湯浅健二の「J」ワンポイント
- 2017年Jリーグの各ラウンドレビュー
- 第29節(2017年10月14日、土曜日)
- 自分たちの攻めを構築できなかったレッズ・・立派な組織プレッシング守備を展開したヴィッセル・・(レッズvsヴィッセル、1-1)
- レビュー
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- ・・もちろん我々は、勝ち点3を奪い取るという強い意志をもってグラウンドに立った・・
・・でも内容的には、引き分けがフェアな結果かもしれないというのが正直なところ・・
・・とにかく、うまくボールを奪えなかった・・そして、自分たちの攻撃ができなかった・・
それが、堀孝史さんの会見での冒頭コメントでした。
まさに、その通り。
観ていた皆さんも、フラストレーションを溜めていたことでしょう。もちろん、私も・・
そのフラストレーションのバックボーンは、堀孝史さんが表現した、「自分たちの攻撃ができなかった・・」というコメントに集約されているように思います。
・・ダイレクトパスを織り交ぜた組織コンビネーションで、相手守備のウラスペースを攻略する・・
・・そこで演出された最終勝負の起点(スペースである程度フリーでボールをもつチームメイト)が必殺のドリブル勝負をブチかます・・
そんなシーンが、ほとんどなかったわけだから・・ね。
要因は、もちろん、仕掛けの流れに乗る(仕掛けの流れを引き出す!?)3人目、4人目のフリーランナーが出てこなかったこと。
だから、ボールがないところで勝負を決められなかったし、ドリブル勝負をブチかますチャンスさえも創りだせなかった。
あっと・・
コラムは、フェアに書かなきゃいけない。
そう、吉田孝行さん率いるヴィッセル神戸が、粘り強く、ダイナミックに、そしてスマートに繰り出しつづけた「組織プレッシングの輪」・・というテーマ。
それが殊の外うまく機能したことも、レッズが「自分たちの攻め」を、うまく構築できなかった大きな要因の一つだったというポイントも強調すべきなんだよ。
とにかく、中盤から、レッズ選手が「余裕」をもって仕掛けの起点を創りだせなかったのは確かな事実だし、その背景に、忠実なヴィッセルの「寄せ」があったというわけだ。
もちろん彼らは、その寄せ(チェイス&チェック)をベースに、次、その次・・と、素早く組織プレスの輪を構築しちゃう。
それは、それで、見応え十分ではあった。
吉田孝行さんに率いられたヴィッセルが「負け知らず」というのも頷けるじゃないか。
でも・・
そう、レッズが秘める潜在的な実力からすれば、そんな「強固なディフェンス」を相手にしても・・、いや、そんな強いディフェンスだからこそ、「強烈な意志」を炸裂させ、素晴らしい組織コンビネーションで、ウラの決定的スペースを突いていけたはずなんだよ。
でも、今日のレッズの仕掛けプロセスは・・
たしかに、タテパスは積極的に出せていた。
でも、次の「パス&ムーブ」に、まったく勢いが乗っていかない。
タテパスを出した選手は、そのパスを出したことに(出せたことに)自己満足していた!?
そんなことさえ感じてしまうほど、ボールがないところでの動きの量と質がお粗末だったんだ。
それじゃ、スペースを攻略していけいない。
だから、優位なカタチからの効果的なドリブル勝負もブチかましていけない。
もちろん何本かは、惜しいチャンスはあった。でも「それ」は、一発クロスからのヘディングシュートがほとんどだった。
そして、ヴィッセルのスーパーGKキム・スンギュに、ことごとく弾き出されてしまう。
私は、そんなレッズの攻撃を観ながら、こんなコトを思っていた。
・・ダイレクトパスを織り交ぜた組織コンビネーションをうまく繰り出していけない・・
・・だから、ウラのスペースを攻略していけない・・
・・そんな状況だからこそ、ズラタンや興梠慎三のアタマを狙ったシンプルな放り込みから「こぼれ球」を狙ったり、積極的にミドル弾をブチかますといった「仕掛けの変化」が必要なんだよ・・
・・そう、相手がビックリするような「発想の転換」だよね・・
・・まあ、そのためには、リーダーが必要だよな・・
・・たしかに、この試合には柏木陽介がいた・・
・・でも、柏木陽介のアイデアも、周りのチームメイトが乗れていなかったから、うまく効果を発揮できていなかった・・
・・もちろん武藤雄樹は、しっかりと(ボールがないところで!)乗れていたけれど・・サ・・
どうも、タラレバも含めた愚痴に終始してしまっているような・・
スミマセン・・ね。
ということで・・
とにかく、水曜日のACLリターンマッチまでには、チームの闘う意志を極限まで高揚させ、攻守の目的を達成するイメージングの内容を、しっかりと整理、シンクロさせて欲しいね。
まあ、彼らのことだから、150%の闘う意志で、この勝負マッチに臨んでくれるとは思うけれど・・
とにかく私「も」、4日後を楽しみに、イメージトレーニングに励むことにしま〜す。
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最後に「告知」です。
どうなるか分からないけれど、まだ、連載をつづけています。
一つは、選択したテーマを深める「The Core Column」。
- そして、もう一つが、私の自伝、「My Biography」。
自伝では、とりあえず、ドイツ留学から読売サッカークラブ時代までを書きましょうかね。そして、もしうまく行きそうだったら、「一旦サッカーから離れて立ち上げた新ビジネス」や「サッカーに戻ってきた経緯」など、どんどんつづけましょう。
ホント、どうなるか分からない。でも、まあ、できる限りアップする予定です。とにかく、自分の学習機会(人生メモ)としても、価値あるモノにできれば・・と思っている次第。
もちろん、トピックスのトップページに「タイトル」をレイアウトしましたので、そちらからも入っていけます。
- まあ、とにかく、請う、ご期待・・ってか〜〜・・あははっ・・
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重ねて、東北地方太平洋沖地震によって亡くなられた方々のご冥福を祈ると同時に、被災された方々に、心からのお見舞いを申し上げます。 この件については「このコラム」も参照して下さい。
追伸:わたしは-"Football saves Japan"の宣言に賛同します(写真は、宇都宮徹壱さんの作品です)。
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ところで、湯浅健二の新刊。三年ぶりに上梓した自信作です。いままで書いた戦術本の集大成ってな位置づけですかね。
タイトルは『サッ カー戦術の仕組み』。出版は池田書店。この新刊については「こちら」をご参照ください。また、スポーツジャーナリストの二宮清純さんが、2010年5月26日付け日経新聞の夕刊 で、とても素敵な書評を載せてくれました。それは「こちら」です。また、日経の「五月の書評ランキング」でも第二位にランクされました。
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