湯浅健二の「J」ワンポイント


2017年Jリーグの各ラウンドレビュー


 

第30節(2017年10月22日、日曜日)

 

引き分けによるネガティブ情緒と、存在感抜群の長澤和輝によるポジティブ情緒のせめぎ合い!?・・(レッズvsガンバ、3-3)

 

レビュー
 
あ〜ららっ!?

またまた同点にされ、結局は引き分けてしまった。

サッカーの質は、レッズに一日以上の長があったし、三度もリードを奪ったにもかかわらず・・

だから、タイムアップのホイッスルを聞きながら、ネガティブな情緒に包まれていた。

サッカーの質の差・・

まあ書くまでもないけれど、ダイレクトパスを織り交ぜた組織コンビネーションでスペースを攻略していくという仕掛けプロセスに、その「差」が明確に現れてくるというわけさ。

レッズは、人とボールがよく動く、とても高質なサッカーで、何度もガンバ守備のウラスペースを攻略していたんだよ。

だからこそ、パスでも、ドリブルでも、実効あるチャンスを創りだせていた。

そんなレッズに対し、ガンバのサッカーの質は、ビックリするほど低落していた。

以前は、美しく勝つサッカーを代表するクラブの一つだったのに・・。

そして最後は、ゴリ押しの力業でゴールをもぎ取る・・という「やり方」に終始していた。

まあ、とはいっても結果は・・

だからこそ、ネガティブな情緒に包まれていたっちゅうワケさ。

あっと・・

まず、今日も「ダゾン」観戦という体たらくであることを、お断りしておかなければ・・

何故か・・って!?

それについては、昨日の「Jリーグコラム」をご参照あれ。とにかく、熱が下がらないんですよ。

だから、このコラムでは、前述したゲームの概要に加えて、一つだけ、テーマをピックすることにしました。

それは・・

積極的に仕事を探しつづけるプレー姿勢(強烈な意志)というテーマ。

ここでいう「仕事」だけれど・・

何もそれは、攻守ハードワークのコトだけじゃないよ。

局面でのデュエルの内実とか、ボールを奪い返してやろうという強烈な意志ベースのクレバーで忠実なポジショニングとか、逆に、スペースで決定的パスを受けてやろうとする、(3人目、4人目フリーランナーとしての!)爆発スタートとフルスプリント・・等など。

そして、コレがもっとも大事なのかもしれないけれど・・

そう、良いカタチでボールを持ったとき(仕掛けの起点になれそうな状況で!)、しっかりとリスクにチャレンジしていく「勇気」あるアクション。

何故このテーマを選んだのか・・

それは、先日のACLで、攻守ハードワークも含めて獅子奮迅の活躍を魅せた長澤和輝のプレーが、この試合でも、殊の外ダイナミックだったからに他なりません。

そう、彼は、攻守にわたって、とても積極的に「仕事」を探しつづけたんだよ。そして、デュエルで泥まみれになって闘いつづけた。

以前にも何度か書いたけれど、わたしは、1FCケルンでの長澤和輝を観ているし、ドイツ人プロコーチ仲間のなかでも、彼の評価がとても高かったことを知っている。

だからこそ、ジェフでのプレー姿勢や、今シーズンのレッズでの立ち位置に、とても違和感を覚えていたっちゅうわけさ。

たぶん、彼は、ケルン当時の「がむしゃらな勇気とチャレンジャー精神」を忘れてしまっていたんだろうね。

そんな長澤和輝が、やっと、本当にやっと、「本物のブレイクスルー」を果たしそうな感じになってきたんだよ。

ということで、(結果に対するネガティブ情緒を補って余りあるほどの!?)ハッピーな感覚にも包まれていた筆者だったっちゅうわけさ。

あっと・・

もちろん、同じようなチーム戦術的タスクを担うプレイヤー(中盤ユーティリティータイプの選手)としては、柏木陽介や武藤雄樹の価値は別格だよ。

言いたかったことは、やっと堀孝史さんが欲している、柏木陽介や武藤雄樹のホンモノのパートナーを見い出せたかもしれない・・ということでした。


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最後に「告知」です。

どうなるか分からないけれど、まだ、連載をつづけています。

一つは、選択したテーマを深める「The Core Column」

そして、もう一つが、私の自伝、「My Biography」

自伝では、とりあえず、ドイツ留学から読売サッカークラブ時代までを書きましょうかね。そして、もしうまく行きそうだったら、「一旦サッカーから離れて立ち上げた新ビジネス」や「サッカーに戻ってきた経緯」など、どんどんつづけましょう。

ホント、どうなるか分からない。でも、まあ、できる限りアップする予定です。とにかく、自分の学習機会(人生メモ)としても、価値あるモノにできれば・・と思っている次第。

もちろん、トピックスのトップページに「タイトル」をレイアウトしましたので、そちらからも入っていけます。

まあ、とにかく、請う、ご期待・・ってか〜〜・・あははっ・・


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 重ねて、東北地方太平洋沖地震によって亡くなられた方々のご冥福を祈ると同時に、被災された方々に、心からのお見舞いを申し上げます。 この件については「このコラム」も参照して下さい。
 追伸:わたしは-"Football saves Japan"の宣言に賛同します(写真は、宇都宮徹壱さんの作品です)。

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 ところで、湯浅健二の新刊。三年ぶりに上梓した自信作です。いままで書いた戦術本の集大成ってな位置づけですかね。

 タイトルは『サッ カー戦術の仕組み』。出版は池田書店。この新刊については「こちら」をご参照ください。また、スポーツジャーナリストの二宮清純さんが、2010年5月26日付け日経新聞の夕刊 で、とても素敵な書評を載せてくれました。それは「こちら」です。また、日経の「五月の書評ランキング」でも第二位にランクされました。





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