湯浅健二の「J」ワンポイント
- 2016年Jリーグの各ラウンドレビュー
- 第7節(2016年4月16日、土曜日)
- 勝者メンタリティーも含めた「本物の強さ」が際立ちはじめているレッズ・・(レッズvsベガルタ、3-1)
- レビュー
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- まず・・
今回の「熊本地震」で被災された方々に対して、心から、ご冥福とお悔やみ、そしてお見舞いを申し上げます。
2011年3月11日に発生した東北大震災のときもそうだったのですが、外国の友人たちからも、お見舞いのメッセージが多く寄せられています。
ところで、東北大震災のときに、エイヤッでアップした文章ですが、いまの心情につながる「そのコラム」も、よろしければご参照ください。
そして今の私は・・
今回も、自分自身の無力さを体感させられながら、とにかく一生懸命に(!)生きることこそが大事だという気持ちを強くしているわけです。
被災された皆さんに、世界からのお見舞いの心が届くことを願って止みません。
さて・・
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「我々は、最後のところでは自由にやらせなかったと自負している・・」
試合後の監督会見で、ベガルタ渡邉晋監督が、そう胸を張っていた。
まさに、おっしゃるとおり。
皆さんも観られたとおり、レッズは、ゲームを支配し、何度も、何度も、シュートにつながる決定的な「仕掛けの流れ」をブチかましつづけた。
・・サイドから・・センターゾーンから・・でも・・
そう、渡邉晋さんが言うように、レッズ選手が(決定的なモノも含めて!)シュートを打とうとした「最後の瞬間」には、常にベガルタ選手の足(身体の一部!?)が伸びていたんだよ。
我々サッカーコーチは、そんな粘り強いプレーのことを、「ヤツ等は、最後の半歩を出せる・・」なんて表現する。
そう、ベガルタ選手たちの意識と意志は、殊の外ハイレベルだったんだ。
わたしは、そんなベガルタ選手たちの、強烈な意志に支えられた「粘りディフェンス」を観ながら、渡邉晋さんに心からの拍手をおくっていた。
まあ、大したモンだ・・
ここで採り上げた、「勝負の瞬間に最後の半歩が出るかどうか・・」というテーマについては、新連載「The Core Column」で、「こんなコラム」を書いたから、そちらもご参照アレ。
とにかく、不確実な要素が満載のサッカーは、究極の「心理ゲーム」でもあるわけで、だからこそ最後は、意志の強さが問われるっちゅうわけさ。
そう、そして、そこにこそ、ストロングハンド(監督)の、選手の心の深層までも活性化させられる、心理マネージャーとしての「ウデの内実」が表現されるっちゅうわけだ。
もちろん、そのテーマについては、「いまのレッズ守備」にも同じことが言える。
だから私は、勝者メンタリティーも含めた「本物の強さ」が際立ちはじめているレッズのストロングハンド、ミハイロ・ペトロヴィッチにも拍手を惜しまないっちゅうわけさ。
あっと・・その、レッズ・・
いま「The Core Column」で、3人目、4人目のフリーランニング・・というテーマのコラムに挑戦している。
そこでの論理ベースの「ミソ」は、フリーランニングスタートのモティベーションは、アイコンタクトだけじゃない・・っていうコトかな。
・・イメージシンクロの内実・・「そこにいるハズだ・・ここにパスがくるはずだ」ってな確信の内実・・そして、意志(セルフモティベーション能力)の内実・・等など・・
もちろん、どうなるか分からないけれど、自分自身へのモティベーションという意味も含めて、創作意欲をかき立てながらチャレンジしていることを公表しようと思った次第。
そして、だからこそ、この試合でレッズがブチかました、サイドゾーンや中央ゾーンからの「ダイレクトパス・コンビネーション」から、強烈な刺激を受けたっちゅうわけサ。
あっと・・
サイドゾーンからの仕掛けでは、もちろん、関根貴大とか宇賀神友弥(梅崎司)といった連中のドリブル勝負も効果的ではあったよ。
でも、そのドリブル突破チャレンジにしても、ベースは組織コンビネーションだから・・サ。
とにかく、そこで繰り出される3人目、4人目のフリーランニングは、とても魅力的だったんだよ。
しつこいけれど、ボールを止めない「ダイレクト」でのパスやシュートというテーマについては、新連載「The Core Columnで書いた「このコラム」を参照してください。
ということで、ミハイロ・ペトロヴィッチに対して、敢えて、こんな質問を投げてみた。
・・いまミハイロさんは、サイドゾーンやセンターゾーンからの仕掛け(ダイレクトパス)コンビネーションについて言及された・・
・・たしかにレッズは、その仕掛けの流れでは、いま最も「旬」なチームだと思うし、この試合でも、何度も美しい組織コンビネーションでシュートチャンスを創りだしていた・・でも・・
・・私は、敢えて、それだけじゃなく、ミドルシュートにも期待したいのですよ・・能力的には問題ないわけだし、それがあれば、ブロックを固める相手守備を引き出せるだろうし(スペースだよ)・・
そんな私の質問に、例によってミハイロが、真摯に、こんなニュアンスの内容をコメントしてくれた。曰く・・
