湯浅健二の「J」ワンポイント


2017年Jリーグの各ラウンドレビュー


 

第7節(2017年4月16日、日曜日)

 

レッズの強力ディフェンスが抜群の存在感を魅せつづけた・・(FC東京vsレッズ、0-1)

 

レビュー
 
どうなんだろうね〜・・

特に後半は、レッズでは、あまり観られないゲーム展開になったんだよ。

そう、FC東京に、完璧にイニシアチブを握られたんだ。

もちろん、ボールキープ率(ポゼッション!?)っていう視点でのイニシアチブ・・ね。

でも、FC東京に主導権を握られていたとはいえ、レッズは、そのFC東京に、(左右ポストを直撃するシュートはブチかまされたものの!)組み立てベースからは、ほとんどシュートチャンスを作らせなかった。

このグラウンド上の現象を、どのように考察するのが正解か・・

もちろん、FC東京の仕掛けが単調すぎた・・という見立てもできるし、レッズ守備が充実し、リスクヘッジ機能が(それこそが意志の闘い!!)存分に働きつづけた・・とも言える。

さて〜・・

まあ実際は、両方の視点から考察すべきなんだろうな〜〜・・

篠田善之監督は、わたしの質問に、例によって真摯に、自チームが抱える(仕掛けプロセスでの)様々な課題について語っていた。

その視点は、とても鋭く、正しいと思った。

だから、篠田善之という優れたプロコーチに率いられているFC東京の進化、深化に対する期待も高まっていくわけさ。

でも・・オレがもっとも嫌いな(!?)斜に構えた視点かもしれないけれど・・

逆に、あまりにロジックが先行し過ぎると、どうしても「限界」の影が見え隠れするようになってしまう・・という視点もあるんだよ。

そう、イレギュラーするボールを足で扱うという「理不尽」なサッカーだからね・・

戦術ロジックとは全く相容れない、「エイヤッ!!」の勝負ドリブルやミドル(ロング)シュート、はたまた、アバウトなクロスボールだって、結果につながることも多いんだよ。

後半5分に橋本拳人がブチかました、左ポスト直撃のスーパーミドル・・のようにね。

あっ・・アレは、完璧にロジックなミドル弾だったっけネ。スミマセンね、橋本拳人さん。

とにかく私の眼には、どうも、FC東京の仕掛けに、「解放された思い切りの良さ」が感じられないシーンが多かったと映ったわけさ。

もちろん、確固たる自信に裏打ちされた阿部拓馬や(交替出場した)中島翔哉の勝負ドリブル、交替出場したユ・インスが魅せつづけた、フッ切れたデュエル満載の勝負プレーからは大いなる可能性を感じさせられたけれど・・ね。

それでも、対峙するのが、「あの」強力なレッズ守備だから・・さ。

私がここで用いた「強力」という表現のコノテーション(言外に含蓄される意味)だけれど・・

その第一は、もちろん、戦術的なイメージング能力&強烈な意志にあり・・なんだ。

要は、FC東京が仕掛けてくる最終勝負プロセスが、しっかりと見えているかどうか・・。

それが見えていれば、例えば、ボールがないところでの相手の動きを封じる「忠実マーキング」となってグラウンド上に現出してくるっちゅうわけさ。

次が、ボールをめぐる「デュエルの内実」。

最前線から戻ってディフェンスに参加する選手たちも含めて、レッズ守備がブチかます「意志のデュエル」は、ホントに逞しくなったと思う。

広義では、そのデュエルに、相手を「最後までフリーにさせない」忠実マーキングも含まれるかな。

そう、レッズの強力ディフェンスは、優れた創造力&想像力と、そこから繰り出される「イメージング内容」を実際のプレーに置き換える強烈な意志とのコラボレーションなんだよ。

とはいっても、もちろん、一瞬の「気抜け」で、相手が視野から外れ、スッと背後スペースに入り込まれてフリーシュートを打たれちゃうケースだってあるよね。

でも、レッズ選手たちは、そんな「冷や汗の(なかったコトにしたい!?)ミス」を、後から、しっかりと自覚し体感できるだけの「心の余裕」があると思うんだよ。

それも、これも、優れた心理マネージメントの為せるワザっちゅうわけだ。

ところで、ゲームの勝負展開・・

実は私は、心の奥底で、FC東京に同点弾を浴びてしまうコト「も」イメージしていたんだ。

特に、太田宏介、中島翔哉、ユ・インスが出てきてからの最後の時間帯では・・・ね。

ちょっと、錯綜する心理ではあったけれど・・

私の心の奥底に、同点弾を喰らったレッズが、再び、本来の攻撃サッカー(リスクチャレンジ)をブチかましていくことに対する、期待にも似た感覚があったんだよ。

そしてレッズが、そんな危急状態のなかで決勝ゴールをブチ込めたら、それこそ、これ以上ないほどに重要な、ホンモノの自信と確信ベースを得られたかもしれない・・なんて、アタマの片隅で思っていた(もしかしたら期待していた!?)っちゅうわけさ。

スミマセン・・ね。

でも、もちろん、ミハイロが言うように、このゲームの内容が、とても誇れるモノだったことは論を俟(ま)たないけれど・・ね。

ところで・・

レッズが志向する、「美しく勝つサッカー」というテーマについては、しつこいけれど、「The Core Column」シリーズで発表した、「このコラム」や、「あのコラム」もご参照ください。

では今日は、こんなところで・・

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最後に「告知」です。

どうなるか分からないけれど、まだ、連載をつづけています。

一つは、選択したテーマを深める「The Core Column」

そして、もう一つが、私の自伝、「My Biography」

自伝では、とりあえず、ドイツ留学から読売サッカークラブ時代までを書きましょうかね。そして、もしうまく行きそうだったら、「一旦サッカーから離れて立ち上げた新ビジネス」や「サッカーに戻ってきた経緯」など、どんどんつづけましょう。

ホント、どうなるか分からない。でも、まあ、できる限りアップする予定です。とにかく、自分の学習機会(人生メモ)としても、価値あるモノにできれば・・と思っている次第。

もちろん、トピックスのトップページに「タイトル」をレイアウトしましたので、そちらからも入っていけます。

まあ、とにかく、請う、ご期待・・ってか〜〜・・あははっ・・


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 重ねて、東北地方太平洋沖地震によって亡くなられた方々のご冥福を祈ると同時に、被災された方々に、心からのお見舞いを申し上げます。 この件については「このコラム」も参照して下さい。
 追伸:わたしは-"Football saves Japan"の宣言に賛同します(写真は、宇都宮徹壱さんの作品です)。

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 ところで、湯浅健二の新刊。三年ぶりに上梓した自信作です。いままで書いた戦術本の集大成ってな位置づけですかね。

 タイトルは『サッ カー戦術の仕組み』。出版は池田書店。この新刊については「こちら」をご参照ください。また、スポーツジャーナリストの二宮清純さんが、2010年5月26日付け日経新聞の夕刊 で、とても素敵な書評を載せてくれました。それは「こちら」です。また、日経の「五月の書評ランキング」でも第二位にランクされました。





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