湯浅健二の「J」ワンポイント
- 2018年Jリーグの各ラウンドレビュー
- 第11節(2018年4月28日、土曜日)
- ベルマーレが魅せた粘りの闘う意志に乾杯!・・またレッズが、本来の攻撃サッカーを取り戻したコトも特筆ポイントだった・・(レッズvsベルマーレ、0-1)
- レビュー
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- ・・たしかに後半は押し込まれたけれど、選手たちは、ビクつくことなく、最後まで、身体を激しく寄せつづけるなど、泥臭く、自分たちのサッカーを貫き通したと思いますよ・・
・・私は、選手たちを誇りに思います・・
いいね〜、ホントに、チョウ・キジェ。
また彼は、こんなコトも言っていたっけね。
・・このところ選手たちは、一つの戦術的な指示を出せば、それを基本にしながら、自分たちで工夫し、より効果的に結果を出せるようになっていると感じるんですよ・・
これは、冒頭の発言内容を、完璧に「補完」するよね。
そう、だからこそ、「自分たちのサッカー」を泥臭く貫きとおせる。
繰り返しになるけれど・・
監督が、ある戦術的なアイデアを指示する。もちろん、その「目的」は、明確だ。
そして選手たちは、自分たちの個性(まあ特徴的な才能や能力とも言い換えられる!?)をチームワークのなかで「活かせる」ように工夫していくっちゅうわけさ。
だからこそ、互いに声を掛けながら、レッズの迫力ある仕掛けにも、臆することなく、自信をもって対処できたっちゅうことだね。
たしかに、ドリブルで抜かれても、マークを外されても、最後の勝負の瞬間には、必ずといっていいほど、カバーリングで急行した(!?)誰かの身体が「入っている」んだよ。
だからレッズは、繰り返し、ゴール機会を(その流れを)創りだしてはいたものの、最後のところでシュートをブロックされたり、身体を寄せられていたことで、余裕をもってシュートできなかったり・・と、かなり苦労させられたんだ。
わたしは、ベルマーレ選手たちがダイナミックに躍動しつづけた、そんな「主体的なギリギリの守備アクション」を観ながら、チョウ・キジェに、心からの拍手をおくっていた。
まあ・・いつものコトだけれど・・ね。
あっ・・そうそう・・
大住良之さんと話しているなかで、こんなポイントも見つけたよ。
チョウ・キジェの弁・・
・・ディフェンスの選手を入れようと思わなかったか?・・という質問ですね・・
・・いや、それは、やるつもりはありませんでしたネ・・
・・それほど、ウチの守備ブロックは、素晴らしいプレーをつづけていたんですよ・・
・・でも、もし・・
・・たぶん質問された方は、アンドレ・バイーアの交替出場をイメージされたかと思うんですが、私は、そのことで、逆に守備ブロックのリズムが乱れると感じていたんです・・
そう、そんなことをすれば、ベルマーレの若手ディフェンダーたちの「闘う意志」を減退させかねないよね。
あの状況じゃ、とにかく、選手たちの気持ちが決定的に重要だったわけさ。
そう・・、覚醒と自負・・粘りの闘う意志のプレー・・攻守ハードワークと攻守リスクチャレンジ・・自信・・確信・・などの善循環サイクルが回りつづける・・!?
えっ!? それって「サイクル」じゃない!? たしかに・・
へへっ・・
さて・・
ということで、後半になって、やっと、本当にやっと、本来の「攻撃サッカー」が、グラウンド上に姿を現しはじめたレッズ。
そのキッカケは、言うまでもなく、両サイドハーフの交替でした。
私は、橋岡大樹と菊池大介のことは、評価しています。でも・・
そう、この試合では、ミスを重ねるなかで、プレーがどんどん消極的になっていった。そして最後は、横パスやパックパスに「逃げる」ばかりになってしまったんだ。
スリーバックだからね、攻撃においてサイドハーフ(サイドバック)が担うべき戦術的タスクは、ものすごく重要なんだよ。
そんな「両サイドからの仕掛け」が、まったくといっていいほど機能しなくなったんだ。
それじゃ、レッズ攻撃が「寸詰まり」になってしまうのも道理だったというわけさ。
そして、オズワルド・オリヴェイラ監督が、とても的確に「動く」ことになるんだ。
そう・・
右サイドには宇賀神友弥を入れ、左サイドには、武藤雄樹を「下げ」た。
そしてレッズの前への勢いが、何倍にも増幅していったというわけだ。
わたしは、そんな積極的なサッカーを観ながら、ホッとしていた。
たしかに同点ゴールは奪えなかったけれど、そこでレッズの強者たちが魅せつづけた闘う意志には、殊の外重要な、成功体感エッセンスが内包されていたんだ。
そんなレッズのプレー姿勢を体感しながら、次の、フロンーレとの決戦(等々力)が楽しみで仕方なくなりました。
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最後に「告知」です。
どうなるか分からないけれど、まだ、連載をつづけています。
一つは、選択したテーマを深める「The Core Column」。
- そして、もう一つが、私の自伝、「My Biography」。
自伝では、とりあえず、ドイツ留学から読売サッカークラブ時代までを書きましょうかね。そして、もしうまく行きそうだったら、「一旦サッカーから離れて立ち上げた新ビジネス」や「サッカーに戻ってきた経緯」など、どんどんつづけましょう。
ホント、どうなるか分からない。でも、まあ、できる限りアップする予定です。とにかく、自分の学習機会(人生メモ)としても、価値あるモノにできれば・・と思っている次第。
もちろん、トピックスのトップページに「タイトル」をレイアウトしましたので、そちらからも入っていけます。
- まあ、とにかく、請う、ご期待・・ってか〜〜・・あははっ・・
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重ねて、東北地方太平洋沖地震によって亡くなられた方々のご冥福を祈ると同時に、被災された方々に、心からのお見舞いを申し上げます。 この件については「このコラム」も参照して下さい。
追伸:わたしは-"Football saves Japan"の宣言に賛同します(写真は、宇都宮徹壱さんの作品です)。
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ところで、湯浅健二の新刊。三年ぶりに上梓した自信作です。いままで書いた戦術本の集大成ってな位置づけですかね。
タイトルは『サッ カー戦術の仕組み』。出版は池田書店。この新刊については「こちら」をご参照ください。また、スポーツジャーナリストの二宮清純さんが、2010年5月26日付け日経新聞の夕刊 で、とても素敵な書評を載せてくれました。それは「こちら」です。また、日経の「五月の書評ランキング」でも第二位にランクされました。
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