湯浅健二の「J」ワンポイント
- 2017年Jリーグの各ラウンドレビュー
- 第5節(2017年4月1日、土曜日)
- またまた、マッシモ・フィッカデンティに乾杯!!・・状況に応じて「二つのタイプのサッカー」を魅せたレッズ・・(FC東京vs鳥栖、3-3)&(ヴィッセルvsレッズ、1-3)
- レビュー
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- ・・鳥栖は、とてもクオリティーの高いプレーを魅せたと思う・・もちろんFC東京も強いチーム・・そのことは、自分が監督だったから、良く知っている・・
・・そんな強い相手に対して、このような(良い)サッカーを展開できたことは、選手たちの自信にもなるだろうし、チーム内の相互信頼レベルを大きくアップさせるに違いない・・
(最後の2失点で、守備ラインとGKのコンビネーションミスを修正しなければならないのでは?・・という質問に対して・・)
・・(即座に、そして確信を込めて!!)あの失点シーンだが・・我々のディフェンスのやり方(守備のチーム戦術)に問題があるというのではない・・
・・それは、あくまでも、偶発的な(サッカー的な!?)現象だったと思う・・だから、そのミスによって、我々が、やり方を変えるということは、全くない・・
・・それと、GKの権田修一だが・・彼には、あの失点シーンについて、フェアに、私の考え方を述べたということも付け加えさせてもらう・・
・・もちろん、サッカーに付きものの偶発現象だったから、気にする必要はないというのがハナシの骨子だった・・
・・そして、これからも、いつものように、大いなる進歩を目指してトレーニングに励もうと、互いの信頼を確認しあったよ・・
いいね〜〜、マッシモ・フィッカデンティ。
マッシモが率いる鳥栖については、第2節でフロンターレに乗り込んだアウェーマッチについて書いた「このコラム」もご参照あれ。
ここでは、鳥栖が、マッシモ・フィッカデンティに率いられ、攻守にわたって、サッカーの質が急速にアップしているという「事実」について、再認識しておきたかった。
その進化&深化のバックボーンは、マッシモの「ストロング・ハンド」もそうだが、選手たちが魅せつづける、優れた「やる気ポテンシャル(≒攻守ハードワークの内実!)」にもある。
そのイメージリーダーが、14番の高橋義希であり、23番の吉田豊であり、4番の原川力であり、40番の小野裕二であり、そして11番の(言わずと知れた!)豊田陽平なのだよ。
そんな風にプレイヤー名を列挙しながら、ハッと思った。
・・いや、鳥栖のチームコンセプトは、コレクティブな(組織的な!)攻守ハードワークを積み重ねていくモノだから、この「サッカー内実の発展」では、全員がヒーローだった・・
とにかく、彼らが魅せつづける、忠実なチェイス&チェック、周りのクレバーなマーキング、機を見計らっての協力プレス、ものすごく創造的で効果的なカバーリングアクション等など。
私は、舌鼓を打ちつづけていた。
そして、ある程度は整っていたベースの上に(!)、そのレベルまで鳥栖の「連動守備アクション」を引き上げた、マッシモ・フィッカデンティに拍手していた。
そんな彼が、こんなニュアンスの内容も語っていたね。曰く・・
・・クオリティーサッカーの高みには、もちろん一朝一夕に到達できるわけじゃない・・
・・そのために、選手たちとの共同作業をつづけなければならない・・その意味でも、とても強い意識と意志をもちあわせている鳥栖選手たちへ、感謝と賞賛をおくりたい・・
いいね、マッシモ。とても優れた心理マネージャーではありませんか。
ところで試合。
全体的なゲーム内容では、鳥栖の方が、少し上回っていたと思う。
鳥栖については上記したとおりだけれど、FC東京については、彼らのサッカーが、まだまだ、うまく機能していない・・という私の体感を述べざるを得ない。
もちろん篠田善之監督は、チームについても、交代させた選手についても、あくまでもポジティブにコメントしていたけれど、私の眼には、どちらかといったら「機能不全」と表現すべきグラウンド上の現象ファクターが見え隠れしていたんだよ。
もちろん守備ブロックは、いつものように堅牢だしクリエイティブだよね。
その組織的な連動ディフェンスに、永井謙佑や中島翔哉の両サイドハーフも、臨機応変に、そして効果的に絡んでくる。
だから、彼らからゴールを挙げる(シュートチャンスを創りだす)のは、容易じゃない。
そんな堅牢な守備に対して・・