・・そう・・アンタの視点は正しいと思うよ・・オレだけじゃなく、選手たちも、もっと積極的にミドル弾にトライしなきゃいけないとは思っているんだ・・
・・たしかに、コンビネーションの内容も、より充実させているけれど、ミドルシュートについても、事あるごとに選手たちにイメージさせているよ・・
フムフム・・。
まあ、仕掛け合いになることが多い強豪との勝負マッチでは問題にはならないだろうけれど、相手が守備ブロックを固めるようなゲーム展開になった場合は、やはり、もっともっと、仕掛けの内容に「変化」を付けていく必要があるよね。
とにかく、この試合でも、そのコトに思いを馳せていた筆者だったのですよ。
さて次は、水曜日のACL(対シドニーFC・・アウェーマッチ)。
相手は、フォームを大幅にアップさせているグループトップのシドニーだからね、いまのレッズの(意識と意志の内実も含む!)実力を推し量るうえでも、とても大事な勝負マッチだよね。
いまから楽しみです。
私はテレビ観戦ですが、その試合についても、簡単なコラムをアップする予定です。
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ところで、ワケの分からない、1.ステージ、2.ステージ、そしてチャンピオンシップ・・という「興行」について。
- 昨シーズンの「J」は、本当にツキに恵まれた。
- 何せ、年間最多勝ち点チームというリーグ頂点に立ったサンフレッチェが、「興行チャンピオン」にも輝いたわけだからね。でも、昨シーズンの二位クラブは、ガンバ大阪なんだってサ。要は、「興行チャンピオンシップ準優勝チーム」ということらしい。
- まあ、皆さんも感じられている通り、とても、変。まあ、協会側は、この不自然なリーグシステムを「まだ」つづけるつもりらしいけれど・・サ。フンッ。
皆さんもアグリーだと思うけれど、「J」に関わっているサッカー人は、絶対に、『年間最多勝ち点チーム』を目指さなきゃいけないんだよ。
まあ、以前の「2ステージ制」とは違い、昨シーズンから始まった「今回の興行」では、シーズンが終了したとき、『年間最多勝ち点チーム』が一番エライってことになることだけが、救いかな。
ということで、その後のトーナメント(チャンピオンシップ)は、まさに「興行」。
そして「J」の歴史には、『年間最多勝ち点チーム』と『興行チャンピオン』の両方が刻み込まれる(刻み込まれなきゃいけない!)。そうじゃなきゃ、10年、20年後に、「昔」と比べられる、同じ基準のチャンピオンがいなくなっちゃうわけだからね。
だから、サッカー人だけじゃなく、読者の皆さんも、『年間最多勝ち点チーム』をイメージしてシーズンを楽しむべきだと思うわけなのですよ。
この「テーマ」については、新連載「The Core Column」で発表した「このコラム」も参照してください。
- そこでは、いかに(目的が歪んだ興行の!)2ステージ制が、世界の主流フットボールネーションが築き上げた「伝統」に逆行しているのかというディスカッションを展開しました。
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最後に「告知」です。
どうなるか分からないけれど、新規に、連載をはじめています。
一つは、毎回一つのテーマを深める「The Core Column」。
- そして、もう一つが、私の自伝である「My Biography」。
自伝では、とりあえず、ドイツ留学から読売サッカークラブ時代までを書きましょうかね。そして、もしうまく行きそうだったら、「一旦サッカーから離れて立ち上げた新ビジネス」や「サッカーに戻ってきた経緯」など、どんどんつづけましょう。
ホント、どうなるか分からない。でも、まあ、できる限りアップする予定です。とにかく、自分の学習機会(人生メモ)としても、価値あるモノにできれば・・とスタートした次第。
もちろん、トピックスのトップページには、新規に「新シリーズ」コーナーをレイアウトしましたので、そちらからも入っていけますよ。
- まあ、とにかく、請う、ご期待・・ってか〜〜・・あははっ・・
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重ねて、東北地方太平洋沖地震によって亡くなられた方々のご冥福を祈ると同時に、被災された方々に、心からのお見舞いを申し上げます。 この件については「このコラム」も参照して下さい。
追伸:わたしは-"Football saves Japan"の宣言に賛同します(写真は、宇都宮徹壱さんの作品です)。
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ところで、湯浅健二の新刊。三年ぶりに上梓した自信作です。いままで書いた戦術本の集大成ってな位置づけですかね。
タイトルは『サッ カー戦術の仕組み』。出版は池田書店。この新刊については「こちら」をご参照ください。また、スポーツジャーナリストの二宮清純さんが、2010年5月26日付け日経新聞の夕刊 で、とても素敵な書評を載せてくれました。それは「こちら」です。また、日経の「五月の書評ランキング」でも第二位にランクされました。
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