湯浅健二の「J」ワンポイント
- 2018年Jリーグの各ラウンドレビュー
- 第12節(2018年5月2日、水曜日)
- とても興味深いポイントが山積だった・・(フロンターレvsレッズ、0-2)
- レビュー
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- ・・いや・・そんなことはありません・・
・・後半、10人になってからだって、人とボールの動きをアップさせることで(!?)レッズ守備のズレを演出できたと思っているんですよ・・
・・とにかく選手たちは、最後の最後まで果敢にチャレンジしつづけてくれました・・わたしは、彼らを誇りに思います・・
フロンターレ、鬼木達監督が、私の質問に、例によって真摯に、そんなニュアンスの内容をコメントしてくれた。
悔しい敗戦だったにもかかわらず、冷静に、そしてある意味「熱く」語ってくれた鬼木さんに、心からの拍手をおくりたいと思います。
どうも、ありがとうございました。
ところで・・
そう、私の質問ですが、それは、こんな感じでしたかネ・・
・・先ほど、オズワルド・オリヴェイラ監督にも質問したのですが、フロンターレが、流れのなかでウラのスペースを攻略できなかった背景には、素晴らしく粘り強く、そしてダイナミックなレッズの守備があったからだと思うのですが・・
そして鬼木達さんが、冒頭のコメントをくれたっちゅうわけさ。
たしかに・・
10人になってからのフロンターレは、1点を追いかける状況から、より深い奈落に突き落とされたわけだけれど、そのことで、完璧に「フッ切れた」んだろうね。
そこからの彼らの攻めには、それまでの何倍もの「闘う意志」が放散されていたんだよ。
そして、フロンターレの人とボールの動きが、何倍にも増幅されたっちゅうわけだ。
そういえば・・
後藤健生さんが、こんな興味深いコトを聞いていたね。へへっ・・
・・最後の時間帯・・10人のフロンターレに何度も押し込まれたわけだが、そんなゲームの締め方には、少し課題があるようにも感じたのだが・・
その質問に、オズワルド・オリヴェイラは、退場劇によって、1人多い状況だけじゃなく、一人足りなくなった状況についても、(イメージ)トレーニングが必要だとコメントしていた。
また、オズワルドは・・
2007年シーズンにおいて(フロンターレ戦!?)、内田篤人がレッドカードを受けて退場になってから、一人足りないにもかかわらず、興梠慎三がゴールを入れ、その後はしっかりと守り切って勝利した・・っちゅうエピソードも語ってくれたっけね。
この試合については、その内容が定かじゃないから、これ以上は入り込みません。
とにかく、「退場劇」が発生した後は、一人足りなくなったとか、一人多くなったといった状況的なファクターとは関係ないところで、「勝負プロセス」が激しく動くことがある・・っちゅうことが言いたかったらしい。
それについては、確かにアグリーだよね。
そう、冒頭コメントを語る鬼木達さんが、胸を張っていたように・・ネ。
ということで・・
全体的なゲームの流れについても、私なりの分析をしておきましょう・・
まずは、ものすごく粘り強いレッズ守備が、とてもダイナミック、そして忠実だったという事実。
そのことで、フロンターレが得意とする、ダイレクトパスを織り交ぜた組織コンビネーションが、うまく機能しなくなった・・という視点です。
別な言い回しをすれば、フロンターレがイメージする「人とボールの動きのリズム」を狂わせたことで、彼らの「足が止まった」とも表現できるかな。
もちろん、鬼木達さんが言う、10人になってから、ダイナミックな仕掛けを繰り出しつづけたゲーム最後の時間帯は別にして・・ネ。
とにかく、レッズがブチかました、ボールホルダーや次のパスレシーバーに対する寄せや、チェイス&チェックが、素晴らしかったんだよ。
もちろん、「リトリートしてブロックを組む・・」という受け身ディフェンスじゃなく、あくまでも積極的に(前から!?)ボールを奪い返しにいったんだ。
そんなレッズだったけれど・・
たしかに前半の立ち上がりは、フロンターレに押し込まれた。
でも・・
