湯浅健二の「J」ワンポイント
- 2017年Jリーグの各ラウンドレビュー
- 第33節(2017年11月26日、日曜日)
- このところ、アントラーズのポジティブ変化というエキサイティングな体感と向き合っているつもりなんだけれど・・(アントラーズvsレイソル、0-0)
- レビュー
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- ホントに素晴らしくエキサイティングな勝負マッチになった。
勝負・・!?
そう、両チームともに、このゲームには、今シーズンの「総まとめ的な勝負」という意味合いが込められていたんだ。
まあ、ここで詳しく書くまでもないだろうけれど、取り敢えず・・
アントラーズは、(今節での!)優勝が掛かっている・・
レイソルは、来シーズンACLへの直接参加を決めたい・・
でも、アントラーズにとっては、このゲームに勝利することには、また別の視点での特別な意味合いも込められていた。
そう・・
彼らは、フロンターレが、「残りの2試合に勝利する・・」という大前提でモノを考えなきゃいけないということなんだ。
要は、フロンターレと勝ち点「1の差」か「2の差」のどちらで最終節を迎えたとしても、得失点差で大きく引き離されているアントラーズだから、否応なしに「勝たなければならないという状況」に追い込まれてしまうということなんだ。
そうなんだよ、アントラーズにとって最終節は、まさにギリギリの心理戦っちゅう様相を呈してきたというわけさ。
それも最終節の相手は、「昇り龍」の勢いがある、名波浩が率いるジュビロだし、アウェーマッチでもあるからね。
もちろん・・
フロンターレが、三日後のレッズ戦に敗れたり引き分けたら、その時点で「勝負あり・・」ではあるけれど・・さ。
さて、アントラーズ・・
この試合でも、まさに「イメチェン真っ只中」ってな感じの立派なサッカーを展開した。
そう、美しく勝つサッカー・・
立派な・・と書いた哲学的バックボーンには、もちろん、「日本サッカーのために・・」というニュアンスが含まれている。
この「アントラーズのイメチェン・・」というディスカッションについては、前節のレッズ戦コラムも参照してください。
そう、アントラーズが、リアクションサッカーから脱却し、自分たち主体でゲームを支配しようと、リスクチャレンジ豊富な積極サッカーを志向しはじめた・・と感じているんだよ。
・・積極的に前からボールほ奪い返しにいきながら、常に、人数をかけて攻め上がり、ゲームのイニシアチブを握ろうとするサッカー・・
もちろん、調子がいいときのフロンターレやレッズが展開する、「ダイレクトパスを織り交ぜたハイレベルな組織コンビネーション・・」という視点では、まだまだだだよね。
それでも、あれ程の「個の能力」を擁している彼らだから、すぐにでも、美しさが際立ってくるに違いないって確信させられちゃう。
要は、「あれほど優れた個の才能」を擁しているアントラーズが、「あんな」リアクションサッカーで勝つこと「ばかり」を目指したって、日本サッカー(その将来)のためにはならない・・ということが言いたいのさ。
ということで、リンクを張った「レッズ戦」でも書いたけれど、来シーズンは楽しみが増えた。
そう、フロンターレ、レッズ、レイソル、ベガルタ、そしてアントラーズ・・等など。
私は、そんな「美しく勝とうとするサッカー」を標榜するチームを中心に観戦し、コラムをアップするつもりなのです。
以前にも書いたと思うけれど・・
かなり以前から、フットボールネーションを牽引する連中のなかで、こんなディスカッションが盛んに行われていたんだ。
・・プロサッカーに関わるステーキホルダーは、例外なく、サッカーの魅力を高めるために、リスクを冒して努力しなければならない・・
・・そんなディスカッション。
だからこそ彼らは、守ってカウンター・・に代表される「アンチフットボール」を忌み嫌うんだよ。
私も、ドイツプロサッカーのトップ連中による、侃侃諤諤(けんけんがくがく)のディスカッションに、何度も同席させてもらい、サッカーが志向すべきベクトルを叩き込まれた。
あっと・・。リスクと隣り合わせの「美しく勝つサッカー」を標榜しはじめたアントラーズ・・。
このゲームでの彼らは、だからこそ何度も、レイソルの危険なカウンター「も」ブチかまされた。
でも彼らは、そんなリスクを負ってでも、最後の最後まで、しっかりと積極的なサッカーを展開しようとしていた。
そのグラウンド上の現象は、アントラーズの「勝ちたい・・という意志」だけじゃなく、彼らのチーム戦術イメージが、徐々に変化していることの証左だとも思っている。
変化こそ常態・・
やっぱり、前向きな変化を体感することほど楽しいコトはないよね。
あっと・・、その変化こそ常態・・
それは、仏教用語では「諸行無常」、また英語では、「The only constant since the beginning of time is change…」ってなコトになるのだそうだ。
へへっ・・
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最後に「告知」です。
どうなるか分からないけれど、まだ、連載をつづけています。
一つは、選択したテーマを深める「The Core Column」。
- そして、もう一つが、私の自伝、「My Biography」。
自伝では、とりあえず、ドイツ留学から読売サッカークラブ時代までを書きましょうかね。そして、もしうまく行きそうだったら、「一旦サッカーから離れて立ち上げた新ビジネス」や「サッカーに戻ってきた経緯」など、どんどんつづけましょう。
ホント、どうなるか分からない。でも、まあ、できる限りアップする予定です。とにかく、自分の学習機会(人生メモ)としても、価値あるモノにできれば・・と思っている次第。
もちろん、トピックスのトップページに「タイトル」をレイアウトしましたので、そちらからも入っていけます。
- まあ、とにかく、請う、ご期待・・ってか〜〜・・あははっ・・
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重ねて、東北地方太平洋沖地震によって亡くなられた方々のご冥福を祈ると同時に、被災された方々に、心からのお見舞いを申し上げます。 この件については「このコラム」も参照して下さい。
追伸:わたしは-"Football saves Japan"の宣言に賛同します(写真は、宇都宮徹壱さんの作品です)。
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ところで、湯浅健二の新刊。三年ぶりに上梓した自信作です。いままで書いた戦術本の集大成ってな位置づけですかね。
タイトルは『サッ カー戦術の仕組み』。出版は池田書店。この新刊については「こちら」をご参照ください。また、スポーツジャーナリストの二宮清純さんが、2010年5月26日付け日経新聞の夕刊 で、とても素敵な書評を載せてくれました。それは「こちら」です。また、日経の「五月の書評ランキング」でも第二位にランクされました。
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