そう、この試合での攻撃の機能性は、うまくアップしていかなかったんだよ。
たしかに三点ブチ込んだ。でも、2点目、3点目は、まさに「神様ゴール」だったよね。
そのゴールについては、ネットなどで観てくださいね。
もちろん同点ゴールは、スーパーだった。
それは、阿部拓馬のドリブル突破からのクロスを、ピーターウタカがヘディングでブチ込んだ。まさに文句の付けようがない素晴らしいゴール。
でも、それ以外で、鳥栖ディフェンスブロックを崩してスペースを攻略したプレーは、期待されたほど多くはなかったんだ。
どうだろうね〜・・。私は、大久保嘉人と永井謙佑の「仕掛けイメージ」が、まだチームにフィットしていないと感じていた。
だから、ボランチが「追い越す」ような、タテのポジションチェンジが出てこない。またサイドゾーンでのドリブル突破も、次のラストパスの可能性が「薄い」から、どうしても「単発ドリブル勝負」ってな雰囲気になってしまっていた。
まあ、このテーマについては、後から「ダゾーン」を見直すことでもう少し深く体感し、イメージタンクに整理することにしよう。
とにかく・・
篠田善之監督も、とても優秀なプロコーチ。だから私は、まだ苦労はつづくにしても、必ずチームを、理想的なベクトル上に乗せられると確信している。
ガンバレ〜・・篠田善之〜〜・・
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ということで、ヴィッセル対レッズ。
まず何といっても、このポイントからスターしなきゃいけない。
それは、ヴィッセル「も」、守備ブロックを「受け気味」に下げ、高い位置でのボール奪取からの「ショートカウンター」を狙っている・・というポイント。
何せ、アントラーズを筆頭に、多くのクラブが、「それ」で、レッズに対して成功を収めたわけだから、真似しない手はない。
とにかく前半は、その意図が、明々白々だったね。
それに対してレッズは、例によって、しっかりとボールをキープしながら(後方で左右に動かしながら)、ダイレクトパスを多用しながらタテへ仕掛けていく勝負コンビネーションスタートを狙う。
もちろん、タテへ仕掛けていくプロセスで、変なカタチでインターセプトをされようモノなら、大ピンチ(ショートカウンターピンチ)に陥ってしまう。
でも・・
そう、レッズ選手たちは、自分たちの仕掛けプロセスだけじゃなく、その後のリカバリー(リスクマネージメントやリスクヘッジ)のイメージも、しっかりと整えてきている・・と感じる。
だからこそ、瞬間的な攻守の切り替えを絶対的ベースに、とても素早く、そして効果的に、相手カウンターの芽を摘めていた。
もちろん、そんな効果的な「再」ボール奪取プロセスには、全員が高い位置まで押し上げていく・・という攻撃的なプレー姿勢による効果もあった。
全体的に、高い位置まで押し上げる・・!?
それは、もちろんリスキーな攻撃的プレー姿勢ではあるけれど、でもだからこそ、選手たちが、より精鋭化された意識と意志で、「もし・・」という、リカバリーイメージをも、脳内タンクで強化している・・と感じるわけだ。
そして、だからこそ、攻守の切り替えが、とても素早くなっている。
また、だからこそ、相手ボールホルダーへのチェイス&チェックだけじゃなく、もしボールの動きが停滞したら、すかさず、周りのチームメイトたちが協力プレスに集まるって寸法だ。
もちろん、もし「その流れのなか」でボールを奪えなかったら、間髪を入れずに、次のポジションへ散っていく(戻っていく)んだよ。
そんな、相互ポジショニングの「集散アクション」が、ホントに素晴らしかった。
もちろん「それ」は、ミハイロが全体的なイメージを与え、それを選手たちのなかで、しっかりとプロセス(相互に調整)した結果でしょ。
だからこそ私は、レッズが、選手たち主体で、究極の「意識と意志のサッカー・・」を目指しているなんて表現したくなっちゃうんだよ。
もちろん、「美しく勝つため・・」にね。
このテーマについては、しつこいけれど、「The Core Column」で発表した、「このコラム」や、「あのコラム」を参照してください。
あっと・・、リスクマネージメントという意味合いでの、リカバリーイメージの強化・・というテーマだったですかね。
まあ、それも、これも、経験値ではあるよね。何せ、これまで「あれほど」痛い目に遭ってきたわけだからさ・・。へへっ・・
でも・・
そう、後半は、ヴィッセルが、待たず(引かず)に、より前へ出てくるようになったんだよ。