時間の経過とともに、レッズがボールを奪い返す守備のシチュエーションが、より「高い位置」へと押し上げられていったんだよ。
そう、プレッシング守備の効果レベルが、徐々にアップしはじめたんだ。
そして・・
オズワルド・オリヴェイラ曰く・・
・・たしかに、立ち上がりは難しかった・・
・・でも、時間の経過とともに、選手たちの闘う姿勢がどんどんアップしていき、徐々に自分たちのプレーができるようになっていった・・
・・もちろん、そのプロセスで選手たちの自信や確信レベルもアップしていったことで、攻守にわたってイニシアチブを握れる時間帯も増えていった・・
・・そして、それが更なる自信につながり、そのことで、次の攻撃では、ウラのスペースも攻略できるようになった・・
・・(そんな積極ディフェンスでは!)フロンターレ攻撃の「起点」を抑えることが、とても重要なポイントだった・・
フムフム・・
オズワルド・オリヴェイラは、守備のゲーム戦術として、より具体的な「アイデア」を授けたということか。
とにかく、私は、この試合でレッズが魅せつづけた、ボール奪取イメージが「明確に連動しつづける」ような、粘りの高質ダイナミック守備に舌鼓を打っていましたよ。
またオズワルドは、0対2というリードを奪ってから、柏木陽介に代えて、ディフェンダーの岩波拓也をピッチへ送り込みもしたんだ。
そして、そこまでスリーバックに入っていた遠藤航のポジションを「一つ上げ」てボランチに据えたんだよ。
手堅いね〜・・
そして、フロンターレに攻め込まれはしたけれど(決定的シュートもブチかまされた!!)、結局は勝ち切ることに成功した。
この一連の、「ゲーム戦術イメージの構築と実践」、そして「ゲーム中の采配プロセス」についてだけれど・・
そのコノテーション(言外に含蓄される意味)については、これからのオズワルド・オリヴェイラの仕事を観察していくなかで、より詳しく、そのチーム&ゲーム戦術的なベクトルの方向性を探っていこうと思っている筆者なのだ〜〜・・
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最後に「告知」です。
どうなるか分からないけれど、まだ、連載をつづけています。
一つは、選択したテーマを深める「The Core Column」。
- そして、もう一つが、私の自伝、「My Biography」。
自伝では、とりあえず、ドイツ留学から読売サッカークラブ時代までを書きましょうかね。そして、もしうまく行きそうだったら、「一旦サッカーから離れて立ち上げた新ビジネス」や「サッカーに戻ってきた経緯」など、どんどんつづけましょう。
ホント、どうなるか分からない。でも、まあ、できる限りアップする予定です。とにかく、自分の学習機会(人生メモ)としても、価値あるモノにできれば・・と思っている次第。
もちろん、トピックスのトップページに「タイトル」をレイアウトしましたので、そちらからも入っていけます。
- まあ、とにかく、請う、ご期待・・ってか〜〜・・あははっ・・
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重ねて、東北地方太平洋沖地震によって亡くなられた方々のご冥福を祈ると同時に、被災された方々に、心からのお見舞いを申し上げます。 この件については「このコラム」も参照して下さい。
追伸:わたしは-"Football saves Japan"の宣言に賛同します(写真は、宇都宮徹壱さんの作品です)。
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ところで、湯浅健二の新刊。三年ぶりに上梓した自信作です。いままで書いた戦術本の集大成ってな位置づけですかね。
タイトルは『サッ カー戦術の仕組み』。出版は池田書店。この新刊については「こちら」をご参照ください。また、スポーツジャーナリストの二宮清純さんが、2010年5月26日付け日経新聞の夕刊 で、とても素敵な書評を載せてくれました。それは「こちら」です。また、日経の「五月の書評ランキング」でも第二位にランクされました。
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