湯浅健二の「J」ワンポイント
- 2018年Jリーグの各ラウンドレビュー
- 第10節(2018年4月25日、水曜日)
- レイソルが、フェアに勝ち取った勝利だった・・(レイソルvsレッズ、1-0)
- レビュー
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- ・・そうなんですよ・・
・・実は、前節(アウェーでの長崎戦)の後、何人かの主力選手たちとハナシをしたんです・・
・・攻守の切り替えが鋭くないし、ボールを奪った後の仕掛けも遅いってね・・
レイソル下平隆宏監督が、私の質問に、例によって真摯に、そんなニュアンスの内容をコメントしてくれた。
その私の質問は、こんな感じだったですかネ・・
・・前節の長崎戦ですが、もし今日のような素晴らしい連動ディフェンスが機能していたら、4点や5点ブチ込んで勝利していたと思うのですが・・
この質問だけれど、それは、下平隆宏監督が会見の冒頭で述べた「こんなニュアンスのコメント」によってモティベートされたんだよ。
そのコメントは、こんな感じだった・・
・・今日チームは、最後の最後まで、しっかりとプレッシャーをかけつづけた・・
・・周りのチームメイトも、そのチェイス&チェックに、常に忠実に連動しつづけた・・
・・それが、このゲームの一番の勝因だったと思います・・
・・そんな素晴らしいチームの闘う意志は、私の誇りです・・
そう、優れたダイナミックサッカーの絶対的ベースは、強烈な闘う意志に支えられた、効果的なボール奪取プロセスなんだ。
それが機能すれば、おのずと、次の攻撃にも「勢い(人数)」が乗っていくモノなんだよ。
今日のレイソルは、セカンドボールを、ことごとく自分たちのモノにしつづけただけじゃなく、レッズのタテパスを正確に予測し、前線の選手がトラップする瞬間を狙ったボール奪取アタックを、とても効果的にブチかましつづけたんだ。
そう、今日のレイソルがブチかましたスーパーサッカーの絶対的なベースは、そんな優れた(攻撃的な)連動ディフェンスにあったのさ。
もちろん・・
たしかに前半には長澤和輝の「ゴッツァン・ゴール」のチャンスはあったし、後半17分には、興梠慎三の「ソロ&キャノンシュート」シーンもあった。
でも、ホンモノの「ゴール機会」の量と質で、明確にレイソルに軍配のあがるコトは、誰もがアグリーのはずです。
ということで・・
ゲーム全体を通した「実質的なドミネーション内容」でも、明らかにレイソルに一日以上の長があったわけだから、まさに、レイソルが、フェアに勝ち取った勝利だったっちゅうわけだね。
さて・・
ということで、レッズ・・
オズワルド・オリヴェイラ監督は、実質的に「1日」しか、チーム作り(ゲーム戦術イメージの浸透マネージメント)の時間がなかったらしい。
だから、このゲームを、オズワルドの仕事の評価対象にするのはフェアじゃないよね。
たしかに、大槻毅代行監督のときは、「闘う意志」という意味では、しっかりとチームを鼓舞できていたと思う。
でも・・
そう、彼や堀孝史さんも含めて、実質的な攻撃のコノテーション(言外に含蓄される意味)という視点では、ミハイロがチームを去ってから(!?)、その内実は低迷したままだった。
要は、攻撃に、「十分な人数を掛けられていない・・」っちゅうことだよ。
それでは、フロンターレに代表される、ダイレクトパスを織り交ぜた「美しい」組織コンビネーションなんて、夢のまた夢だよね。
いまのレッズには、(静対した状況から相手を置き去りにできるような優れた!?)ドリブラーがいないんだから、「より良いカタチ」でドリブル勝負を仕掛けられるように、しっかりと組織コンビネーションを機能させなきゃいけないんだよ。
そのために、後方からサポートしてくる「人数」が大事なんだ。
そうそう・・そのニュアンスも含めて・・
実は、オズワルドに、こんな質問を投げようと思っていたんだ。
それは、こんな感じになっていたはず・・
・・オズワルドさんは、アントラーズ時代、自分がもっとも好きな(やりたい)サッカーは、1974年ドイツW杯でオランダ代表が魅せたトータルフットボールだとおっしゃいました・・
・・もちろん今のレッズでは、そんな、スーパー連動アグレッシブ守備を絶対的ベースにする極限のトータルフットボールが難しいコトは分かっている・・
・・だから質問したい・・
・・オズワルドさんは、理想と現実のなかで理想的なバランスを取りながら、1974年のオンダ代表が魅せたトータルフットボールを志向していくんですよね??・・
もちろんそれは、「美しく勝つサッカー」のことだよ。
アントラーズ時代のオズワルド・オリヴェイラさんは、現実的で、とても「手堅い」サッカーで何度もリーグ優勝を遂げた。
だから、オズワルドについては、「そんなイメージ」が定着していると思うんだよ。
でも、それじゃ、選手だけじゃなく、ファン&サポーターも含めたクラブを取り巻く「ステーキホルダー」の皆さんが、進化や深化に対する「期待」を持つのが難しくなるじゃありませんか。
いまでは・・
「あの」イタリアでさえ、自分たちがイニシアチブを握る攻撃的(積極的)なサッカーを標榜しはじめているんだからね。
とにかく、私の学習機会として、そんな「視点」でもオズワルド・オリヴェイラ監督のチーム作りを、しっかりと観察していこうと思っている筆者なのだ〜。
さて、次は、ホームでの「対チョウ・キジェ戦」。
いまから楽しみで仕方ありません。
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最後に「告知」です。
どうなるか分からないけれど、まだ、連載をつづけています。
一つは、選択したテーマを深める「The Core Column」。
- そして、もう一つが、私の自伝、「My Biography」。
自伝では、とりあえず、ドイツ留学から読売サッカークラブ時代までを書きましょうかね。そして、もしうまく行きそうだったら、「一旦サッカーから離れて立ち上げた新ビジネス」や「サッカーに戻ってきた経緯」など、どんどんつづけましょう。
ホント、どうなるか分からない。でも、まあ、できる限りアップする予定です。とにかく、自分の学習機会(人生メモ)としても、価値あるモノにできれば・・と思っている次第。
もちろん、トピックスのトップページに「タイトル」をレイアウトしましたので、そちらからも入っていけます。
- まあ、とにかく、請う、ご期待・・ってか〜〜・・あははっ・・
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重ねて、東北地方太平洋沖地震によって亡くなられた方々のご冥福を祈ると同時に、被災された方々に、心からのお見舞いを申し上げます。 この件については「このコラム」も参照して下さい。
追伸:わたしは-"Football saves Japan"の宣言に賛同します(写真は、宇都宮徹壱さんの作品です)。
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ところで、湯浅健二の新刊。三年ぶりに上梓した自信作です。いままで書いた戦術本の集大成ってな位置づけですかね。
タイトルは『サッ カー戦術の仕組み』。出版は池田書店。この新刊については「こちら」をご参照ください。また、スポーツジャーナリストの二宮清純さんが、2010年5月26日付け日経新聞の夕刊 で、とても素敵な書評を載せてくれました。それは「こちら」です。また、日経の「五月の書評ランキング」でも第二位にランクされました。
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