もちろんヴィッセルも、ネルシーニョという優れたプロコーチに率いられた、とてもチカラのあるチームだからね。
そうなった、彼らも、攻め切れる可能性を感じさせてくれるわけなんだよ。
だから後半は、とてもエキサイティングな展開になったよね。でも・・
そう、そんな展開になったからこそ、逆にレッズの「攻め手」が増えたんだ。
ヴィッセルのお株を奪うカウンター。
両サイド、交替した駒井善成といったスピードスター連中が、チャンスを見計らって、ガンガン押し上げていく。
そんな、とても危険な「タテのポジションチェンジ」をブチかませるようになったんだ。
そして、そんな「流れの中心」には、もちろん柏木陽介がいる・・っちゅうわけだ。
でも先制ゴールは、その柏木陽介自身がフィニッシャーになってしまった。
それも、またカウンターの流れからだった。
この柏木陽介の先制ゴールについては、解説なんて必要ないでしょ。私も、心から楽しんだよ。
そして、もう一つ。
ヴィッセルが、積極的に攻め上がるようになったからこそ、カウンターだけじゃなく、レッズの組み立て&仕掛けの内容も、進化していったというポイント。
相手が積極的にボールを奪いにくるわけだから、逆に、その「前へのエネルギ−」を逆手にとるような、ダイレクトパスを多用するコンビネーションが、より効果的に機能するというわけだ。
そしたら・・
そう、だからこそ、相手守備ブロックの「間や背後」にあるスペースも、より効果的に活用できるようになるのも道理なんだよ。
別な見方をすれば、そんな展開になったからこそ、ヴィッセルとの「本当の意味での実力差」が白日の下に曝(さら)された・・とも言えそうだね。
それにしても・・
この試合でのゴールは、その全てが、カウンターとセットプレーからだったよね。
守備が強くなっている現代サッカーでは、まあ、当然の流れというコトなんだろうけれど、やっぱり、ちょっと寂しい。
もっと、組み立てから、ダイレクトの組織パスと、個のドリブル勝負を、バランス良くコラボすることで、相手ディフェンスブロックを崩し切るような「美しいサッカー」を、もっと観たい。
もちろん、そんなサッカーに、もっとも近いチームの一つが浦和レッズであることは論を俟(ま)たないわけだけれど・・サ。
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最後に「告知」です。
どうなるか分からないけれど、まだ、連載をつづけています。
一つは、選択したテーマを深める「The Core Column」。
- そして、もう一つが、私の自伝、「My Biography」。
自伝では、とりあえず、ドイツ留学から読売サッカークラブ時代までを書きましょうかね。そして、もしうまく行きそうだったら、「一旦サッカーから離れて立ち上げた新ビジネス」や「サッカーに戻ってきた経緯」など、どんどんつづけましょう。
ホント、どうなるか分からない。でも、まあ、できる限りアップする予定です。とにかく、自分の学習機会(人生メモ)としても、価値あるモノにできれば・・と思っている次第。
もちろん、トピックスのトップページに「タイトル」をレイアウトしましたので、そちらからも入っていけます。
- まあ、とにかく、請う、ご期待・・ってか〜〜・・あははっ・・
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重ねて、東北地方太平洋沖地震によって亡くなられた方々のご冥福を祈ると同時に、被災された方々に、心からのお見舞いを申し上げます。 この件については「このコラム」も参照して下さい。
追伸:わたしは-"Football saves Japan"の宣言に賛同します(写真は、宇都宮徹壱さんの作品です)。
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ところで、湯浅健二の新刊。三年ぶりに上梓した自信作です。いままで書いた戦術本の集大成ってな位置づけですかね。
タイトルは『サッ カー戦術の仕組み』。出版は池田書店。この新刊については「こちら」をご参照ください。また、スポーツジャーナリストの二宮清純さんが、2010年5月26日付け日経新聞の夕刊 で、とても素敵な書評を載せてくれました。それは「こちら」です。また、日経の「五月の書評ランキング」でも第二位にランクされました。
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