湯浅健二の「J」ワンポイント
- 2017年Jリーグの各ラウンドレビュー
- 第15節(2017年6月17日、土曜日)
- サンフレッチェは、なぜ勝てないのか?・・もちろんフロンターレのサッカーは、とても良かったけれど・・(フロンターレvsサンフレッチェ、1-0)
- レビュー
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- フ〜〜ッ! なんで、サンフレッチェは勝てないの??
試合を見終わったときの素直な感想でした。
もちろん、フロンターレは、例によっての軽快な組織サッカーを魅せたよ。
だから、フロンターレが、「立派に勝ち切った・・」とすることに、まったく異論はない。
特に後半は、人数を掛け、サイドから、より積極的に仕掛けることで、彼ら本来の「美しく勝つサッカー」が息を吹き返したと思う。
そう、ダイレクトパス・コンビネーションをふんだんに盛り込んだ、「人とボールの動き」が軽快なリズムに乗りつづける組織サッカー。
そして、何回か、「あの」堅牢なサンフレッチェ守備ブロックの穴(決定的スペース)を突いて決定的チャンスまでも創りだした(まあ、ゴールは、阿部浩之のスーパーミドルだったけれど・・)。
でも・・
そう、対するサンフレッチェも、立派なサッカーで、存分に対抗できていたんだよ。
たしかに、個のチカラの単純総計をベースにする「チーム総合力」という視点じゃ、フロンターレに軍配が挙がるかもしれないけれど、サッカーの内容自体は、彼らに引けを取っていたわけじゃなかったんだ。
だから、森保一さんに聞いた。
・・ご自分もおっしゃっていたように、確かに良いサッカーは出来ている・・でも結果がついてこない・・改めてその要因を聞かれた場合、シンプルに、どのように応えられますか??・・
・・一言でいえば、決定力に課題があるということになるでしょうね・・
・・たしかに選手やスタッフの入れ替わりなど、チームも揺動しています・・でも、今日のようなサッカーをつづけていれば、そのうち必ず結果がついてくると確信していますよ・・
フムフム・・
たしかに、サンフレッチェのゴール数は「12」にしか過ぎないよナ〜〜。
あっと・・
そうじゃなく、決定力か・・。
正確に把握しているわけじゃないけれど、これまでのリーグ戦でサンフレッチェが創りだしたチャンスの量と質からすれば、確かに、あまりにもゴールが少な過ぎる。
だから、決定力・・
それは、イレギュラーするボールを足で扱うという不確実きわまりないサッカーだからこその、得体の知れない「未知のファクター」と言えるかもしれない。
この決定力というテーマについては、「The Core Column」で、ドイツサッカー史に残るスーパープロコーチ、故ヘネス・ヴァイスヴァイラーの教えとして、「こんなコラム」をアップしたことがあるから、そちらもご参照あれ。
とにかく、「あのハイレベルサッカー」を高みで安定させられているサンフレッチェのことだから、森保一さんが言うように、「それ」をつづけていれば、必ず復活できると思う。
彼らの場合も、「継続こそチカラなり・・」だろうね。
そうそう、サンフレッチェについては、優勝したシーズンに、「The Core Column」で、彼らの強さのバックボーンについて「こんなコラム」もアップしたことがあったっけ。
特に、そのディフェンスが、いつも印象的なんだよ。
そう、互いのポジショニングバランスを維持しながら、タイミングを見計らって、急激に「ブレイク」してボール奪取勝負をブチかますような、静と動を、巧みにコントロールする、メリハリの効いた守備のチーム戦術。
そんな、とても効率的でクリエイティブな守備プレーを展開しているから、彼らの「チーム走行距離」は、少なめ・・ということか!?
私は、常日頃、クレバーで効果的なサンフレッチェ守備に舌鼓を打っているんですよ。
そう、今日のこの試合でも・・
あっと、サンフレッチェのコトばかりを書きすぎた・・!?
でも、まあ、復調(!?)著しい「鬼木フロンターレ」については、いつも書いているからいいでしょ。
でも、一つだけ。
そう、家長昭博という天才について。
この試合での彼は、ベンチスタートだった。
だから、鬼木達さんに聞いた。
・・聞きたいテーマは、家長昭博・・・・・・・・(ここで言葉を切ったから、場内、クスクス笑い)・・
・・彼は、守備はお座なりだし、ドリブル勝負にしても、足が遅いから、相手を抜ききるところまでいけないシーンが多い・・
・・でも、彼のキープ力とパス能力は、まさに天才的・・
・・この試合では、ゲーム残り10分ってなタイミングで登場し、ワントップに入った・・だから私は、彼へのタテパスが、ガンガン飛んでくるモノと思っていた・・
・・相手にボールを奪われず、最前線でタメを創る・・それについては、まさに世界一だから・・でも実際は、そんな期待が裏切られたと思っている・・
・・その点についてコメントをいただけませんか?・・
鬼木達さんは、そんな私の、チト不作法な質問に対しても、例によって冷静に、そして真摯に、こんなニュアンスの内容をコメントしてくれるんだよ。感謝・・
曰く・・
・・たしかに、彼には、うまくボールが入らなかった・・でも、おっしゃるように、彼のキープ力は、レベルを超えているし、我々も、できるかぎり、それを活用しようと思っている・・
・・彼のキープ力については、チームメイトたちも、完璧にレスペクトしている・・だから、彼に、良いカタチでボールが入り、そこでタメられたら、周りの動きは、何倍にも活性化するはず・・
・・でもこの試合では、たしかに、うまくボールが入らなかった・・
・・あと、守備でのハードワークですが、たしかにそれも課題であり、これからも改善していかなきゃいけないと思っています・・
はいっ!!(わたしの掛け声ですよ!)
鬼木達さん。真摯なコメント、心から感謝します。
最後に・・
攻守にわたって素晴らしく積極的な(スーパークリエイティブな!!)プレーを披露した、牛若丸(中村憲剛)に乾杯っ!!
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最後に「告知」です。
どうなるか分からないけれど、まだ、連載をつづけています。
一つは、選択したテーマを深める「The Core Column」。
- そして、もう一つが、私の自伝、「My Biography」。
自伝では、とりあえず、ドイツ留学から読売サッカークラブ時代までを書きましょうかね。そして、もしうまく行きそうだったら、「一旦サッカーから離れて立ち上げた新ビジネス」や「サッカーに戻ってきた経緯」など、どんどんつづけましょう。
ホント、どうなるか分からない。でも、まあ、できる限りアップする予定です。とにかく、自分の学習機会(人生メモ)としても、価値あるモノにできれば・・と思っている次第。
もちろん、トピックスのトップページに「タイトル」をレイアウトしましたので、そちらからも入っていけます。
- まあ、とにかく、請う、ご期待・・ってか〜〜・・あははっ・・
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重ねて、東北地方太平洋沖地震によって亡くなられた方々のご冥福を祈ると同時に、被災された方々に、心からのお見舞いを申し上げます。 この件については「このコラム」も参照して下さい。
追伸:わたしは-"Football saves Japan"の宣言に賛同します(写真は、宇都宮徹壱さんの作品です)。
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ところで、湯浅健二の新刊。三年ぶりに上梓した自信作です。いままで書いた戦術本の集大成ってな位置づけですかね。
タイトルは『サッ カー戦術の仕組み』。出版は池田書店。この新刊については「こちら」をご参照ください。また、スポーツジャーナリストの二宮清純さんが、2010年5月26日付け日経新聞の夕刊 で、とても素敵な書評を載せてくれました。それは「こちら」です。また、日経の「五月の書評ランキング」でも第二位にランクされました。
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