湯浅健二の「J」ワンポイント
- 2017年Jリーグの各ラウンドレビュー
- 第24節(2017年8月26日、土曜日)
- またまた、美しさと勝負強さが対峙した!?・・そして・・(マリノスvsFC東京、1-0)
- レビュー
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- ・・アンタと同じで、オレも、バルサのファンなんだよ・・
・・もちろん我々は、「まだ」バルサのレベル(バルサのような美しく攻撃的なサッカー)には到達していない・・まあ、雲泥の差ともいえるバジェット(予算)的な面も含めてネ・・へへっ・・
・・だから我々は、まず失点しないようにゲームに入っていくんだよ・・
・・そう、よい守備があってこその攻撃だし、それを「まず」しっかりと安定させてからゴールを狙いにいくというイメージだな・・
この試合・・
前半の(FC東京)高萩洋次郎の決定的チャンスや、後半の立ち上がりから15分までにマリノスが創りだした二つの決定的チャンスも含め、そのほとんどが(まあ決勝ゴールは、タイプ的に違うかもしれないけれど・・)カウンターからのチャンスメイクだった。
まあ、一点を追いかけるFC東京が、ピーター・ウタカと中島翔哉が入ってから創りだした、組織的な攻めからの決定的チャンスもあったけれど・・さ。
もちろん、篠田善之監督が率いるFC東京は、美しく勝つサッカーを志向している(攻守ハードワーク基盤の攻撃的ポゼッションサッカー!?)。
それに対してマリノスは、冒頭のモンバエルツ監督の弁が如実に言い表しているように、安定したディフェンスをコアに、「蜂の一刺しカウンター」をイメージする。
何せ、彼らは、齋藤学とマルティノスという、技術とスピードに長けた超速ドリブラーを擁しているわけだからね。
ホント、彼らのカウンターは、危険この上ないんだよ。
いや・・
その前に、マリノスの堅いディフェンスというテーマにフォーカスしなきゃいけなかった。
何せいまのマリノスは、リーグでもダントツの「最小失点チャンピオン」だからね。
この試合でも、ミロシュ・デゲネクと中澤佑二で組むセンターバックコンビと、扇原貴宏と喜田拓也で組むダブルボランチを中心に、レベルを超えた「粘り」のディフェンスを展開した。
ポゼッション(ゲームのイニシアチブという視点)ではFC東京に分があったけれど、そんな彼らでも、まったくといっていいほど、決定的スペースを突いていけないんだ。
前述したけれど、一点を追いかける時間帯でのFC東京は、否が応でも攻撃に人数を掛けるから、かなりの「力業」でチャンスを創りだせてはいた。
でも、それ以外の時間帯では、(組織プレーベースのスペース攻略という視点で!)まさに鳴かず飛ばずだったんだ。
いつも書いているけれど、優秀なプロコーチ、篠田善之に率いられたFC東京は、とても優れたサッカーを展開する強いチームだよ。
でも、そんな彼らがマリノス守備ブロックと対峙したときは、何か、「蛇に睨まれた蛙」ってな後ろ向きのプレー姿勢になっちゃうと感じられたんだ。
何度、「勇気をもって仕掛けていかないFC東京」に、毒づいていたことか・・
・・何だ〜〜っ!!・・何をビビってやがるんだ〜〜っ!!・・ってね・・へへっ・・
でもFC東京が、しっかりと自分たちのサッカーを貫きとおしたことは、確かな事実だった。
そう、美しく勝とうとする攻撃サッカー。
でも・・
いまのマリノスは、アントラーズ同様に、とても勝負強いサッカーを展開できている。
でも・・
そう、私は、いつも書いているように、彼らがリーグの頂点に立っていることは、長いスパンで考えた場合、決してポジティブなことじゃないと思っているんだよ。
だから、モンバエルツさんに聞いたんだ。
・・バルサに代表されるリーガエスパニョーラ等、先進のフットボールネーションでは、美しく勝とうとする攻撃的なチームが(リスクチャレンジ豊富な攻撃サッカーが)席巻している・・
・・日本サッカーが、そのレベルに到達できるまでには、あと何年待たなきゃいけないんだろ〜〜・・百年は長すぎると思うんだけれど(笑)・・
それに対してモンバエルツさんが、冒頭のように応えてくれたっちゅうわけだ。
実は、その質問の前段として、こんな(失礼な!?)内容も語ったんだ。
・・いまリーグは、アントラーズやマリノスに代表される、勝負強さばかりを前面に押し出すチームがトップに立っている・・
・・でも私は、「サッカーの美しさや根本的な魅力」という視点では、フロンターレやレイソルの方が、何倍も優れていると思っているのです・・それを前提に聞きますが・・
でもモンバエルツさんは、そんな私の(チト失礼な!?)質問に対しても、頷きながら、また微笑みながら、冒頭のようなニュアンスのハナシをしてくれたっちゅうわけさ。
この「美しく勝つ」というテーマについては、「The Core Column」で発表した、「こんなコラム」や「あんなコラム」も参照してください。
最後になりましたが・・
もちろん私は、アントラーズやマリノスの「勝負強いサッカー」について、プレイヤーたちの強烈な意識や意志という視点で、とても広範な意味合いで、強くレスペクトしているんだよ。
これは、本心です。
私は、そのレベルまでチームの「フォーム」を高める作業の大変さを知っているつもりだから・・
ということで、明日は、エスパルス対レッズを「ダゾン」しま〜す。
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最後に「告知」です。
どうなるか分からないけれど、まだ、連載をつづけています。
一つは、選択したテーマを深める「The Core Column」。
- そして、もう一つが、私の自伝、「My Biography」。
自伝では、とりあえず、ドイツ留学から読売サッカークラブ時代までを書きましょうかね。そして、もしうまく行きそうだったら、「一旦サッカーから離れて立ち上げた新ビジネス」や「サッカーに戻ってきた経緯」など、どんどんつづけましょう。
ホント、どうなるか分からない。でも、まあ、できる限りアップする予定です。とにかく、自分の学習機会(人生メモ)としても、価値あるモノにできれば・・と思っている次第。
もちろん、トピックスのトップページに「タイトル」をレイアウトしましたので、そちらからも入っていけます。
- まあ、とにかく、請う、ご期待・・ってか〜〜・・あははっ・・
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重ねて、東北地方太平洋沖地震によって亡くなられた方々のご冥福を祈ると同時に、被災された方々に、心からのお見舞いを申し上げます。 この件については「このコラム」も参照して下さい。
追伸:わたしは-"Football saves Japan"の宣言に賛同します(写真は、宇都宮徹壱さんの作品です)。
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ところで、湯浅健二の新刊。三年ぶりに上梓した自信作です。いままで書いた戦術本の集大成ってな位置づけですかね。
タイトルは『サッ カー戦術の仕組み』。出版は池田書店。この新刊については「こちら」をご参照ください。また、スポーツジャーナリストの二宮清純さんが、2010年5月26日付け日経新聞の夕刊 で、とても素敵な書評を載せてくれました。それは「こちら」です。また、日経の「五月の書評ランキング」でも第二位にランクされました。
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