core Column」などで・・!?
今はまだエコパのプレスルーム。
いま帰ってもシンカンセンは満杯だろうということで、取り敢えずの「コラム初校」はアップしてから帰京しよう思った次第。
では、また〜・・
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- あっと・・
- 私が愛用しているウエストポーチやバックパックについて、何人かの方から質問されたこともあって、友人のデザイナーが主催するブランド、「METAS」のプロモートをさせてもらうことにしました。
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ところで、ワケの分からない、1.ステージ、2.ステージ、そしてチャンピオンシップ・・という「興行」について。
- 昨シーズンの「J」は、本当にツキに恵まれた。
- 何せ、年間最多勝ち点チームというリーグ頂点に立ったサンフレッチェが、「興行チャンピオン」にも輝いたわけだからね。でも、昨シーズンの二位クラブは、ガンバ大阪なんだってサ。要は、「興行チャンピオンシップ準優勝チーム」ということらしい。
- まあ、皆さんも感じられている通り、とても、変。まあ、協会側は、この不自然なリーグシステムを「まだ」つづけるつもりらしいけれど・・サ。フンッ。
皆さんもアグリーだと思うけれど、「J」に関わっているサッカー人は、絶対に、『年間最多勝ち点チーム』を目指さなきゃいけないんだよ。
まあ、以前の「2ステージ制」とは違い、昨シーズンから始まった「今回の興行」では、シーズンが終了したとき、『年間最多勝ち点チーム』が一番エライってことになることだけが、救いかな。
ということで、その後のトーナメント(チャンピオンシップ)は、まさに「興行」。
そして「J」の歴史には、『年間最多勝ち点チーム』と『興行チャンピオン』の両方が刻み込まれる(刻み込まれなきゃいけない!)。そうじゃなきゃ、10年、20年後に、「昔」と比べられる、同じ基準のチャンピオンがいなくなっちゃうわけだからね。
だから、サッカー人だけじゃなく、読者の皆さんも、『年間最多勝ち点チーム』をイメージしてシーズンを楽しむべきだと思うわけなのですよ。
この「テーマ」については、新連載「The Core Column」で発表した「このコラム」も参照してください。
- そこでは、いかに(目的が歪んだ興行の!)2ステージ制が、世界の主流フットボールネーションが築き上げた「伝統」に逆行しているのかというディスカッションを展開しました。
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最後に「告知」です。
どうなるか分からないけれど、新規に、連載をはじめています。
一つは、毎回一つのテーマを深める「The Core Column」。
- そして、もう一つが、私の自伝である「My Biography」。
自伝では、とりあえず、ドイツ留学から読売サッカークラブ時代までを書きましょうかね。そして、もしうまく行きそうだったら、「一旦サッカーから離れて立ち上げた新ビジネス」や「サッカーに戻ってきた経緯」など、どんどんつづけましょう。
ホント、どうなるか分からない。でも、まあ、できる限りアップする予定です。とにかく、自分の学習機会(人生メモ)としても、価値あるモノにできれば・・とスタートした次第。
もちろん、トピックスのトップページには、新規に「新シリーズ」コーナーをレイアウトしましたので、そちらからも入っていけますよ。
- まあ、とにかく、請う、ご期待・・ってか〜〜・・あははっ・・
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重ねて、東北地方太平洋沖地震によって亡くなられた方々のご冥福を祈ると同時に、被災された方々に、心からのお見舞いを申し上げます。 この件については「このコラム」も参照して下さい。
追伸:わたしは-"Football saves Japan"の宣言に賛同します(写真は、宇都宮徹壱さんの作品です)。
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ところで、湯浅健二の新刊。三年ぶりに上梓した自信作です。いままで書いた戦術本の集大成ってな位置づけですかね。
タイトルは『サッ カー戦術の仕組み』。出版は池田書店。この新刊については「こちら」をご参照ください。また、スポーツジャーナリストの二宮清純さんが、2010年5月26日付け日経新聞の夕刊 で、とても素敵な書評を載せてくれました。それは「こちら」です。また、日経の「五月の書評ランキング」でも第二位にランクされました。
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